「母と猫」~家族との絆~
母は東日本大震災の直後、一匹の猫と出会いました。
名前は「コロ」
茶トラ柄のメスの猫ちゃんです。
当時コロは母の家の隣に住んでいた外国籍の方が飼っていたそうですが、震災を機に帰国してしまい、コロは取り残されてしまいました。
母の家の近くをウロウロしつつも、人間不信に陥ってしまったのかなかなか懐かなかったそうです。
しかし、空腹には勝てません。
見かねた母がご飯を毎日あげていたところ、少しずつコロは母に安心感を抱くようになりました。
「この人間は、私に危害を加えない。」
と思ったのでしょう。
心を開くようになったコロは、その後母の家に引き取られることになりました。
それから14年。
コロは今、天に召されようとしています。
内臓の病気が全身にまで影響を及ぼし、心臓まで悪くなってしまったようです。
信頼できる獣医さんに何度も診てもらいましたが、とうとう危険な状態にまで来てしまいました。高齢であることも大きいようです。
普段気丈な母ですが、ここ最近はすっかり元気を無くしています。
正確に言うと精神的につらいのだけど、何とか気丈に振舞っている状態です。
母「コロがいなくなった後のことを考えるのが怖い。」
母はそう、私に言いました。
この世界にはたくさんの悲しいこと、つらいことがあります。
その中でも最も悲しく、つらいことはやはり「死別」だと思います。
一緒にいた時間が長いほど
たくさんの思い出があるほど
愛情をいっぱい注ぐほど
別れはよりつらくなります。
私「お母さん、コロはお母さんに出会えて幸せだったはずだよ。」
私は母に、そう言いました。
私「コロが"もしも"の時になったら、きちんと天国まで見送ってあげよう。いっぱい褒めてあげよう。今まで頑張ったねって。」
この言葉が母にとって救いになったかどうかは分かりません。
正直、このような状況下でどんな言葉を掛ければよいか。
それは大人になった今でも分からないままです。
母「うん、そうだね。」
と、母は言ってくれました。
私は今、自分に何ができるのかを考えています。
家族が悲しい・つらい状況に陥ったとき、どのように支えるかを。
どのように寄り添うかを。
後に残された者たちが、どうすれば強く生きていけるかを。
正しい答えなんて分かりません。
それでも私は一つ一つ、受け止めていきたいと思います。
