11分遅れても「定刻」だった。世界一時間に正確なアエロメヒコに乗って考えたこと

本日、出張を終えてサン・ルイス・ポトシへ戻るため、アエロメヒコ航空のAM1538便に搭乗した。
機内へ入る際、入口付近に貼られていたステッカーが目に入った。
「CIRIUM ON-TIME PERFORMANCE GLOBAL WINNER 2025」
その下には、スペイン語でこう書かれている。
「LA AEROLÍNEA MÁS PUNTUAL DEL MUNDO」
日本語にすれば、
「世界で最も時間に正確な航空会社」
という意味である。
メキシコの航空会社が世界一の定時運航率を獲得しているというのは、失礼ながら少し意外に感じた。
予定時刻19時45分、到着は19時56分
本日のAM1538便は、予定では19時45分到着だった。
実際に到着したのは19時56分。
予定より11分遅れである。
乗っている側の感覚としては、11分遅れると「今日は少し遅れたな」と感じる。
特に出張帰りは疲れている。
早くホテルや自宅に戻りたいと思っているため、普段以上に数分の遅れが長く感じられる。
ところが、航空業界の定時運航率の基準では、この便は「定刻到着」として扱われる。
一般的な定時到着の基準は、予定到着時刻から15分未満で到着すること。
つまり、19時45分到着予定の便であれば、19時59分までに到着すれば定刻扱いになる。
今回のAM1538便は11分遅れだったため、乗客の体感としては遅れていても、統計上は立派な定時運航ということになる。
この基準を知らなければ、
「世界一時間に正確と書いてあるのに、今日も遅れているではないか」
と思ってしまうかもしれない。
しかし、数字の定義を知ると見え方が変わる。
アエロメヒコは2025年に世界1位
航空データ分析会社Ciriumが発表した2025年の定時運航率ランキングで、アエロメヒコは世界の主要航空会社部門1位になった。
定時到着率は90.02%。
およそ10便に9便が、予定到着時刻から15分未満で到着したことになる。
しかも、アエロメヒコの世界1位は2024年に続いて2年連続である。
2025年の2位はサウディア、3位はスカンジナビア航空のSASだった。
1位のアエロメヒコは90%を超えており、世界的に見てもかなり高い水準である。
日本人の感覚では、JALやANAの方が時間に正確な印象が強い。
実際、両社とも高い運航品質を持っているが、2025年のCiriumの世界総合ランキングでは、アエロメヒコが上回った。
なぜアエロメヒコは時間に正確なのか
アエロメヒコの定時率が高い理由は、単にパイロットが急いで飛んでいるからではない。
飛行機の運航は、機内だけで完結するものではない。
到着便の予測、使用する搭乗口、荷物の積み下ろし、燃料補給、清掃、乗客の搭乗、航空管制、空港の混雑など、多くの要素が関係する。
どこか一つが遅れると、その遅れが次の便、そのまた次の便へと連鎖していく。
アエロメヒコは、運航の中心であるメキシコシティ国際空港を中心に、到着時刻の予測やゲート管理、地上作業の調整を細かく行っているという。
重要なのは、遅れが発生してから取り戻すのではなく、遅れそうな兆候を早めにつかみ、機体、人員、搭乗口を先回りして動かすことである。
つまり、アエロメヒコの強さは、
「一度も遅れないこと」
ではなく、
「小さな遅れを、大きな遅れへ発展させないこと」
にあるのだと思う。
本日のAM1538便も、まさにその典型だったのかもしれない。
11分遅れたものの、15分の境界を越える前に到着した。
体感と統計は必ずしも一致しない
今回、改めて面白いと思ったのは、人間の体感と統計上の評価には差があるということだ。
乗客にとっては、5分でも10分でも遅れは遅れである。
一方、航空会社の運航管理では、15分未満か、それ以上かという区切りで評価される。
どちらが正しい、間違っているという話ではない。
見ている立場と目的が違うのである。
乗客は、自分がいつ到着できるかを気にする。
航空会社は、何万便、何十万便という運航全体の安定性を評価する。
一便だけを見れば11分の遅れ。
年間全体を見れば、90%以上を15分未満に収めた世界1位の航空会社。
この二つは矛盾せず、同時に成り立つ。
メキシコの航空会社に対する印象が少し変わった
メキシコで生活していると、時間について日本とは違う感覚を持つ場面が少なくない。
道路は渋滞する。
手続きに予想以上の時間がかかる。
予定が直前に変わることもある。
そのため、メキシコの航空会社が「世界で最も時間に正確」と言われると、最初は少し不思議に感じる。
しかし、実際にはアエロメヒコは、世界の航空会社の中でも極めて高い水準で運航を管理している。
もちろん、毎便必ず予定時刻どおりに着くわけではない。
天候や空港混雑の影響を受けることもある。
それでも、年間を通して約90%を定時範囲に収めるのは簡単ではない。
本日は出張帰りで疲れていたため、11分の遅れを少し長く感じた。
それでも、機体を降りた後に入口のステッカーの意味を調べてみると、
「なるほど、これでも定時なのか」
と少し納得した。
世界一の定時運航とは、すべての便が秒単位で正確に動くという意味ではない。
小さな遅れは発生しても、それを15分以内に抑え、大きな混乱につなげない。
そうした日々の積み重ねが、アエロメヒコの世界1位につながっているのだろう。
今日のAM1538便は、11分遅れ。
しかし、統計上は定刻到着。
乗客としては少し遅く感じたが、世界一の定時運航を、ある意味で実感したフライトだった。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!