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2025年有馬記念特別登録について

おことわり

まだ結論が出ていない事柄についての記事です。
誤解など起きないよう調べた上で記述していますが、結局は競馬のルールも金融についても素人が書く記事ですので、知っている情報と違うという場合はご指摘いただければ幸いです。


普段競馬のことについては、"あの時の名馬の紹介"という形で記事をあげているのですが、思い返すと現役馬や競馬そのものについて記事にすることがなかったなとぼんやり考えていました。
これは単純に私の怠惰によるところが大きいのですが、なまじ法制度が絡む競馬そのものやまだ競走馬としての仕事をしている現役馬を話題に出すと、下調べに時間がかかったり競争馬生を終えたわけではないためにオチをつけづらくなってしまうのです。

そのため、何を題材にあげれば良いかを悩んでいたところ、とあるニュースが競馬界隈を駆け抜けます。

「ヘデントール有馬記念出走登録」

字面だけ見ると至って普通のニュースです。
というのも、へデントールという競走馬は春の天皇賞で勝利した歴としたG1馬でむしろ出走しないことの方が不思議なほどです。
後述しますが、有馬記念のファン投票の仕組み上、当年のG1勝ち馬は票を集めやすいのです。

しかし、このニュースがまさかの大炎上しました。


もっと基礎にまつわる部分や「〇〇号のかわいいところ〜!」と推し活記事にしても良いのですが、せっかくなのでなぜこれが炎上してしまったのかを、競馬における「グランプリ」の性質やルールに絡めて、順を追って説明していきたいと思います。




炎上のきっかけ

特別登録されたへデントールの状況

まず、すでに名前を出しているので、へデントールの現在の状況から炎上のきっかけについて説明しましょう。

先般書いたように春の天皇賞馬です。立派なG1馬です。有馬記念への出走を渇望されてもおかしくはありません。おそらくこれについて異論を唱える競馬ファンは(本当にへデントールが嫌いな人以外は)いないと思います。

しかし、なぜへデントールが有馬記念に出走することが物議を醸したか。


それはへデントールが休養のために放牧されていたからです。


天皇賞・春を勝利したあと、イギリスのG1インターナショナルステークスへの出走を見込んで予備登録をしていました。
しかし、出走の約2ヶ月前に右後肢剥離骨折を起こし、遠征そのものをを断念しました。

これにより、天皇賞・春勝利後に秋の大目標をジャパンカップに定めていた陣営は、インターナショナルステークスがジャパンカップのための報奨金レースの側面もあったため、ジャパンカップへの出走も断念します。

そして現在はリハビリを進めつつ、馬主のキャロットクラブは11月の中旬にすでに「基本的に始動は来年から」と会員向けのプレスリリースを出して、各競馬誌もこれを報じています。
(※一応カウンターとして「基本的に」とつけているので「予定が変更になるかも」という含みをねじ込んではいますが、そうすると余談の項で解説する事柄において登録を行う調教師はかなり不利になります…)

そのため、へデントールは年内休養と、ファンだけでなく関係者も認識していたのではないでしょうか。


それが12月14日の有馬記念の特別登録馬が発表されると、そこになぜか休養中でそもそも厩舎にもいないへデントールがいるのです。
私自身は調教師が特別登録をするためのルールや期間などを知らないので詳らかにはできませんが、キャロットクラブから「出走するよ」というプレスも出ていないそうなので、本当に急遽登録が行われたのだと思います。

ちなみに記事執筆日(12月17日)時点で、へデントールを管理する木村哲也調教師から特にコメントはなく、キャロットクラブも「へデントールが特別登録されてたけど、予定通り年明けから出走するよ」と発表しているため、オーナーサイドと調教師サイドで意見が噛み合っていない印象です。


