🌟 なぜイアン・ブラウン『Unfinished Monkey Business』はUKロック史に残る名盤なのか? 🌟
🎧 まずはこの一曲!『Unfinished Monkey Business』を象徴する、猿の王の帰還 🎧
静寂を切り裂くように始まる、東洋的な響きとサイケデリックなグルーヴ。「俺の星(My Star)で会おう」と繰り返すフックは、バンドを失ってもなお揺るがない、王者の不敵な宣言として響きます。
「My Star」
イアン・ブラウンとは?:不屈の「キング・モンキー」
イアン・ブラウン(Ian Brown)は、伝説的バンドザ・ストーン・ローゼズ(#9)の元フロントマンです。 その類まれなカリスマ性と、「キング・モンキー」の愛称で親しまれる独特の風貌・立ち振る舞いは、リアム・ギャラガー(オアシス)をはじめとする数多のフォロワーを生み出しました。1996年のローゼズ解散時、世間の目はギタリストのジョン・スクワイア(ザ・シーホーセズを結成)に期待を寄せていましたが、イアンは本作で鮮やかなソロ・デビューを果たし、ソロ・アーティストとしての評価を決定的なものにしました。
1. 「未完の仕事」を終わらせるための、DIY精神の勝利
タイトルの『Unfinished Monkey Business』は、「ローゼズでやり残したこと」を意味しています。 ジョン・スクワイアが洗練されたロック・バンドを結成したのに対し、イアン・ブラウンは楽器経験が浅いにも関わらず、ベース、ドラム、ギターの多くを自ら演奏しました。この「DIY精神」こそが本作の魂であり、パンクにも通じる初期衝動とグルーヴが、技術的な拙さを補って余りある魅力を放っています。また、ローゼズのリズム隊であるマニ(Ba)とレニ(Dr)が一部楽曲で参加していることも、ファンにとってはこのアルバムこそが「正統な後継者」である証となりました。
2. ローファイ・ファンクと「ガーデニング・グローブ」の伝説
本作のサウンドは、極めてローファイ(低音質)で、独特の温かみがあります。 彼が自宅の寝室などで録音したトラックは、プロのスタジオ作品にはない密室感と、ドープなファンクネスを醸し出しています。「ベースを弾く際に、指が痛くないようにガーデニング用の手袋をしていた」という真偽不明の伝説が生まれるほど、その演奏はプリミティブですが、それがかえって彼のボーカルの存在感を際立たせています。
3. DIY精神が炸裂する、グルーヴィーな名曲たち
「My Star」 NASAの通信音声をサンプリングした、スペーシーでサイケデリックなナンバー。「君を俺の星で見かけるよ」という歌詞は、かつての相棒ジョン・スクワイアへのメッセージとも解釈されています。
「Corpses in Their Mouths」 「口を開けば死体が飛び出してくる」と、音楽業界や裏切り者を痛烈に批判した曲。美しいメロディと、毒のある歌詞のコントラストが素晴らしい、彼のソングライティング能力の高さを示す一曲です。
「Can't See Me」 レニがドラムで参加した、ファンキーなダンス・ロック。うねるようなベースラインと、呪術的なボーカルが絡み合い、ローゼズ時代の名曲「Fools Gold」を彷彿とさせる熱狂を生み出しています。
結論
『Unfinished Monkey Business』は、技術よりも「アティチュード(姿勢)」がロックンロールの本質であることを証明した傑作です。洗練された演奏はありませんが、ここには一人の男が逆境を跳ね返し、再び王座に座るまでのドキュメントが生々しく刻まれています。マンチェスターの裏路地から宇宙へと繋がる、奇妙で愛すべき猿の惑星です。
本記事で紹介したアルバム
バンド名:イアン・ブラウン(Ian Brown) /アルバム名: Unfinished Monkey Business
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