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望遠星景の紹介 その1

星空を撮影したタイムラプス動画をよく見かけるようになりました。
超広角レンズや魚眼レンズにて天の川などを対象とした作品が多いですが、今回ちょっと視点を変えて望遠系でのタイムラプス撮影を紹介します。
望遠系では当然画角(視野)が狭いことで事前に撮影対象に狙いを付けることが第一となるでしょう。思いつく対象として月や明るい惑星などにレンズを向けることもありますが、今時期の夜半前に昇ってくる いて座の天の川に位置する明るい散光星雲に狙いをつけてみました。※2026年5月に富士山麓などで撮影
いて座の干潟星雲は光度5.8等と夏に見られる散光星雲の中で一番明るく、かつ視直径も大きい(90.0')です。 赤緯 -24゚23'とほぼ冬至の太陽の赤緯と同じくらいで南中時間には高度30度まで上がります。(北緯36度での想定)

富士山の左肩から昇ってくる干潟星雲(M8)とすぐ上にある三裂星雲(M20)を連写してタイムラプス動画にしたものです。富士山の右側よりも左側から昇ってくる方が(北半球では)時間かけて富士山と一緒に写せます。また撮影地から富士山までの距離も重要で遠すぎると富士山の見かけの高度が小さくすぐ昇ってしまいます。逆に近すぎると富士山の形がわかりにくくなります。この富士山が見える方向と距離との選定が撮影の前段階のキモといえます。#ピンポイントの場所は非公開
この地点から、300mm、85mm、14mm、15mm魚眼の4台のカメラで撮影しました。
※今回は望遠系の300mmと85mmに限定して紹介
300mmの望遠レンズは恒星時追尾、85mmレンズは固定になります。

85mm F1.4→F2.2 ISO8000 2.5秒 連続1800コマ
NIKON D810A AI AF Nikkor 85mm f/1.4D IF

85mmで富士山の全景を捉えました。中望遠の画角は富士山がすっぽりおさまりました。干潟星雲が見え始める15分前から撮影を開始、使用したNikkor-Dレンズは絞り環のあるタイプで、電動で絞りを制御しないため消費電力は少なくなります。結果、連続撮影枚数に有利になります。フィルムカメラ時の最終モデルに該当して今時のデジタルではややハロが見られますが、逆に適度なニジミになってフィルターを付けず常用しています。当時の定価は165,000円とのことですが、15年ほど前に8万円ほどで購入しました。現在は6万くらい(いずれも中古玉)で流通しているようです。

使用カメラのNIKON D810Aは、散光星雲のHα光の感度を高め 赤い星雲の写りが良いのが特徴です。2015年5月28日発売ですでに生産終了となってしまいましたがデジイチとはいえ今でも現役で使用しています。中古でも流通しているようです。

動画化の場合、露出時間がより短いと稜線からゆっくり上がってくるのを見ることができます。1枚の写真目的であればしっかり露光を与えたいところ、動画化前提では割り切っていかに短時間で済ませるかがカギとなります。
このNIKONカメラの設定では4秒以上でないと連写できず(100コマでリミッターとのこと)3秒間隔のインターバルでシャッターを切っています。(※Nikonは露出速度に関係なくシャッターオンの間隔時間、Canonやsonyはコマ間の時間)露出を2.5秒にしているので、コマ間0.5秒が空いてしまうのはやむを得ないところです。コマ間が空いて動画化するとちょっとスムーズさに欠けていますのでタイムラプス動画にする場合はコマ間が短いに越したことはありません。
 
一方、300mm望遠レンズでは、M8干潟星雲とM20三裂星雲に画角内に置き裾野から昇ってくるところを連写しました。M20が見え始めからのスタートで、富士山山頂が画角を抜けたところまで追っています。星雲と山頂の入れ込み具合をどのくらいにするか構図には苦労するところです。M8とM20と山頂がバランスよく収まるように赤緯を上下させ、さらに逆算して赤経を合わせています。仕上がりのアスベクト比を16:9に想定しているので、カメラのアスベクト比4:3から多少の上下は後処理で調整できます。

富士山の左肩から見え始めた干潟星雲
300mmによる連続&追尾撮影 1400コマ

赤道儀(SWAT-330)にて300mm望遠レンズを恒星時で追尾しながら連写(インターバルなし)しています。一昔前まで数秒で散光星雲を写せるなど考えもつかなかったのですが、デジカメの高感度特性と安価になった明るい望遠レンズで容易に写せるようになったのはありがたい限りです。
300mm F2.8  ISO10000  3.2秒 α7R III(HKIR改造機)
AI AF-S Nikkor ED 300mm F2.8D II(IF)