しかし、登録されたものは仕方ないですし、あくまでルールの範疇なので覆しようもありません。

そして、へデントールは実は有馬記念のファン投票が6位(特別登録馬の中で)でした。
賞金加算がなくても出走できる人気投票の上位10位以内に入っていたのです。

この人気投票上位のへデントールが特別登録されたことにより、出走を確約されていたとある馬の除外が決定しました。

この馬が人気のある馬だったので、これがおそらく炎上を大きくした最たる理由でしょう。


人気馬ライラックの除外

出走を確約されていたとある馬というのが、今年のG1エリザベス女王杯で人気薄の3着に入ったライラックでした。

3歳時にG3フェアリーステークスを勝利したものの、その後は一度も勝利がなく、これまで24戦している古豪6歳の牝馬です。
年齢的に繁殖入りしてもおかしくはないのですが、そこは個人馬主なので走れるうちは走ってもらうということなのでしょう。
戦績だけ見るとあまりパッとしない馬なのですが、度々(特に乗り替わりがあると)一発大穴から馬券圏内に入る馬で、そういった穴党御用達な面とオーナーやライラック付きの競馬記者が広報を頑張っていたおかげかファンの多いお馬さんです。

このライラックが、有馬記念のファン投票で「11位(全体32位)」でした。
つまりへデントールがいなければ、勝利数や賞金額関係なく出走できる人気投票10位以内に入って有馬記念出走が確約されていたのです。

なまじライラック陣営が有馬記念出走を大目標としてSNSでファン投票を呼びかけていたことや、調教師試験に合格し、来年2月で騎手を引退する藤岡佑介騎手の最後の有馬記念騎乗になる予定だったことが火に油を注ぎました。

結果的に、走る予定がないのに特別登録に食い込んだファン投票上位馬のせいで、ぎりぎり滑り込んだ実績がないけど人気な馬の出走機会を逸したということになりました。

正直なところ、私としては「へデントールを管理する木村厩舎にとって、1番の稼ぎ頭であるレガレイラが万が一出走できなかった時の保険として出そう」という思惑があっての登録だったのではないかと思っていますが…真相はいかに。


有馬記念というレース

有馬記念誕生の経緯と投票の仕組みの妙

本題に入る前に小話を挟みます。

まず有馬記念は、第二代日本中央競馬会理事長・有馬頼寧のアイディアによって生まれたレースです。
プロ野球にも造詣が深く、球団を持っていた有馬は「プロ野球のオールスターゲームのように人気投票で出走馬を選ぶオールスター戦のようなレースを行なってファンに喜んでもらいたい」と競馬会のパーティで企画を発表し、その結果おそらく世界初の「ファン投票によって出走馬が決まるグレードレース」、中山グランプリが1956年に施行されました。
大レースが東京競馬場に集中していた当時、中山競馬場を盛り上げる意図もあったようです。
開催の数日後に有馬頼寧が急逝したことにより、その功績を称えて「有馬記念」と改称して現在に至ります。

出たレースの格や獲得賞金額でグレードが変わる競争の世界に置かれた馬たちが、それらに関係なく「ファンにどれだけ愛されているか」で出走が決まるのです。
そこそこ強くて人気もあるけどG1を勝ちきれないという馬にも出走機会を与える場にもなります。


なのですが……

有馬記念のファン投票を実際に行ったことがある方であればご理解いただけると思うのですが、意外と実績の乏しい馬を選びにくいと私は思っています。

馬名や厩舎など"その馬の情報がはっきりわかる"場合は関係ないのですが、おそらくほとんどの人が使うであろう機能に「当年のG1勝ち馬から探す」というものがあります。
「このレースを勝った馬に投票したいけど馬名が思い出せない」という方にはちょうど良い方法だと思うのですが、善戦(ウー)マンや実績は乏しいけど人気のある馬などを検索するときは使えません。
「この馬見たことある!走りが好きなんだよな〜」とその時は思っても忘れてしまえば投票できるはずもありません。

