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別れたい。俺たちは恋人なのに、彼氏はアプリを消さない。

付き合ったら、消すものだと思っていた

付き合うことになった夜、俺はマッチングアプリを消した。

迷いはなかった。

もう必要ないと思ったからだ。

彼氏ができた。
ちゃんと好きな人ができた。
だったら、他の誰かを探す理由なんてない。

そう思っていた。

でも彼は違った。

付き合ってからも、アプリを消していなかった。

最初にそれを見たとき、胸の奥がざわついた。

浮気をされたわけじゃない。

誰かと会った証拠を見つけたわけでもない。

でも、スマホの通知にアプリの名前が出た瞬間、俺は思った。

「まだ探してるの?」

その一言が、喉の奥で止まった。

■出会いは、普通にアプリだった

彼と出会ったのは、よくあるマッチングアプリだった。

俺は20代半ば。

仕事にも少し慣れてきて、そろそろちゃんと恋愛したいと思っていた頃だった。

アプリでの出会いには、最初少し抵抗もあった。

でも、男同士で自然に出会える場所は限られている。

職場で簡単に恋愛の話ができるわけでもない。
友達の紹介がいつもあるわけでもない。

だから、アプリは自分にとって現実的な出会いの場所だった。

彼は、最初から話しやすかった。

プロフィール写真は派手すぎず、文章も自然だった。

「飲みに行くより、散歩しながら話す方が好きです」

そんな一文に惹かれた。

実際に会ってみても、印象はよかった。

無理に距離を詰めてこない。
でも冷たいわけでもない。

話を聞くのが上手くて、こちらのテンポに合わせてくれる人だった。
何度か会ううちに、俺は素直に好きになっていった。

■付き合うことになった日の安心感

付き合うことになったのは、三回目のデートだった。

夜の公園を歩きながら、彼が言った。

「俺たち、付き合う?」

軽い言い方だった。

でも、目はちゃんと真剣だった。

俺は嬉しかった。

アプリで出会って、何度か会って、そのまま曖昧に終わることもある。
いい感じだと思っていたのに、急に返信が遅くなることもある。
だから、彼の口から「付き合う」という言葉が出たことが、本当に嬉しかった。

