いにしえのカタチ
古墳公園を歩いた。
山の中に、ぽつりぽつりと古墳が点在している。
少し土が盛り上がっているから、それとわかる。
知らずに歩けば、ただの丸い丘かもしれない。けれど知っていると、それはたちまち古代のかたちになる。
古墳だけではない。
竪穴式住居や高床式の倉、石で組まれた棺。
それから、物見櫓のようなものも、あった。
どれも、きちんと手を入れて再現されていて、まるで小さな村のようだ。人の姿はほとんどなく、たまにすれ違う人と「こんにちは」と声を交わすくらい。
その「こんにちは」が、山の緑と鳥の声に混ざって、やけに澄んで聞こえた。
鳥たちは元気で、ビーチクパーチクとにぎやかだ。ときどき、遠くのほうから「ほーほけきょ」と響く。
竪穴式住居の屋根に近づいてみると、藁葺きの重みが、想像よりもずっとずしりとしていた。
昔の人は、こんな屋根の下で火を焚いて、眠っていたのだろうか。
高床式の倉は、風の通る場所にあり、柱がしっかりと高く伸びている。あそこに米や種をしまっていたのだろうか。
あたりには、余計なものが何もない。
鳥の声と、木々の葉ずれと、自分の足音だけ。
それだけでじゅうぶんだった。
弥生時代のことが、ふと頭に浮かんだ。卑弥呼や邪馬台国、中国では三国志の終わりごろだっただろうか。
そんなふうに思いながら、坂をのぼっていると、自分が少しだけ、時をまたいだような気がしてきた。
足元の草の匂いが、なんとなく懐かしい気がしたのは、そのせいかもしれない。
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