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tamochaos
気まぐれ俳句鑑賞33『新涼や素肌といふは花瓶にも』鷹羽狩行
新涼や素肌といふは花瓶にも
鷹羽狩行
艶やかな花瓶がある。なだらかな丸みを帯びた肩が光沢を放ち、いくらか白く発光するように見えるのは、磁器に施された釉薬のせいかも知れない。
作者はその艶めいた肩に、夏の火照りが去り行こうとしている無防備な「素肌」を感じ留めた。
歳時記にもある通り、暑さを前提とした「涼し」という心地よさではなく、暑さの去りゆくことをにわかに実感する「新涼」という季語に思いを託している。
作者の心をずっと占領しているのは、秋の入口に熱を奪われつつある「花瓶」ではなく「素肌」なのである。「柔肌」と言うべき肌の質感に寄せられた作者の心が、「花瓶」の肌に触発され、一気に「新涼」という季節の発見へと繋がった。
「素肌といふは花瓶にも」というほのめかしめいた措辞と、「花瓶」の形状と手触りに、どことなく女性の身体を思わせる視線が隠しようもなく溢れ出しているところこそ、この作者の句の味わいと言えるのかも知れない。
出典:『俳句歳時記 秋 第五版』角川ソフィア文庫
