短編小説「厨二病の営業マン降臨!!」
「我の名は黒羽(くろば)カオス。闇に選ばれしビジネス戦士……貴殿に提案を携え、参上した!」
いきなり最終形態で登場するのやめて。
ビジネス戦士ってなに?
黒いコートをバサッとひるがえし、黒い羽根を床にまき散らす。
ちょっと、こっちの掃除の負担増やすなや。
「まず名刺。これ、この世界の住人のたしなみ」
お前どっから来たんだよだよ。
差し出された名刺には本気の文字で「黒羽カオス」。
これ本名だったら親が勇者すぎるだろ。
「本日は、御社を救う究極のソリューションを提案する。この導入で売上は闇の頂点へとのぼりつめるだろう」
どこだよ闇の頂点って。
そんな市場存在しないわ。
スライドには「覇王化計画」。
かっこつけすぎてて、逆に内容が入ってこないんですけど…。
「現状分析である。御社は今、混沌のふちにたっている……」
「ふちって言うな。普通に順調です!」
「順調……なにッ!それこそ停滞の証ッ!」
やかましいわ。
ポジティブな論破の使い方、間違ってるし。
黒羽はスライドを切り替えるたび、指先からエフェクトを出す。
なに?その黒魔術性能。
会社支給なの?
「そして、これこそが禁忌、禁断の月額プラン。黒の契約……!」
「その言い方やめて。ただのサブスクでしょ?」
「月額固定のサブスクで、全魔法使い放題となる」
「すいません。魔法ってなんですか?」
「いや、失礼、こちらの世界で言う全機能のことである」
でしょうね。
演出の無駄がおおい!
「この機能で競合をひざまつかせようでわないか。そして世界を震撼させようでわないか!」
「世界って…関係ないでしょ。」
黒羽は悲しげに拳を握り、低い声で言った。
「貴殿……さては、恐れているな。変化を」
いきなり心理戦きた。
「こっちが恐れてるのは、君の設定の濃さだよ!」
「設定ではない。これは宿命だ」
面倒くさい宿命だなぁ!
「最後に決断を。光か、闇か。さぁ。」
「契約するか、しないかで言えよ!」
スッと身を寄せてくる黒羽。
距離感バグってるって。
「御社とともに、覇王化しようでわないか!」
その瞬間、コートがキラッと発光した。
なぜか隣に座っていた、社長が拍手をしている。
「きみ、面白いじゃないか。契約しよう!失礼、失礼、契約するほうは光でよかったかな?」
社長、ストップ、ストップ。
悪ノリの速度がマッハすぎん?
…気づけば社長はハンコを押していた…。
黒羽カオスが勝者の笑みでつぶやく。
「今日から貴殿も……闇の同胞!ともに戦おうでわないか!」
「普通にユーザーって言えよ!」
「なにこの展開…」
完全にまるめこまれた…。
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