結果的にどれだけ有馬記念に出走することを渇望しても、実績がなければそもそも出られないということが起こるわけです。


それでは、このことを鑑みて、今回出走が叶わなかったライラックがどのような状況に置かれていたかを説明いたしましょう。



人気投票出走予定馬11位以下の扱い

「へデントールの出走登録でライラックが除外」という見出しを見た時に、ルールに明るくない私はまずこう思いました。

「人気投票順でへデントールが上でもそもそも16位までに入っていれば出走できるんじゃないの?」と。

これが実は大きな勘違いなのです。


有馬記念はフルゲートで最大16頭が出走可能です。
ここにへデントールとライラックを合わせて22頭が出走登録をしています。

すでに超過しているのですが、この超過分は17位以下の馬の出走を認めないことで決めていると思っていました。

しかし、規定を見てみるとこんなことが書いてあります。

「特別登録を行った馬のうちファン投票上位10頭、及び外国馬は優先出走できる」

【ファン投票上位10頭】です。

外国馬が有馬記念へ出走したことは今までありません。外国調教馬は基本ジャパンカップに出走します。
そのため自然とJRA所属馬(時折公営所属馬)での人気順になります。

それでは、人気投票11位から22位はどうなるのか。

「通算収得賞金と過去1年間の収得賞金と過去2年間のG1競争における収得賞金の合計額」が多い順で出走できるかどうかが決まります。
つまり残りの12頭のうち獲得賞金が多い方が優先出走権を得るのです。

純粋にファン投票順で決まると思っていた競馬ファンとしては眉唾物ですよね。

しかしJRAの規定にも理解できる部分はあって、おそらくパートI国の国際G1の格を落とさないために、「結果を出している馬」を優先的に出走させているとも考えられます。

上記の条件を鑑みて、今年の人気投票と賞金額を含めた優先出走順を見て見ましょう。

まず、ファン投票上位10頭です。
1.レガレイラ(ファン投票1位)
2.メイショウタバル(〃 4位)
3.ジャスティンパレス(〃 6位)
4.ミュージアムマイル(〃 7位)
5.ダノンデサイル(〃 8位)
6.へデントール(〃 10位)
7.ビザンチンドリーム(〃 24位)
8.タスティエーラ(〃 25位)
9.シンエンペラー(〃 30位)
10.アドマイヤテラ(〃 31位)
上記10頭は出走確定となります。
次は賞金順の上位6頭
11.サンライズジパング(出走馬決定賞金額1億9490万円)
12.エルトンバローズ(〃 1億3450万円)
13.コスモキュランダ(〃 1億2200万円)
14.ミステリーウェイ(〃 1億1400万円)
15.サンライズアース(〃 1億1000万円)
16.シュヴァリエローズ(〃 9700万円)
上記6頭も出走確定です。
次は補欠(除外対象)
17.マイネルエンペラー(〃 9100万円)
18.スティンガーグラス(〃 9000万円)
19.アラタ(〃 6590万円)
20.エキサイトバイオ(〃 4900万円)
21.ライラック(〃 4850万円)
22.ディマイザキッド(〃 3900万円)
上記6頭はすでに出走が決まっている16頭の誰かが出走回避をすると順ぐりに出走が可能になります。

先般記したように、本来へデントールが特別登録を行わなければ登録馬中ファン投票9位だったアドマイヤテラの下に10位ライラックがいるはずでした。

それがへデントールが登録をしたことで、投票順から獲得賞金順になってしまい、ブービーの21位まで順位を落としてしまったわけです。
これがまだ上位6頭のうちのどこかに入っていれば、大きな話題にはならなかったと思います。しかし「出走しないはずの馬の登録」という聞いたことがないような出来事のせいで、出走が絶望的になってしまったのです。


もちろん、人気があるのに獲得賞金が低いという馬は別に珍しくありません。
むしろ公平性を期すならライラックは除外されて然るべきです。ライラックのファンとしては釈然としないと思いますが、それでも冷静にルールはルールだからと見る競馬ファンも多かったでしょう。

