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気まぐれ俳句鑑賞17『青梅の臀うつくしくそろひけり』室生犀星

青梅の臀うつくしくそろひけり
室生犀星

ちょうど六月のこの時期、梅林の明るい葉の陰に、ほとんど同色の「青梅(あをうめ)」を目に愉しむことができる。淡黄色に熟したものは、知れず枝下にも落ち、「実梅」と区別されるのだが、思い思いの場所に落ちているものだ。

一方掲句では、もがれた「青梅」が人の手によって整然と並べられている。確かにちいさなお「臀」にも見える実の筋は、追熟するにつれて丸みを帯びるものだから、「うつくしく」引き締まって並んでいる爽やかな光景が目に浮かぶ。そこへ「そろひけり」と言い切る気持ちよさは、まさに「うつくしく」響きあっている。

でも、少しだけ思うのだけれど、仮に、いくら人の手で青梅を並べたとしても、窪みの筋が揃うほど整列はしないわけで、考えようによっては、かなり作為的に美しい景が演出されていると言える。そしてそれは裏を返せば、作者の企みとしての「遊び」 であり、決して美しいだけで終わらせるつもりではないはずだ。

この句が言い切った言葉の輪郭から、「青梅」の明るさがはみ出してくる。

出典:『俳句歳時記 第四版増補 夏』角川ソフィア文庫

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