ワインのコルクをまとめてみた
誰しも小学校低学年ぐらいの頃に「将来なりたい職業」というものを無理やり書かされたことがあったと思うが、「職業」というものの定義がよく分かっていなかった自分は、周りの友達が「宇宙飛行士」だの「お医者さん」だの書いている横で、「ジャッキー・チェン」と書いてしまった。その紙は回収され各クラス一斉に廊下に貼り出されることになるのだが、子供ながらに賭博黙示録カイジのぐにゃぁ感を噛み締めていたところ、「空港のベルトコンベア」という奇跡の回答が現れ九死に一生を得た。要するに最後の1秒まで何が起こるかわからないので、今ソムリエ一次試験を受験している人は諦めずに頑張ってほしい。
さて、先日インスタで「ワインの栓」をまとめただけの投稿を出したところ、何とこれが大バズりし、みんなコルクが見たかったのか、早く言ってよ!という感じだったのだが、この投稿にあやかろうという企画。ひたすらワインの栓を解説していく。
1. 天然コルク(Natural Cork)

天然コルクは、コルクガシの樹皮から作られる再生可能な天然素材である。軽量で弾力性があり、「コルクを抜く」という行為そのものがワインの楽しみの一部として受け入れられている。短く低品質なコルクは早飲み用ワインに使用され、高品質で長いコルクは長期熟成向けの高級ワインに採用される。是非覚えておこう。
一方で最大の欠点は、ご存じのようにコルク臭(TCA:トリクロロアニソール)のリスクである。カビや濡れた段ボールのような異臭を生じさせるもので、全体の約3〜5%のボトルに影響すると推定されている。まだ自分は出会ったことはないのだが、一発で分かるほどの悪臭だそうだ。
さらに天然素材であるため、コルクごとに酸素透過率が異なる点も注目だ。その結果、長期間保存すると同じロットのワインでも熟成の進み方が異なるボトルバリエーションが生じることがある。
2. テクニカル・コルク(Technical Cork)

テクニカル・コルクは、天然コルクの弱点であるコストやTCAリスクを改善するために開発された加工コルクである。代表的なものは以下の3種類だ。

①アグロメレイト・コルク
写真の一番上のコルクで、コルク粒子を接着剤で固めたもの。安価だが耐久性は低く、早飲み用ワイン向け。
②1+1(ワン・プラス・ワン)コルク
写真の真ん中のコルクで、中央部はアグロメレイトで、両端に天然コルクのディスクを貼り付けた構造。コストと品質のバランスを狙ったタイプ。
③Diam(ディアム)コルク
写真の一番下のコルクで、お馴染みDIAM。コルク粒子を洗浄してTCAを除去した後、再構成したクロージャー。最大の特徴は、用途に応じて酸素透過率を精密にコントロールできる点である。天然コルクに近い使用感を維持しながら、品質のばらつきを大幅に減らしている。
3. 合成クロージャー(Synthetic Closures)

食品用プラスチックから作られる人工コルクである。最も抜栓がしづらい、何のために存在しているか分からないコルクだ。
①成形タイプ(Moulded)
比較的硬く、再びボトルへ差し込みにくい。また酸素遮断性も低いため、数か月以内に飲まれるワイン向きである。
②押出成形タイプ(Extruded)
弾力性が高く、さまざまな酸素透過率の商品が販売されている。Nomacorcなどは長期熟成にも対応できる設計となっている。欠点として、プラスチックがワイン中の香気成分を吸着するフレーバースカルピングが指摘されている。
4. スクリューキャップ(Screwcap)

現在では最も普及が進んでいるクロージャーの一つである。アルミ製キャップを専用ボトルへねじ込んで密封するため、開栓にコルク抜きは不要であり、TCA汚染が発生しないことが最大のメリットである。オーストラリア、ニュージーランド、イギリスでは高級ワインにも広く採用されている。一方、アメリカや中国など一部市場では、依然として「安価なワインの栓」というイメージが残っている地域もある。キャップ内部のライナーには主に以下の2種類がある。
①Tin(スズ)ライナー:
酸素をほぼ完全に遮断する。しかしTinライナーでは酸素供給が極めて少ないため、瓶内で還元が起こり、タマネギや硫黄のような不快臭が生じることがある。そのため醸造家は、瓶詰め時のSO₂添加量などを慎重に調整する必要がある。
②Saran(サラン)ライナー:
こちらはTinライナーと違い、わずかに酸素を透過させる。
5.ガラスストッパー(Glass Stopper)

最後にガラスストッパー。代表的なブランドとしてVinolok(ヴィノロック)が知られている。ガラス製ストッパーに樹脂リングを組み合わせて密封する方式であり、天然コルクと同程度の保存性能を持つ。一方で、密閉性を確保するためには専用ボトルが必要となる。また価格も非常に高く、最高級天然コルクと同程度であることから、プレミアムワインやスーパープレミアムワインでの採用が中心となっている。
以上、基本の5種類をおさらいしてみた。