しかし、へデントール陣営の動きと、ライラックが出走できなくなる代わりに出走可能圏内に浮上した馬がまた話をややこしくしてしまいました。


スティンガーグラスについて

※ここからは、憶測も含みますので一個人の意見と思って見ていただければと思います。

サンライズジパングの扱い

確定情報ではないので様子見が必要ではありますが、おそらくへデントールは今週中にでも急遽帰厩しなければ出走は不可能でしょう。

そのため、結局へデントールの枠は空くことになります。
これについてもライラックを応援していた方としては、釈然としないどころか怒りしか湧かないでしょう。

前項に記載した出走登録馬の優先順位として、まず17位のマイネルエンペラーの出走が確定します。
これはもうほぼ決まりで間違いないでしょう。

へデントールが出走辞退とするならマイネルエンペラーが繰り上がるだけで終わるのですが、実は有馬記念の特別登録をしているものの出走を決めあぐねている馬がいました。

11位サンライズジパングです。

4歳の牡馬なのですが、これまで19戦して14戦ダートで走っています。さらに直近11走が全部ダートなのです。しかも一番長い距離で公営川崎競馬と名古屋競馬のダート2100m。
有馬記念はJRA中山競馬場の芝2500mです。
まずダート馬な上に、走ってきた距離も大きく異なります。

何を思ってこの馬を出すかというと、2歳時のG1ホープフルステークスで大穴激走して3着に入ったことが大きく関係しているでしょう。
ホープフルステークスは中山競馬場の芝2000mで行われます。

距離もそこまで変わらない上に同じ舞台なら一発あっても…と思ってしまうでしょうが、改めて記します。
この馬ダートを主戦場にしている馬です。

そのため、陣営も12月初旬に出走したチャンピオンズカップ(8着)の後に次走を「有馬記念と東京大賞典(12月29日)の両睨み」としていました。東京大賞典は有馬記念の翌日に公営大井競馬場ダート2000mで行われる年末の大一番です。
しかし、過去出ていた馬はいますが、あまり聞かない両睨みです。


馬の近走やレース間隔を考えれば東京大賞典に向かうのが普通です。

そのため、有馬記念への出走はないだろうという前提で意見が飛び交いました。

サンライズジパングが出走しないとなると、マイネルエンペラーの次に出走権を得るのが18位の馬、スティンガーグラスです。

この馬の立ち位置も騒ぎを大きくする火種になってしまいました。


木村厩舎

スティンガーグラスは、そもそもファン投票において全く人気のない馬でした。というか最早圏外です。票が投じられていたかもわかりません。
実績としても重賞馬ではなく、先月行われたG2アルゼンチン共和国杯で2着に入ったリステッドクラスの馬です。
重賞馬のライラックよりも賞金を稼いでいるのが不思議ですが、条件戦ではほぼ負け無しなのに、なぜか重賞になると勝てないというピーキーなお馬さんです。

この馬の何が火種になったのか。

それは「へデントールと同じ木村哲也厩舎だったから」です。

平時で言えば同じ厩舎だからなんなんだで終わる話なのですが、なまじへデントールがカラ登録とも呼べるような形で登場してしまったために、下手に邪推する人が出てきてしまいました。

「スティンガーグラスを出すために、わざと出走予定がないけど人気なへデントールを登録したのではないか」と。

もちろんこれはあくまで推測に過ぎません。それに本当にそうだったとしても明らかに批判を浴びるような行動であるため明言するはずもありません。

そもそもサンライズジパングはあくまで"両睨み"をしていたので、出走するとなるとスティンガーグラスは当然出走できません。そのためスティンガーグラスを出すためにへデントールを登録したというのも無理筋な意見であると思います。

これが、ただでさえフラストレーションが溜まっている競馬ファンの中で、大きな波紋を呼ぶ結果となってしまいました。

"終わりに"の項で記載しますが、このスティンガーグラスも色々あったのでかわいそうの一言に尽きますね。


余談:出走登録料は誰が払うのか

大体この項を執筆時点(12月19日)では、上記とこの後の項の話で流れがストップしているようです。

そのため、へデントールの登録で起こったもう一つの問題について触れたいと思います。

へデントールの馬主は「キャロットクラブ」という法人馬主なのですが、ここは俗に言う"一口馬主クラブ"で、へデントールにも一口馬主となって出資した人がいます。

この「へデントールが一口馬主クラブの馬である」ことが大きな問題になったのです。


一口馬主は簡単に言うと、馬にかかる諸費用を複数人の出資者同士で出し合い、その馬が勝てば賞金も山分けになるというシステムです。
本来馬主は、JRAでは年間所得2000万円以上、資産額1億円以上ないとなれません。しかし、一口馬主は出資するクラブがあれば、数万円にも満たない金額で出資ができるため、基本的に収入による審査はありません。

