見出し画像

『BCクロカン宣言』の背景

2023年にBCクロカン宣言という文章をどーんと出したのですが、その背景についてあまり語っていない。
当時はsputnikという輸入代理店に働いており、BCクロカンで遊ぶ小規模なサークル的に「sputnik ski hiking club」という活動をしていた。
BCクロカンという遊び方に何故いま取り組むのか、その意味はなんなのか。

私は15年以上スキー業界で働き、いわゆるフリースキー・バックカントリースキーを標榜して、普及してきた側だった。管理されていない山に入り、広大なフィールドで、ノートラックのパウダースノーに綺麗なターンを刻む。これはステレオタイプなバックカントリーのイメージではあるが、とても気持ちの良い、楽しい遊びであることは間違いない。

ただ、この遊び方、実は誰もができるものじゃないということを忘れてはならない。まずスキースキルが高い人でないと、バックカントリーエリアでは安全に移動して帰ってくることすら難しい。バックカントリーに入門する前にゲレンデで何年間も練習しないといけない現実がある。

また雪崩リスクに備える必要がある。スキー上級者が気持ちよく滑るために狙う斜面は斜度30度オーバーの急斜面であるということ。雪崩のリスクは一般的に30度以上の斜面で一気に上がる。ということは、気持ちよく滑れば滑るほど、雪崩リスクが増え、万が一事故が起きた場合にはセルフレスキューという自分達だけの力で仲間を救出する必要がある。これは精神的にかなり重荷になる。

さらにバックカントリー装備はとても高価なものが多く、経済的に余裕のある人しか買えないレベルになっている。スキー板は15万円、ビンディングは10万円、ATブーツは10万円、クライミングスキンは4万円、スキークランポンは1-2万円、ヘルメットは3万円、ゴーグルも3万円、サングラスも2万円、そしてバックカントリーユースに耐えうるスキーウエアは上下で20万円くらいする。さらにアバランチギアは必須で、バックパック4万円、ビーコン6万円、プローブ1万円、ショベル1万円、、、これらは一般的な装備である。ここにプラスしてそれぞれの山行に合わせて装備を追加する必要がある。更に雪山を極めていく場合は、アイゼン・ピッケル・ハーネス・ロープなどのクライミングギアも必要になってくる。ざっと予算は50万円~100万円くらいになる。これは始めたいと思った20代の子が始められる気がしない。

装備やリスクは良いとしよう。

問題はその先である。

現代のBCスキー・アルパインツーリングの道具はとても高性能であり、非常に硬く、重く、取り扱うためには体力や筋力、ギアへの深い理解が必要になる。これは更に初めて取り組む人を苦しめる。道具を買い揃えたからと言って、使いこなせなければ山で安全に行動できるとは思えない。

そもそも、山でスキーを履いて遊んでみたい人に、そこまでハードなギアは必要なのか?疑問が湧いてきたのだ。

もっと柔らかな道具で、軽くて、暖かく、操作が難しくない遊び方はないものだろうか。そんな想いを抱いているときに出会った道具がBCクロカンだった。

ブーツも履きやすく、板も軽く、登り下りのモードチェンジもなく、シールも使わなくてよくて、雪崩リスクにあまり左右されない。道具もバックカントリースキーの世界に比べたら安い。

これはこれから雪で遊びたい人の素晴らしい選択肢になるなぁと感じた。

そんな経緯があって、BCクロカン宣言は作られていくのであった。

「BCクロカン宣言」はこちら

いいなと思ったら応援しよう!