🌟 なぜエヴリシング・バット・ザ・ガール『Love Not Money』はUKロック史に残る名盤なのか? 🌟
🎧 まずはこの一曲!『Love Not Money』を象徴する、ジャングリーなギターと鮮やかなホーン 🎧
軽快でアップテンポなドラムのビートと共に、ベン・ワットがかき鳴らす高速かつジャングリーなギターのストロークが飛び込んできます。そこに色鮮やかなホーン・セクション(サックスやフリューゲルホルン)が合流し、ネオ・アコースティック特有の疾走感と青春のきらめきが全開になります。ジャズ調のデビュー作から完全にインディー・ギター・ポップへと脱皮したことを高らかに告げる、彼らの初期を代表する大名曲です。
「When All's Well」
Everything But The Girlとは?:ボサノヴァからインディー・ポップ、そしてクラブへと変貌を遂げた珠玉のデュオ
エヴリシング・バット・ザ・ガール(Everything But The Girl、通称EBTG)は、ハル大学の学生だったトレイシー・ソーン(ボーカル)とベン・ワット(ギター/ボーカル/キーボード)によって結成されたイギリスのデュオです。彼らが1985年に発表した第2作を取り上げます。前年のデビュー作『Eden』でジャズやボサノヴァを基調とした洗練されたアコースティック・サウンドを提示した彼らですが、本作では一転して、当時のUKインディー・シーンを席巻していたザ・スミスなどにも通じる「ギター・ポップ(ジャングル・ポップ)」へと大きく音楽性をシフトさせました。
1. ロビン・ミラーのプロデュースによる、ソリッドなギター・サウンドへの転換
プロデューサーには前作『Eden』と同じくシャーデーなどを手掛けたロビン・ミラーを起用していますが、そのサウンド・アプローチは大きく異なります。前作のメロウなムードは後退し、代わりにベン・ワットのエッジの効いたエレクトリック/アコースティック・ギターのカッティングが前面に押し出されています。そこにホーン・セクションやペダル・スティール・ギターが効果的に絡むことで、ただの荒削りなインディー・ロックにはならない、確かな音楽的教養に裏打ちされたポップ・サウンドが構築されています。
2. EBTG史上、最も「政治的・社会的」なソングライティング
サウンドがより直接的でソリッドになったことに呼応するように、歌詞の内容も極めて社会派でメッセージ性の強いものになっています。資本主義への批判、北アイルランド問題、女性への抑圧、そして名声の虚無感など、1980年代半ばのサッチャー政権下のイギリス社会が抱えていた暗部や葛藤が、トレイシー・ソーンの低くスモーキーな歌声を通してシニカルかつ知的に綴られています。
3. アルバム内の主要楽曲紹介
「When All's Well」 前述の通り、高速のギター・カッティングと高揚感あふれるホーン・セクションで幕を開けるオープニング・トラック。ベン・ワットのソングライティングのセンスと、インディー・ポップ的な疾走感が完璧に融合した名曲です。
「Ugly Little Dreams」 トレイシー・ソーンの憂いを帯びたボーカルが際立つ、やや落ち着いたトーンのナンバー。精神科病院に収容された実在の悲劇のハリウッド女優、フランシス・ファーマーに捧げられており、女性の生きづらさに対する静かな怒りと哀悼が込められています。
「Are You Trying to Be Funny?」 跳ねるようなドラム・ビートと、ペダル・スティール・ギターの音色が生み出すカントリー・ミュージック的なアプローチが印象的な楽曲。彼らの持つ幅広い音楽的ルーツが、見事なインディー・ポップとして昇華されています。
結論
『Love Not Money』は、デビュー作の成功で貼られた「おしゃれなカフェ・ミュージック」というレッテルを自らの手で引き剥がし、生々しいギターの響きと鋭い社会的メッセージを突きつけた、EBTGにとって非常に野心的な挑戦の記録です。彼らの長いキャリアの中で最も「インディー・ギター・ポップ」の熱量と焦燥感に満ちた、美しくもほろ苦い80年代UKロックの隠れた傑作について書きました。
本記事で紹介したアルバム
アーティスト名:エヴリシング・バット・ザ・ガール(Everything But The Girl) /アルバム名: Love Not Money
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