しかし、一口馬主は「馬の所有権」を持っているわけではありません。
特に馬主の資格を持たない者が所有者になる「名義貸し」を、公正を保つ観点から競馬法で禁止しています。
それであれば、一口馬主が何を持っているかというと"一口という投資をする権利とその運用で出た利益を受け取る権利"です。つまり金融用語でいうところの集団投資スキームの手法が採られています。
上記のことから一口馬主は、「金融商品取引法」のうち「第二種金融商品」を取り扱う立場になります。クラブ法人だけでなく会員からの出資を募る愛馬会法人も含めて第二種金融商品取引代行業者に当てはまります。

つらつらと専門用語を書いてきましたが、要するに競走馬を無事に走らせるという事業に複数人が投資して、その結果得たレース賞金を利益として得るということです。扱う金融商品や関わる法律は違いますが考え方は株式投資と似ています。

一口馬主はお金を払うだけでなく、法律も絡んでいるよと覚えていただければ十分です。


話を戻しましょう。

先般述べたように、一口馬主は馬にかかる諸費用をその出資者全体で支払います。

有馬記念にかかる特別登録料は第一回登録においては6万円です(第二回では24万円)。五大競争(秋華賞以外のクラシック)と2歳G1、その他の古馬G1でも料金は変わってきます。

へデントールは第一回での登録だったそうで、特別登録料が6万円かかるのですが、これを支払うのはもちろん出資をしている一口馬主です。
おおよそ200円にも満たない金額なので、普通に登録をするなら文句の出ようがありません。
しかし、へデントールが出走しない可能性が高いという状態は出資者に「利益が出る見込みはないけど、お金を支払わなければならない」という半ば寄付を強要するようなものになります。
出資者はあくまで馬に対する投資家です。リターンがないことに出資されたお金を使うとなると何になるか。「損失」です。

この損失についてなのですが、金融商品取引法第三十九条三項にこんな文言があります。

有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補填し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為

金融商品取引法39条「損失補填の禁止等」

有価証券は=一口と考えてください。
簡単に上の文言を説明すると、第二種金融商品取引代行業者(クラブ法人)は顧客(出資者)の損失を補填しちゃダメということです(いわゆる損失補填)。
特別登録料を顧客の損失(出走しないので)とすると、キャロットクラブは出資者の代わりに登録料を支払うことはできないのです。
だからこそキャロットクラブは、へデントールが有馬記念に特別登録したということを追認せず、「勝手に登録されていた」という対応にしたのでしょう。

さらに、上記の法律に絡んで、特別登録料を馬主であるキャロットクラブと出資者が支払わない場合も、へデントールの出資者に対する利益供与につながる可能性があり、これはこれで金融商品取引法違反になりかねません。
(正直これはどう解決するのか全くわかりません。有識者の意見が聞きたいです)


それなら調教師のポケットマネーで支払うしかないのでは?と思うのですが、これはこれで壁が立ちはだかります。

競馬法第18条にこんな文言があります。

日本中央競馬会は、農林水産大臣の認可を受けて定める中央競馬の競走に馬を出走させようとする者から、300万円以下の特別登録料を徴収することができる。

1項

「競争に馬を出走させようとする者」なので、これは調教師も含めるのでは?とも思えますが、調教師の立ち位置はあくまで「馬主の代理で業務を行う者」です。

この前提に立つと、特別登録料の支払いは馬主が行うことになるので、調教師のポケットマネーから登録料を立て替えても、それを馬主が調教師に支払わなければならないのです。