家に帰って、俺はアプリを消した。

通知も、メッセージも、足あとも、もう見なくていい。

そう思うと、少し解放された気がした。

俺は、ちゃんと恋人になれたと思っていた。

■最初の違和感は、通知だった

違和感に気づいたのは、付き合って一ヶ月ほど経った頃だった。

彼の部屋で映画を見ていた。

ソファに並んで座って、彼のスマホがテーブルの上に置かれていた。

画面が光った。

何気なく視界に入った通知。

それは、俺たちが出会ったアプリの通知だった。

心臓が変な音を立てた。
一瞬、見間違いだと思った。
でも、間違いじゃなかった。

俺は聞いた。

「まだアプリ入れてるの?」

彼は少し驚いた顔をして、それから笑った。

「ああ、入ってるだけだよ」

入ってるだけ。

その言葉が、妙に軽かった。

俺は続けて聞いた。

「使ってるの?」

「いや、別に。たまに見るくらい」

たまに見るくらい。

その言葉で、余計に苦しくなった。
見る必要があるのか。

恋人がいるのに。

俺と付き合っているのに。

■「友達探し」という言い訳

彼は言った。

「友達探しだよ」

俺は黙った。

アプリには、確かに友達募集の人もいる。

恋愛だけじゃない。

飲み友達、趣味友達、相談相手。

そういう使い方もあるのは分かっている。

でも、俺たちが出会ったのもそのアプリだった。

最初から恋愛の可能性を含んだ場所だった。

そこに彼がまだいることが、俺にはどうしても引っかかった。

「友達なら、他で探せないの?」

そう聞くと、彼は少し面倒くさそうに言った。

「そんな重く考えることじゃないよ」

俺は、自分が面倒な彼氏になった気がした。

束縛しているのかもしれない。

男同士の恋愛に慣れていないだけなのかもしれない。

もっと余裕を持つべきなのかもしれない。

そうやって、自分を責めた。

■通知、足あと、DM

でも、一度気づくと、気になって仕方なくなった。

彼がスマホを伏せる。

通知をすぐ消す。

トイレにスマホを持っていく。

それだけで、胸がざわつく。

ある日、彼のスマホ画面にDMの通知が見えた。

知らない男のアイコンだった。

俺は聞いた。

「誰?」

彼は少し笑って言った。

「アプリの人。別に会ってないよ」

別に会ってない。

それは、安心できる言葉のはずだった。

でも俺は思った。

会ってなければいいのか。

やり取りしている時点で、俺は嫌なんだけど。

でも、その言葉を口に出せなかった。

言えば、重いと思われる。

嫉妬深いと思われる。

余裕がないと思われる。

だから、飲み込んだ。

■「ゲイの世界では普通」と言われた

何度か我慢したあと、俺はちゃんと話そうと思った。

責めるのではなく、自分の気持ちを伝えるつもりだった。

「アプリを続けられるの、正直しんどい」

そう言った。

すると彼は、ため息をついた。

「でもさ、ゲイの世界では普通じゃない?」

その言葉に、俺は固まった。

普通。

その一言で、俺の苦しさが全部片づけられた気がした。

彼は続けた。

「みんなアプリくらい残してるよ」

「友達探しもあるし」
「いちいち気にしてたら続かないよ」

そうなのかもしれない。

でも、俺にとっては普通じゃなかった。

男同士だから。

アプリで出会ったから。

周りもやっているから。

そういう理由で、嫌なものを嫌と言えなくなるのは違うと思った。

恋人が嫌がっているのに、それを“界隈の普通”で押し切るのは、優しさではない。

■俺が欲しかったのは、安心だった

俺は彼に、友達を作るなと言いたかったわけじゃない。

誰とも話すなと言いたかったわけでもない。

欲しかったのは、安心だった。

「嫌だったよね、ごめん」

「消すよ」

「不安にさせたくない」

そう言ってほしかった。

でも彼は、俺の不安より、自分の自由を守ろうとした。

アプリを消すことが、そんなに苦痛なのか。

俺を安心させることより、見知らぬ誰かとつながれる可能性の方が大事なのか。

そう考えるたびに、どんどん苦しくなった。

彼のことは好きだった。

一緒にいる時間は楽しい。

でも、スマホの中にいつも“次の誰か”がいる気がして、心が休まらなかった。

■恋人なのに、選ばれていない気がした

付き合っているはずだった。

週末に会って、手をつないで、泊まって、好きだと言われる。

でも、彼のアプリが消えない限り、俺はどこかで思っていた。

この人は、まだ外を見ている。

俺だけを見ていない。

もちろん、アプリを入れているだけで浮気と決めつけるのは乱暴かもしれない。

でも、恋人が傷ついていると知っても続けるなら、それはもう小さな裏切りだと思う。

信頼は、大きな事件だけで壊れるわけじゃない。

通知一つ。
言い訳一つ。

「普通でしょ」という一言。

そういう小さな積み重ねで、静かに壊れていく。

■別れたいと思った夜

