リブート、2話を再考する。一香の不誠実さの背景(5話時点)

5話まで見た。黒岩作品お馴染みのクライムサスペンス。

日曜劇場は他ドラマと比べ予算があると言われる。
当然予算を見越して脚本を考えるはずで、構想時点で壮大な物語にならざるを得ない。人の心を丁寧に描写するような話は予算がなくてもできる。
畢竟、派手な演出・奇抜な設定・先の読めない展開が好まれ、ターゲットもそれを好む層にフォーカスされ、結果として話の整合性が二の次になる。
特に一香である。

2話は早瀬と一香の和解回であった。
マスコミの心無い情報に踊らされず、早瀬を信じて帰りを待ってくれている家族がいること、一香には病弱の妹がいることが分かり、息子のためにリブートを決断した自分と重ね、またスイーツ好きという点で夏実とダブり、一香ともう一度信じることにする。リブートという蜘蛛の糸を切られた早瀬の再出発、大切なものを守るために嘘をつき続けるという一香の行動原理が丁寧に書かれた素晴らしい回である。が、一香は早瀬をまだ騙していることが示唆されている。おかしな話ではないだろうか。2話時点で一香が早瀬に向けた笑顔は何だったのだ。まだ本音を隠してるなら、目を逸らす、目元を隠す、表情は映さない等の演出があってよい。しかし当該シーンは、スイーツを美味しそうに頬張り、バックでミスチルの主題歌がかかり、目を見つめあい笑顔をこぼす。それでもまだ大きな隠し事をしてるのはさすがに無理がある。1ヶ月前の展開なんて覚えちゃいないだろ?各話の完成度を上げれば視聴率に繋がるのだと開き直り、視聴者を馬鹿にしているとしか思えない。完全に舐められている。指摘しない視聴者も視聴者だ。
と先程まで思っていた。

さて、2話で和解したはずの一香がまだ早瀬に隠し事をしている件について。結論から話すと、2話で意味する和解は表面上のいわばリブート協定などではなく、一香(夏実)のこれまでの人生の肯定だったのだ。

早瀬の「お互い、家族のために生き残りましょう」の一言で、一香は大義のためにまだ嘘をつき続けて良いんだと安心した、つまり自分の選んだ修羅の道が間違ってないと旦那が背中を押してくれた安心感からきた笑顔だとも読み取れなくもない。権謀術数を巡らすのが日常である一香にとって、一世一代の決断であっただろうリブート詐欺をたかがスイーツと家族で信じてくれる早瀬の素直さは不思議に見えたと同時に、大切なものを守るために嘘で固め続けてきた自分の人生を肯定してくれたように感じた。ましてや夏実は生前、実家の借金の返済のために悪事に手を染めていたことやその他事情を全く話してない訳で、多かれ少なかれ負い目を感じていたに違いない。一香が説得の際に、いつものように論理立てて明確な根拠を用いる訳でなく、この時ばかりは感情に訴えたのは、事情があるとはいえずっと早瀬を騙し続けてきたという後ろめたい思いがあったに違いない。もう一度私と組んでほしい、というセリフは心からの懺悔であるとともに、嘘をつき続けることに対して夫に背中を押してほしいという、妻としての我儘なのだ。

つまり2話での和解は両者にとって意味が違う。
早瀬は単にお互い家族を守るために協力し合うことを了承した。
一方で一香は信じてくれたこと自体を、大義のために嘘をつき続ける人生そのものに対する肯定と都合よく解釈したのだ。協力関係などではなく今後の一香の不可解な行動をも受け入れてくれるのだと解釈したのだ。ここに一香の歪みがある。全部一人で解決しようとするマインドは何一つ変わってない。2話は和解などではなく、断絶のシーンなのだ。

ところでTVerの見逃し配信は1-3話+最新話である。
私がドラマ制作に携わるなら、特に1-3話に関しては何度も見直されること前提で幾重にも解釈できるような回を作る。本作の2話もそうあってほしい。

が、もし上記が当たってるなら難しすぎないか。
愛のためなら何でも許されるのか。脚本の難解さも。


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