もちろんこれは解釈の余地があって、明確に「特別登録料を競馬関係者が立て替えることはできない」と記載があればアウトです。しかし、そういった文言はありません。
そのため、もしかすると立て替えてもそれを馬主が支払うかどうかはそれぞれの裁量に任されるのではないかとも思えます。

そのため、あくまで想像ですが、木村調教師が立て替えてそれをキャロットクラブが踏み倒すということも"競馬法の上では"できなくもないのです(もちろん横領で調教師が訴えたら一発アウトだと思いますが)。

さらに、へデントールの出走予定をキャロットクラブは「基本的に」と、知ってか知らずか含みを持たせています。
明言していないため、どのような状況に転んだとしても調教師の一人芝居から始まったという印象が拭えなくなっているのです。露悪的に捉えればキャロットクラブが木村調教師をトカゲのしっぽにしたということですね。

そもそも、こんなめんどくさいことになりそうなオーナーの馬を無理やり特別登録した木村調教師にも非はありそうですが……。

流石に、今出ている情報では金融商品取引法違反になるかどうか、競馬法違反になるかどうかはわかりませんが、木村調教師が後ろ指を指されない唯一の方法は「へデントールが出走する」ということ以外になくなったのではないでしょうか。


終わりに

この記事を上梓する12月20日の時点で、上記のサンライズジパング陣営とスティンガーグラス陣営に動きがありました。

サンライズジパングは有馬記念出走。
スティンガーグラスは出走辞退。

サンライズジパングに関しては、調教師の挑戦心のようなものが後押ししたのでしょうか。一波乱あると面白いと思って見ています。

問題はスティンガーグラスです。
12月17日に突如SNSのXでオーナーであるエムズレーシングのアカウントが誕生し、出走辞退を述べるポストが投稿されました。

あまりにも唐突な上に署名がない画像一枚でのポストであったため、信憑性を疑う声もありましたが、各競馬誌が一斉に報じていたため裏が取れているのでしょう。

これはあくまで想像ですが、思いの外ライラックの除外で話が大きくなり、またその渦中に所有馬が登場してしまったことから、馬への誹謗中傷などを避ける意味合いもあったと思います。
私は馬主ではないのでその心理は図りかねますが、年末の大一番である有馬記念に出走できるチャンスを逃してでも馬を守ったと考えると、オーナーの馬に対する愛情深さに頭が下がる思いです。

しかし、こうなると木村調教師を中心に何もかも悪い方向に進んでいる印象です。
もちろん過去には、勝てる見込みがある馬を急遽出走させて除外になる馬がいたり(アグネスデジタルとクロフネ、プロヴィナージュとポルトフィーノ)、オーナーが実力馬を勝たせるためかライバルの出走を阻止するために連闘になる所有馬を無理やり出走させた(ヴァーミリアンとデルタブルース)ということもあるのですが、今回はそのどれにも当てはまりません。
ライラックが有力馬なら、もしかするとレガレイラの対抗馬を減らすために行ったということも邪推できますが、狙いがよくわかりませんね。
その結果もいずれわかることでしょう。


そして、結局へデントールが抜けた穴にマイネルエンペラーが入ることになりました。
この馬のお兄さんに当たるマイネルファンロンもネタに事欠かない馬でしたが、何かそういうものを引き寄せる血族なのでしょうか。それはそれで応援したくなりますね。

へデントールが本当に出走しないのか、また木村調教師はどう声明を出すのか、まだ状況を追い続ける必要がありますが、こんなことがあるのかと色々気付かされる出来事でした。




追記:12月25日

有馬記念の公開枠順抽選会が開催されました。

共同記者会見でもそうでしたが、木村調教師は沈黙を貫いていますね。
共同記者会見では、そもそも司会がへデントール関連の質問を受付なかったですね。どうにも裏を感じてしまいますが……。

