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気まぐれ俳句鑑賞21『さみだれや船がおくるる電話など』中村汀女
さみだれや船がおくるる電話など
中村汀女
雨に降り籠められていても、居心地の良い室内にいれば、かえって心はのびのびとくつろぐことがある。
「さみだれや」と冒頭に切れ字を備えて置かれるのだから、やはり作者の視界には降り止みそうもない梅雨の雨があるのだろう。
これもまた取り合わせというのだろうが、「船がおくるる電話など」 と、末尾に「など」を置くあたりが、小気味よく柔らかな日常の些事を印象づけている。
室内で雨に降り籠められるという、身をすっぽりと覆われたような安心感がある。
家にいて、他にも様々な雑事に追われていても、ずっと「さみだれ」は降り続いている。
電話が鳴る。
船が遅れる、という。
さして大きな事件ではない。外では、雨が降り続いている。
何気ない日常の中に、静かな奥行きを感じさせる句である。
出典:『俳句歳時記 第四版増補 夏』角川ソフィア文庫