当時の新品価格:660,000円のところ→中古玉でAFに鳴きがあるため格安(10万円)で購入。星&MFでしか使用しないためAF機能は必要ない。このレンズもDタイプで絞り環があり電子接点の無いマウントアダプターを介しても絞りが動作できます。 
ちなみに・・・
ややこしいNikonレンズ名に付くのアルファベットは、MF連動のAiレンズのAi・AFレンズ末尾のSはマルチモードAE対応・Ai AFやAi  AF-Sレンズ末にあるDは、前記Sの特徴+距離エンコーダー内蔵(絞り環あり)・Gは絞りレバーで制御するが絞り環なし・Eは絞り以外も完全電子制御 とのこと
目安として古い順に Ai-S→AF-I→AF-S→D→G→E となるだろうか
手振れ補正のVRは、光学系のレンズに+1枚振動に合わせて動くレンズが追加されているので、その分コントラスト等は落ちるらしい(といっても微々たる劣化)。手持ち撮影には必須の機能でも星やタイムラプス撮影には不要の機能だろう。またDタイプ以降の電子制御の絞りは露出制御の際に1/3EVくらい振れることも多いとの書込みもあるようです。連写すると露出のばらつきの懸念が残ります。
 

富士山麓は首都圏との距離が近く(富士山頂⇔八王子市;直線63km)、撮影時の高度も5度程度と低かったことから赤い星雲の写りは控えめでした。富士山麓での翌晩は標高2000mの地点で改めて干潟星雲を撮影しました。ちょうど南中する時間帯に併せ、植生しているオオシラビソの樹冠が掛かる位置に赤道儀を据えています。赤道儀では恒星時よりも遅い0.5倍や0.66倍で追尾しながら連写すると、干潟星雲が画角内を右に動きながら樹を追い越す様子が動画で見せられます。構図は、まずM8とM20をバランスよく中央に置き、赤経クランプを緩めて画角の左端においてから連写をスタートです。0.66倍速でほぼ1時間で被写体は左から右端に移動していきました。4秒露光かけましたが、標高が高く街明かりの影響が少ない分、星雲の写りは富士山麓よりも段違いに良くなりました。
ネット上では、1画像のために複数枚を合成して(後ろめたいからかスタックと言い換えるそうです)超微細構造の星雲をあぶりだす画像に人気がありるようですが、明るい望遠レンズを使えば1枚でもこのくらいは写すことができます。頻繁に通過する人工衛星もこまめに消去する必要もありません。動画化すると逆に臨場感をみせてくれます。双眼鏡で見られるイメージに近いかと思います。
300mm F2.8 ISO10000 4秒 ※暗い空のため富士山麓より多め
AI AF-S Nikkor ED 300mm F2.8D II(IF)

干潟星雲を左側に置いてスタート
ほぼ1時間の連写 1000枚を動画化
今回の失態は気温低下に伴うピンボケ
8度→4度 終盤のピンが甘い

こちらのカメラは(300mm装着)は、α7R III(ILCE-7RM3)※HKIR改造機
ベースは、7952 x 5304の4240万画素機でタイムラプス8K動画にも対応でき4K動画も可能なため多用しています。

 
以下、現在使用している望遠系のレンズを紹介します。

 AI AF-S Nikkor ED 400mm F2.8D II(lF)
 AI AF-S Nikkor ED 300mm F2.8D II(IF)
SIGMA 135mm F1.4 DG | Art

400mm F2.8 は中古玉を 20万余りで購入(新品だと1,232,000円)
ケースなし フィルターなし フードなし であったため別途工夫しています。単体重量4.4kgと300mmF2.8より格段に重く大きくなるので架台も選ぶようです。300mmから400mmになるとさらに画角も狭くなって稼働率も停滞ぎみです。
 
2026年前半に135mmで開放でも使えそうな明るいレンズが発売されたので稼働していなかったレンズ数本を下取りにだして入手しました。

F1.4の最新モデルで今まではF2から露光時間が半分になります。シグマの類似モデル105mmF1.4(所有)と同等のサイズで難なく小型赤道儀でも大丈夫で使い勝手も良さそうです。F1.4の明るさを生かして今後は多用していきたいです。

