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乗り物好き

 車酔いしやすく、長時間車やバスに乗るのが苦手なくせに、子供の頃から乗り物が好きだった。

 とりわけ、風を感じられるものが好きで、ヨーロッパでは、昔荷物を運ぶのに使われていたであろう山の中を走る小さな列車が、観光用に転用されている場所がかなりあり、そういうところで涼しい乾いた空気を感じながら乗るのが何よりの楽しみだった。
 そういう場所で思い出されるのはやはりスイスで、アルプスの中を行く列車は、空気と景色共に格別だ。

 乗り物とは少し違うが、疾走感を感じられるという意味では、スキーのスピード感は格別で、むろん見える誰かのガイドの声がなければ滑れないわけだが、あの感覚は筆舌に尽くし難い。

 若さと体力を失い、あのスキーを滑る際に必要なパワーはもうないが、視力があれば、バイクか、スポーツカーを趣味にしていただろう。

 これも子供の頃の話だが、ドイツの盲学校に馬が遊びにきたことがあって、乗せてもらったそばから、お腹を軽く蹴ると早く走り出すという知識を試してみたくて、軽くポコっとやってみたところ、トコトコとスピードが上がったので感動した。
 反面、大人は驚いたらしく、慌てて追いかけられたのを記憶している。

 今は、何か面白い乗り物に乗りたいと考えていて、これも40年ほど前、大型犬の背中に腰掛けたところ、「ワン!」と振り返りざま叱られたので、亀の背に揺られて、悠々と冒険の旅に出たいと思っている。

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