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kesano_sora
気まぐれ俳句鑑賞35『休暇果つ少女風視る目をしたり』岡本眸
休暇果つ少女風視る目をしたり
岡本眸
季感ということであれば「休暇果つ」という季語に確かに捉えられてはいる。
主季語「休暇明(きゅうかあけ)」には、どこか新学期の始まりを心待ちにする華やぎが感じられるのに対し、「休暇果つ」には、暦の進行にまだ心が追いついていない、取り残された戸惑いが感じられる。
そんな登校日の朝、「少女」はこれまでとは違う何かを感じ取っている。夏休みが終わった喪失感なのか、どこかに何か大きな忘れ物をしてきたような落ち着かなさなのか。その全てが風の中に含まれているのか、そんなことは何も分からずに、目には見えない秋の気配をじっと「視」ている。
そして、この「少女」が「風」を「視る目」をしている、そのつかの間の時間にこそ、心の組成がすっかり入れ替わってしまうほどの秋の到来を、岡本眸は写し取った。
見えないものを「視」つめる目を通して、やはり目に見えない存在を、見事に描き出した一句である。
出典:『俳句歳時記 秋 第五版』角川ソフィア文庫