135mm F1.4 DG | Art と ART 105mm F1.4 DG HSM を比較

135mm F1.4 DG | Art ⇔ ART 105mm F1.4 DG HSM

単体(フードなし)では135mmの方がコンパクト
レンズキャップは同じ 
フードはバヨネット VS 被せ小ねじで固定

135mm F1.4 DG | Art ⇔ ART 105mm F1.4 DG HSM

135mmのフードが深い分、フード付きではほぼ同様の全長になります。
重量(ソニー Eマウント)1,420g:1,720g →105mmが重い
あと大きな違いが絞り環の有無で、105mmには絞り環がない 
※写りの違いは次の機会に


AI AF-S Nikkor ED 400mm F2.8D II(lF)4,440g
AI AF-S Nikkor ED 300mm F2.8D II(IF)2,560g
SIGMA 135mm F1.4 DG | Art  1,420g

望遠系での留意点は重量による固定締め付けのゆるみと温度によるピント変化だろう。赤道儀で追尾しながら数時間撮影すると(子午線通過など)締め付けが緩くなって動いてしまうことがあります。また体感的で定量は取っていないが温度が5度変わるとピントの移動が発生します。この対応となると撮影の1時間前から外気に慣らして置くことや夕暮れ時の気温の落差が大きい時間帯は覚悟しておくことになるだろうか
望遠系ゆえ架台がしっかりしていないとブレの発生の元因となります。単発でなく連続撮影しているので1ショット以上に架台には留意する必要があります。小型赤道儀の架台は5Kg級の大型三脚(GITZO)を常用しています。
 

Nikon10センチ用赤道儀 +400mm と SWAT-330 +300mm
Nikon10cm用赤道儀の追尾モーターは改造して追尾速度の選択肢を増やしている
400mm F2.8 は別売りのバックで移動
付属していなかったフードは100均のゴミ箱を改良
300mm F2.8 はセミハードケースにコンパクト収納

現在主力のデジカメたち 

4台のα7RIII D810A(85mm)

ミラーレスはα7RIIからsonyをメインで使用しています。光学ファインダーのデジカメではピントだしに不安のあった望遠系の焦点合わせが解消されました。次のα7RIIIになって連続コマ数に余裕があるバッテリーが替わり 現在も主力機になっています。以降のモデルも試したものの、消費電力が変わったためか連続枚数の減や高感度ノイズの発生が気になって未だメインになっています。うち1台は赤い星雲の写りに特化したHKIR改造機で撮影対象に寄って使い分けています。現有の4台あるα7RIIIの区別がつくようにストラップの色を変えてたり色違いのテープを貼ったりしています。ストラップはドンケの綿製で、細身であり嵩張らずに使いやすい。
SonyのEマウントは、canonFD&EFや Nikon-Fなど他社のレンズが装着できるため汎用性が高い。特にNikonのDタイプのレンズは絞り値がそのまま使えるため融通が利く。DIIであれば現行レンズと遜色のない光学系であることも利点だろう。F2.8の300mmや400mmは中古市場では新品販売時から格段に安価で手に入るのでレンズの明るさを第一とする望遠系星景動画には良い選択肢といえるだろう
さらに古いMF玉まで遡ると、さすがにデジタルではシャープさに劣りハロも大きいため避けた方が無難と思える。
※約20年前に購入 Ai Nikkor ED 200mm F2S (IF) #現役引退

このほか望遠系の星景タイムラプス動画として月や惑星の出入りを撮影している。天体系ではオリオン座大星雲なども良い対象だろう

↑6分54秒から 剱岳北方稜線から昇るオリオン座大星雲(M42)
300mmにて恒星時の1/2速で追尾しています。
望遠系では、通常(広角系)以上に撮影場所の選定が大切で、透明度など空の状態にも大きく影響されます。固定での撮影も可能であるが赤道儀などで天体の動きに追尾すると継続時間が長くなり、より臨場感のあるタイムラプス動画となります。一方、残照の時間帯ではリアルタイム動画も併用し、タイムラプス撮影と併用しています。
望遠星景動画の良さは、「星たちを観る場所」にて「宇宙からやってくる星の光」がより間近に感じられることだろう。稜線から飛び出てくる星雲の姿、樹間から届く星の光 現地で見られるシーンが再現できるのだ。
今後もその時その場での情景を追ってこのサイトでも紹介していきます。


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