【双極】「私はうつ?躁うつ?」双極症と他の病気の見分け方とは?
今回は「双極症(DSM-5-TRでの表記は双極性障害)」について解説します。
昔は「躁うつ病」と呼ばれていた病気です。
日常的に耳にすることもありますが、実際には理解しづらい面も多くあります。特に診断や治療の進め方は、精神科医でも慎重な判断が必要になります。
ここでは、双極症の特徴から診断の難しさ、治療の考え方まで、できるだけわかりやすくお伝えしようと思います。
◾️ 双極症とは
双極症は、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。
「躁」と「うつ」が交互に現れるイメージを持たれがちですが、実際には「うつ、うつ、躁、うつ」といった不規則な経過を辿ることも多くあります。
躁状態は少なくとも4日以上、うつ状態は2週間以上続くと診断基準に合致しますが、そこは人によって変動がみられます。
発症は100人に1人程度とされ、意外と身近な病気といえますね。
10代〜20代で症状が始まっても、診断がつくのは中年期になってからということもあったりします。
放置すると波が大きくなり、生活や人間関係への影響が深刻化します。
治療では、薬物療法によって波の振れ幅を小さくし、躁やうつの期間を延ばして安定させることを目指します。
これにより脳への負担を軽減し、再発リスクを下げられるとしています。
◾️診断が難しい理由
双極症は、うつ病や他の精神疾患と区別が難しい病気といわれています。
特に軽い躁状態は見落とされがちです。
性格的におとなしい人
元気なときでも「ちょっとおしゃべり」程度にしか見えず、躁状態と気づかれにくい。発達障害(ADHD)
もともと気分の上下や過集中があり、躁状態と区別しにくい。ギフテッドやOE(過度興奮性)
体力や活動力が高いだけなのに躁と誤解されることがある。愛着の問題やB群パーソナリティ症
境界性パーソナリティ症などでは感情の起伏が激しく、症状が似て見える。
さらに、これらが複合的に重なっている場合もあります。
一見うつ病に見えても、実は双極症が隠れていることも珍しくありません。
■ヤブ医者の方がマシ?!
精神科では「ヤブ医者のほうがマシ」と冗談めかして言われることがあります。
名医は背景要因を慎重に考え、薬を出さない選択をすることもありますが、それが裏目に出て重いうつや自殺リスクを招くこともあります。
一方、いわゆる “ヤブ医者” は、診断を広めに取り、ガイドライン通りに薬を処方することが多く、安全性の面では有利になる場合もあります。
やはり本来は、丁寧に対話を重ねながら、必要に応じて薬を適切に使い、副作用が出れば速やかに対処するのが理想ですね。
◾️薬の使い方と注意点
双極症では、薬を増やしすぎないことも大切です。
特に愛着の問題など、薬だけでは改善しない背景がある場合、薬を増やしても効果は限られます。
最低限の薬(例:リチウム)で維持
副作用を抑えるため多剤療法は避ける
精神療法や生活面の調整を並行して行う
薬は万能ではなく、症状や背景要因に合わせて使い方を工夫する必要があります。
◾️ピアサポートの活用
双極症の方が集まるピアグループは全国にあり、情報交換や交流の場として有効です。
「双極はたらくラボ」の松浦さんがやっているグループもそうですが、個性的で創造性の高い方も多く、同じ立場だからこそ、日頃の工夫など経験を共有できるコミュニティといえますよね。
こうした場をうまく利用していくことで、症状の理解や自己管理の助けになもなるかと思います。
◾️まとめ
双極症は、症状の幅や背景の複雑さもあり、診断も治療も難しい病気です。
しかし、適切な薬物療法と精神療法、そして生活面での工夫やピアサポートを組み合わせることで、安定した生活を送ることは可能です。
大切なのは「波をゼロにする」ことではなく、「波を小さくして安全な範囲に保つ」こと。
それが脳を守り、自分や周囲の心の負担を軽くする秘訣かなと思います。
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