決定的だったのは、俺の誕生日の夜だった。

彼と食事に行った。
ちゃんと祝ってくれた。
プレゼントもくれた。
嬉しかった。

でも、店を出たあと、彼のスマホが鳴った。

画面にアプリの通知が見えた。

俺はもう、笑えなかった。

「まだやってるんだ」

そう言うと、彼は困ったように言った。

「だから、見るだけだって」

その瞬間、全部が冷めた。

俺の誕生日ですら、彼のスマホには知らない誰かが入り込んでくる。

俺が隣にいるのに。
俺と付き合っているのに。
彼は、それを大したことじゃないと思っている。

それが一番きつかった。

■別れたい。でも好きだから苦しい

別れたい。

そう思った。

でも、すぐに切れるほど簡単ではなかった。

彼のことは好きだった。

一緒にいると安心する瞬間もあった。

笑い合える時間もあった。

だから余計に苦しかった。

アプリさえ消してくれれば。

俺の不安をちゃんと受け止めてくれれば。

それだけで続けられるかもしれないのに。

でも彼は変わらなかった。

俺が不安を伝えるたびに、彼は自分の正しさを説明した。

「普通」
「友達探し」
「暇つぶし」
「見てるだけ」

言葉はいくつもあった。

でも、その中に俺を安心させる言葉はなかった。

■最後に|“普通”より、目の前の恋人を見てほしかった

男同士の恋愛には、難しさがある。

出会い方も限られる。

アプリが身近なのも分かる。

友達と恋愛の境目が曖昧になることもある。

でも、それでも思う。

恋人が傷ついているなら、まず見るべきなのは“界隈の普通”ではなく、目の前の相手の気持ちじゃないのか。

俺は、彼に完璧を求めていたわけじゃない。

ただ、安心したかった。

恋人として選ばれていると感じたかった。

アプリの通知に怯えずに、隣にいたかった。

でも、彼はアプリを消さなかった。

「見てるだけ」と言いながら、俺の不安も、俺の言葉も、ちゃんとは見てくれなかった。

だから俺は思った。

俺たちは恋人なのに、彼氏はアプリを消さない。

それは小さなことに見えて、俺にとっては、信頼が少しずつ削られていく関係だった。

Q1. 恋人がいるのにマッチングアプリを消さないのは浮気ですか?
A. 実際に会っていなくても、恋人が不安を感じている状態でアプリを使い続けるなら、信頼を損なう行為になり得ます。浮気かどうかよりも、相手との約束や安心感を壊しているかが重要です。

Q2. ゲイカップルでは、付き合ってもアプリを残すのは普通ですか?
A. 人によって価値観は違います。友達探しや情報収集として使う人もいますが、恋人が不安を感じているなら「普通だから」で片づけず、二人のルールを話し合う必要があります。

Q3. 彼氏が「友達探し」と言ってアプリを使う場合、信じるべきですか?
A. 友達探しが本当の場合もあります。ただし、DMや足あと、通知が頻繁にある場合、恋人が不安になるのは自然です。信じるかどうかより、使い方の透明性が大切です。

Q4. 「見てるだけ」なら問題ないのでしょうか?
A. 「見てるだけ」でも、恋人が傷ついているなら問題になることがあります。恋愛関係では、実際に会ったかどうかだけでなく、相手を不安にさせる行動を続けるかどうかが信頼に影響します。

Q5. アプリを消してほしいと言うのは束縛ですか?
A. 必ずしも束縛ではありません。恋人関係において、不安や嫌な気持ちを伝えることは自然です。ただし、一方的に命令するのではなく、なぜ嫌なのかを説明して話し合うことが大切です。

Q6. 彼氏が「ゲイの世界では普通」と言う心理は何ですか?
A. 自分の行動を正当化したい心理がある可能性があります。「周りもやっている」と言うことで、恋人の不安を軽く扱ってしまっている場合があります。

Q7. アプリを消さない彼氏と付き合い続けるべきですか?
A. 付き合い続けるかどうかは、彼氏があなたの不安を受け止める姿勢があるかで判断するべきです。話し合っても「普通」「重い」と片づけられるなら、関係の見直しが必要です。

Q8. マッチングアプリが原因で別れるカップルは多いですか?
A. 多いです。アプリは出会いのきっかけになる一方で、付き合った後も残っていると「まだ他の人を探しているのでは」と不安や不信感につながりやすいです。

Q9. 彼氏にアプリをやめてもらうにはどう伝えればいいですか?
A. 「消して」と責めるより、「通知を見るたびに不安になる」「恋人として選ばれていない気がする」と、自分の気持ちを具体的に伝える方が話し合いになりやすいです。

Q10. アプリを消さない彼氏との関係がしんどい理由は何ですか?
A. 恋人であるはずなのに、相手がまだ外の可能性を探しているように見えるからです。実際に浮気がなくても、安心できない状態が続くことで、信頼が少しずつ削られていきます。


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