公務員|人事担当|夢はライトノベル作家
人を動かす仕事ではなく、人を支える仕事
──自治体職員・人事担当として働く日々から
私は、ある自治体で人事の仕事に携わっています。
職位は主査です。
組織全体を見渡しながら、現場の職員一人ひとりと運営のあいだを結ぶ中堅職員です。
特別な権限があるわけではありませんが、
そのぶん、“人の近く”で悩みや想いに触れる毎日を過ごしています。
表舞台の裏側にある、「結び目」をつくる仕事
人事と聞くと、採用や異動、昇進といった華やかな“表舞台”を思い浮かべる方も多いでしょう。
けれど実際には、その裏側で行われる無数の調整と対話にこそ、この仕事の本質があります。
一人ひとりの職員には、家庭、健康、キャリア――それぞれに譲れない事情があります。
それらを丁寧に受け止め、組織の都合や目標とすり合わせていく。
私はそれを、まるで「糸を結ぶ仕事」だと思っています。組織の糸と、人の糸。
ときには絡まり、ときには張り詰め、ほどけそうになりながらも、それらを少しずつ、確かに結び直していく。
その小さな結び目の積み重ねこそが、組織を静かに、しかし確実に前へと進める力になるのです。
歴史を知る者としての「誇り」と「責任」
今の職場では、在籍年数でいえば私が一番長くなりました。長くいるということは、それだけ多くの出会いと別れを見送ってきたということです。
新しい風が吹くたびに空気は変わり、
ときには寂しさを覚える瞬間もあります。
けれど、その変化のすべてが職場の「歴史」を形づくってきました。
昔と今を知っているからこそ、
「ここは守るべき文化」
「ここは時代に合わせて変えるべき部分」
その両方を見極める視点を持てるようになります。
それは、過去と未来をつなぐ“橋の上”に立つような感覚。静かな誇りとともに、その責任を感じています。
「教える」よりも、「見守り、共有する」
最近は、後輩職員の指導にも関わる機会が増えました。
とはいえ、私は彼らに何かを“教え込む”というより、
「大丈夫、失敗してもいいよ」と背中を押すような気持ちで接しています。
人事の現場は、マニュアル通りに進むことばかりではありません。
状況を見極め、人と向き合い、答えを探していく力が求められます。
だからこそ、経験を一方的に伝えるのではなく、
互いの知恵を共有しながら支え合っていく。
その循環こそが、組織の“呼吸”を生み出すと信じています。
誠実に向き合うことの「やりがい」
人事の仕事は、決して楽ではありません。
組織と個人の間で板挟みになったり、ときに誰かの涙を見送らなければならないこともあります。
それでも、私がこの仕事を続けたいと思うのは、
根っこに「人」を見つめる仕事だからです。
誰かの再出発を支えたり、
目立たない努力をそっと拾い上げて評価につなげたり――
そんな瞬間に立ち会えるとき、
「人を支える仕事の意味」を、静かに実感します。
最後に
仕事に唯一の“正解”はありません。
けれど、誠実に向き合うことだけは、どんな職場にも通じる答えだと思っています。
これからも、一人の自治体職員として、
そして「人を支える者」として――
関わる人たちの笑顔と成長を、静かに、確かに支えていけるように。
今日もまた、人と人のあいだにある小さな糸を、
ひとつ、結んでいこうと思います。
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