蝋燭の絵
イリスの地図シリーズ
|第9回|瞑想のために
地図を描いたり、思い出の場所を辿っていると、
記憶があるところで途切れてしまうことがあります。
何か大切なものがあったはずなのに、
そこから先が思い出せない。
まるで、記憶の奥に沈んでしまったように。
そんな時、静かな音楽をかけて、蝋燭を灯します。
揺れる炎を見ていると、
少しずつ、心が静かになっていきます。
ある日、その光を見ながら、
この光を描いてみたいと思いました。

白いキャンバスに向かい、筆を走らせると、
それまで風景を描いていた時とは、
少し違う感覚がありました。
描き終えた蝋燭の絵を、机の前の壁に貼り、
その前で、また静かに目を閉じます。
炎は揺れていないのに、
なぜか心のほうが、わずかに揺れるのを感じました。
いまの私にとって、
瞑想は制作の一部になりつつあります。
そしてこの蝋燭の光もまた、
イリスの地へと向かう、
ひとつの入口なのかもしれません。
この光を、もう少し描いてみたいと思っています。