また、この結果なのかどうかはわかりませんが、スティンガーグラス含めエムズレーシングの所有馬2頭は転厩しました。
しかもなぜか栗東の厩舎へ。
これはあくまで憶測に過ぎませんが、Xで流れてきた意見のなかに「木村調教師本人よりも放牧をしているノーザンファーム天栄に対する不信感の結果ではないか」というものがあり、説得力のある意見だと感じています。
おそらく木村調教師一人のヘマであれば、むしろ話が大きくなる前に早々に謝罪文なりなんなり認めるような気がします(一般の社会人の感覚ですが)。
意思伝達に齟齬があったのか、それともへデントールを使って怪しまれても弾き出さなければいけない馬がいたか。真相は藪の中です。

また、へデントール周りのいざこざはどうするのかは判明していません。
まあこちらはあくまで関係者でなんとかする話なので、一介の競馬ファンが知るところではないのでしょう。

なんともモヤモヤしながらも出走が確定した有馬記念ですが、馬に罪はありません。暖かく、そして熱く出走馬を応援しましょう。

そして、枠順も決まりました。
昨年のドウデュースのように直前での怪我がなければ16頭で行われることになります。

ヘデントールは予想通り回避、スティンガーグラスも正式に出走回避し、二頭の空いた枠にマイネルエンペラー、スティンガーグラスの下の順位にいたアラタが入りました。
加えて、出走予定だったビザンチンドリーム、サンライズアースが相次いで出走を回避したことで、アラタの下の順位にいたエキサイトバイオも繰り上がりで出走が可能となりました。

異例の多さとなった回避と補欠の繰り上がりでしたが、元々この騒動の渦中にいたライラックはあと一頭回避が出れば出走が叶っていた状態でした。ライラックファンとしては忸怩たる思いでしょう。

結果はこうです。

1.レガレイラ(ファン投票1位)
2.メイショウタバル(〃 4位)
3.ジャスティンパレス(〃 6位)
4.ミュージアムマイル(〃 7位)
5.ダノンデサイル(〃 8位)
6.へデントール(〃 10位)
7.ビザンチンドリーム(〃 24位)
8.タスティエーラ(〃 25位)
9.シンエンペラー(〃 30位)
10.アドマイヤテラ(〃 31位)

11.サンライズジパング(出走馬決定賞金額1億9490万円)
12.エルトンバローズ(〃 1億3450万円)
13.コスモキュランダ(〃 1億2200万円)
14.ミステリーウェイ(〃 1億1400万円)
15.サンライズアース(〃 1億1000万円)
16.シュヴァリエローズ(〃 9700万円)

17.マイネルエンペラー(〃 9100万円)
18.スティンガーグラス(〃 9000万円)
19.アラタ(〃 6590万円)
20.エキサイトバイオ(〃 4900万円)
21.ライラック(〃 4850万円)
22.ディマイザキッド(〃 3900万円)

枠順は以下に決まりました。

1枠1番 エキサイトバイオ 荻野極
1枠2番 シンエンペラー 坂井瑠星
2枠3番 ジャスティンパレス 団野大成
2枠4番 ミュージアムマイル C.デムーロ
3枠5番 レガレイラ C.ルメール
3枠6番 メイショウタバル 武豊
4枠7番 サンライズジパング 鮫島克駿
4枠8番 シュヴァリエローズ 北村友一
5枠9番 ダノンデサイル 戸崎圭太
5枠10番 コスモキュランダ 横山武史
6枠11番 ミステリーウェイ 松本大輝
6枠12番 マイネルエンペラー 丹内祐次
7枠13番 アドマイヤテラ 川田将雅
7枠14番 アラタ 大野拓弥
8枠15番 エルトンバローズ 西村淳也
8枠16番 タスティエーラ 松山弘平

なんとも予想しにくい枠順になりました。
しかし、これはこれで面白い形になりましたね。

レガレイラの牝馬史上初の連覇か、オーナーの夢を乗せたメイショウタバルグランプリ春秋制覇か、ミュージアムマイルの3歳秋古馬二冠か、ダービー馬タスティエーラ、春の天皇賞馬ジャスティンパレス有終の美か、今年絶好調のダノンデサイル逆襲の末脚が炸裂するか、その他伏兵たちの大波乱か。

12月28日。有馬記念を楽しみに待っていましょう。








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