直接法は難しいと再認識した話【日本語教育】
日本語教育における”直接法”とは・・・
日本語のみを用いて授業をする方法。
文法事項の解説なども含めて、学習者の母語ではなく、授業の全てを日本語で行います。
日本における日本語学校で主流となっている、”日本語で日本語を教える”教え方です。
私が知っている限り、留学先で現地語を勉強をする場合は概ねこの手法が採用されています。
例:台湾の語言中心、韓国の語学堂、フィリピンの英語スクールなど
学習者にとって、外国語で外国語を学ぶのは頭の処理が大変。
けれど教師にとっても、良いインプット形成には工夫が不可欠で。
・・・とっても難しいのです。
そもそも日本語が難しい
日本語はなかなか難解な言語です。
ひらがな・カタカナ・漢字があり、活用があり、主語や目的語が省略も多い。
日本語がわからないから勉強しに来ているのに、日本語で教えます。
英語や学習者の母語ができる必要はありません。
しかし、学習者が勉強した語彙・文法を駆使してコミュニュケーションをするのは、母語話者が想像する以上にテクニカルな行為なんですね。
日本語教師の養成講座では、この”直接法”を必死に勉強します。
わたくしも、みんなの日本語(一般的な初級の教科書)の索引を毎週にらめっこしながら、教材分析シートと教案を作成していました。
”理由の表現が使いたいけど、簡単なのどれだ?”
”結果につながる表現を入れたいけど、習ってないなぁ”
”論理構造をつなげたいのに!”
”うわぁ、省略して言うのが癖になっている・・・!”
養成講座の修了生なら、誰しもが通る道ではないでしょうか。
”間接法”とは
日本語以外の言語を使って、間接的に日本語を教える方法です。
主に学習者の母国語で授業が行われるため、特に学習の初期において、学習に対する負担を軽減できます。
そして、非ネイティブの先生でも教授が可能です。
日本の中・高等教育における英語学習が典型例。
デメリットは「母語で考えて訳す」が癖づいてしまうこと。
英語が読め、聴けるのに話せない日本人が多い状況から、容易に想像できることと思います。
養成講座でこの”間接法”は勉強しません。
ただ、やはり外国語で教授をするという観点からなんとなく
「難しいんだろうなぁ」と言う意識がありました。
”養成講座を修了したら、間接法教授を学ぶスクールにも行ってみようかな”
なんてことを、漠然と考えていたわけです。
ノリで間接法に挑戦?
そんなワタクシはある日突然、間接法に挑戦する機会に遭遇します。
養成講座を修了したワタクシは、日本語教育現場の状況や自身の意思決定により、当面は告示校以外での職を探すことにしました。
(ことの経緯は下記を参照ください)
そこで、海外の企業従業員様に対するオンライン日本語教育サービスの求人に挑戦してみることに。
応募をすると早速、とんとん拍子に模擬授業の日取りが決定しました。
それも二日後。
あれ?
間接法どうやって教えるんだ・・・・・・
まぁ、やるっきゃないか?
仕事の合間に大急ぎで教科書を読み込み、模擬授業の日を迎えました。
初の間接法とその所感
直接法の方が難しいんじゃ・・・?
これは模擬授業が終わり、Zoomを切断した私の独り言です(笑)
確かに、外国語を喋ること自体へのハードルはあります。
けど生徒は母語話者です。喋ってさえしまえれば、配慮はさほど必要ありません。
言葉が拙くとも、おおかたのニュアンスは汲み取ってもらえます。
直接法では相手を見ながら出力の加減を思案しなければならない。
間接法は、出力ができればOK。
なんて気が楽なことか!
結構、すんなり授業を進め、さくっと終わらせることができてしまった。
教材分析や授業準備にかかる時間も圧倒的に抑えられました。
語学力に依存するのは”事実”
間接法には語学力が不可欠。
これはあくまで、ワタクシの経験則ですが
CEFR A2ほどあれば授業の進行、B1でニュアンスの説明が可能な印象です。
易しい表現でも十分に伝達できます。
YouTubeで各言語にて文法説明が行われている動画などから、便利な表現を覚えておくのがオススメです。
直接法は高度なスキルだと再認識
直接法で教壇に立たれている先生方はすごい。
そう、実感せざるを得ませんでした。
直接法と間接法は言うなれば硬式と軟式のようです。
求人でよく見かける「告示校で⚪︎年以上の教授経験」の表記。
日本語教育の現場で告示校での教授経験が重視される理由がよくわかった気がしました。
知識と経験があってこそできる手法ですね。
じゃないと、学習者はちんぷんかんぷんにしてしまいます。。
とはいえ、世の中には日本語教師に対しさまざまな需要があります。
日本語だけの枠に捉われずに、言語の橋渡しをしたり、学習者の理解を母語ベースで整理する力もきっと大きな力になる。
まだどちらも入り口に立ったばかりのペーペーですが、
この手の違いを早々に体感できたことは大きな収穫でした。
せっかくなら、これからもいろんな現場や教え方に触れてみたいですね。
