地上波のコンプライアンスが厳しかった時代のお色気番組『TV海賊チャンネル』について
『TV海賊チャンネル』は、1984年から1986年まで日本テレビ系列で放送されていた深夜のお色気番組。番組名はその名の通り『海賊のように荒れている過激な番組(チャンネル)』という意味で名付けられており、「朝までやれない!」という副題が付いている。同じ日本テレビ系列で放送されていた深夜のワイドショー番組「11PMの兄弟番組」というコンセプトの下で同時期に放送されていた「オールナイトフジ」に対抗するような形で制作された。当時は令和現在よりもテレビの影響力が大きかったため、それに反映するようにテレビ放送における性表現・暴力的表現(お色気や過激なもの)に対しても今と比べ物にならないほど風当たりが強い時代であった。このため、監督官庁である総務省(当時:郵政省)からクレームがつき、衆議院予算委員会でも槍玉に上がってしまったことから1986年4月の番組改編期のタイミングで終了。番組自体も約1年5ヶ月間と短命に終わった。平均視聴率は5%台。現在、1953年生まれ~1962年生まれ前後の60代~70代の人たちがこの番組のリアルタイム世代に当たる(番組放送当時:20代~30代で成人していた人たち)。

『オールナイトフジ』には当初「性風俗探訪コーナー」が存在していたが、この番組ではそれ以上に性風俗を前面に押し出した企画を多く並べ、女性の裸体の一部分がランダムに放送される内容の「ティッシュタイム」やラブホテルを利用中のカップルに山本晋也が突撃取材でクイズを出題し、正解したらコンドームをプレゼントする「ラブホテルクイズ」などのコーナーがあった。。またCMに入る前に、上半身裸の女性がピアノを弾きながらその後の内容を紹介するといったものもあった。

その一方で元々は「11PM」から派生した番組ということで洋楽の最新ビデオクリップを紹介していたS-KEN担当の「ET」(EntertainmentTV)をはじめとして、西森マリーの映画評論や九十九一の一人芝居「3分間劇場」、谷啓率いるバンド「ザ・スーパーマーケット」のライブが毎週放送されるなどお色気以外のコーナーも放送されていた。11PMはワイドショー(現在で言う情報番組)とエロの印象が強かったのに対し、TV海賊チャンネルはバラエティとエロのイメージが強い傾向があった。

番組途中で『読売新聞あすの朝刊』が挿入されていたが、中断という形で別番組扱いにするのではなく番組内の1コーナーという位置づけにして番組レギュラーのタレントが読売新聞東京本社のスタジオで読売新聞社の担当キャスターと一緒に番組を進行するという演出もあった。番組末期は所ジョージの遊び感覚重視の内容に変更し、スタジオにモニターを持ち込んで裏番組「ハロー!ミッドナイト」(TBS)を流し、その様子を見るという実験的な内容もあった。

生放送でAV女優(滝川真子)が自分の下着をプレゼントする企画で前張りもなしに脱ぎだし、所ジョージと山本晋也がフライパンで交互に隠して脱いでいたが画面に女性の秘部が映ってしまう可能性があるため、フロアディレクターがあわてて止めに入るといったハプニングが発生したことがある。また別の回ではスタジオ内に本格的な銭湯のセットを作り、10人程の全裸女性が実際に湯船に浸かる様子などを生放送で紹介していたことから放送上で陰部が映った可能性があり、生放送翌々日の月曜日に日本テレビ本社を管轄とする麹町警察署より事情聴取を受けた。しかしそれに対応した番組のプロデューサーは「影」だと言い張り、注意だけで済んだという。このような過激な内容だったことから1985年に当時、総理大臣を務めていた中曽根康弘が総務省を通じて深夜番組自粛を通告する事態となった結果、放送内容を一部変更せざるを得なくなったが、最終的には番組自体も終了する結果となった。以後、この番組の「ティッシュタイム」など一部の人気コーナーはバラエティ番組『スーパーJOCKEY』の「スケスケ生着替え」や「泡風呂生着替え」といったコーナーに影響を与えた。
