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『悩む僕、桜舞う』第1話:天邪鬼な瞬足小学生

あらすじ&構成


【あらすじ】 
神経質・ネガティブ・不器用——3つの鎖に縛られた小6の僕は、社会で苦しむ未来を予感し、「20歳の自分への手紙」を埋めた。
しかし、ある出来事をきっかけに“運命を変える選択”をする。
自己肯定感の低い一匹狼が「邪道の就活」を完結させ、独自の生き方スタイルを掴む話。


無気力な小学生
🔻
偏差値50未満HSP大学生▶財閥系内定の25卒

【"ナヤサク"の構成】
第1話:天邪鬼な瞬足小学生  👈今回
第2話:追撃タックル中学生
第3話:不屈の"F"高校生
第4話:裏の成績優秀大学生
第5話:邪道の就活

※話の中で登場する曲名を押すと、その曲が流れる

登場する人物名・地名・団体名は、ほぼ架空のものです 




まえがき


就活で上手くアピールできずにいた。
一方で、面接で使えないエピソードだけが溢れていた。

もしあなたが「"ナヤサク"を読んでよかった」と思えたなら、私は「自己分析を本気でやってよかった」と思えるんだ。

苦しいときも、操作が難しいキャラを戦隊ロボに見立てて、ひとり歩いた。
部活最後のリレーでバトンを落としても
卒業式の日まで私大に落ち続けても
就活の対面面接に落ち続けても——

その先に薄紅色の羽根が舞っていると
信じて。



桜にほどけた日


南深花小学校に入学した日。
決められた制服を着て、決められた席に座る――その教室の風景が、僕はどこか異様に感じた。

そんな中、ひとりだけ違う色があった。
桜色のランドセルを背負った小弓
花びらが舞う中、家族と写真を撮っていた。 

その笑顔だけがやけにやわらかくて、ふわりと浮かんで見えた。
白黒漫画に、たった一コマだけ色が灯ったようだった。



3つの鎖と背中を押した音


授業が始まると、人の多さに圧倒された。
挨拶の先が続かない。気づけば、心を開いて話せるのは、保育所時代の友達、望月と矢野だけだった。

僕の神経質は、不器用なことも許さずネガティブ思考へと傾いていった。

塗った絵の具が混ざり、思うように描けないもどかしさ。
学習発表会でリコーダーを吹くふりをしてやり過ごした罪悪感。

自分のダメな部分が気になり、小3から学校に行くのが億劫だった。
枕に顔を押しつけて声を殺して泣く夜もあった。

神経質。
ネガティブ。
不器用。

この3つがほどけない鎖のように絡まって、僕は動けない。

ただ、12時20分になると楽しみがあった
机をくっつけて食べる給食だ。

この時間に流れる曲の中で『虹』が好きだった。
「涙を流し終えた君の空に」という歌詞は、そっと背中を押し、心を明るくしてくれた。




テニスボール野球を置き去りにして


放課後は父の方針で、水曜だけテニスボールを使う野球教室に通っていた。
僕はトンネルを繰り返す守備とバットを逆手に握る攻撃をし、時計の針が進むのを待っていた。

でも、走るときだけ違った。

体育で50m走。
スタートしてすぐ、周りの音が消え、気づけばゴール先にいた。
周りの視線が変わった。
嬉しいよりも怖かった。



差に埋もれた思い


毎年クラス替えがあったが、大概同じ教室に小弓がいた。
僕とは正反対で、絵や裁縫、ピアノなど、何でもそつなくこなす。 
僕は「学校の授業だけでこの差は埋まらないな」と思った。

一方で、父は「結果で示せ」とよく言う。
だから、通知表で評価されることが恐ろしかった。
僕は小弓を見るたびに、僕は自分が嫌いになった

僕と望月と矢野は、一緒に深花公園で遊んでいた。
男子もファーストネームで呼ぶ小弓は、同級生たちみんなに「遊ぼう」と声をかけた。もちろん、僕らにも。
葉が風に揺れる音とともに、心の奥がふわりと揺れた。

僕に気を寄せてくれた子もいたが、僕は「ありがとう」と返すしかできなかった。



塾帰りのバスで降車ボタンを押せず、2周目に突入。

「運命を変えたくなった」プール開放


小3の夏休み。
プール開放の日、知らない小4の男子3人組に、水泳帽をかぶった僕の姿を馬鹿にされた。

何もしていないのに、「自分が間違っている」と言われた気がした。

「行動しなければ、周囲を気にせずに済む」
という考えが崩れた

「こんなままなのは絶対嫌や」
「初対面で笑われる自分の運命を変えたい」この日、はじめて“変わる理由”ができた。




毎週土曜の修行


小4のとき、テニスボール野球をやめた。
だが、陸上か柔道の2択を父から迫られた。仕方なく"カワチAC"を選んだ。

【カワチアスレチッククラブ[カワチAC]】
小学生主体で活動する陸上クラブチーム。練習は土日。

当初1年間、父は無理やりでも駄々をこねる僕を、水色のヴィッツに乗せた。
僕は河川敷のトラックが見えた瞬間、憂鬱になりながらも練習に参加した。

練習中、僕は何度も途中離脱した。
さらに、保護者もいる。人の目が怖かった僕にとって、もはや「修行」。こんなに長い3時間は、他にない。


勧誘を断れずに迎えた日曜の朝、野球のユニホーム姿の同級生が来た。胸が痛みながらも、立ち去るまでインターホンを見つめた。


一匹狼の休み時間


同級生の休み時間の遊びは、鬼ごっこからドッジボールへと移り変わっていった。
そのころから、僕は、ひとりで走るか、考えごとをしながら校舎を歩くかだった。
父の言う通り、「想像はいくらやってもタダ」だった。

気の合う望月が不登校になったとき、「僕みたいな人は、社会でやっていけないかもしれない」――そんな危機感が強まった。 

さらに、やはり学校の授業で、図工や音楽が上達しなかった。
他の同級生と同じことをしていたら、置いていかれる」――そんな不安を抱えていた。

そして何より、集団の中にいるときのアウェー感は、どうしても消えなかった。
だから僕は、「独自路線しかない」と思うようになった。
"友達100人できるかな"の世界で戦うことを、やめた。

休み時間に導き出した「この孤立状態を肯定する」という考えが、僕にとって小さな支えになった。



人徳のパワースポット


小弓は僕ができないことも全てできる
小学生にしてすでに人間性が完成されていた。人生を3周して僕と正反対にいた。 

教室の隅にいた僕は、静かにそのエネルギーを感じていた。

別け隔てなく誰とでも温かく接する姿。
聞く側も心地よくなる、あの笑い声。

あの存在があるから、僕は登校をしていた。



ド緊張クラウチング


小5のとき、僕は大阪府予選会の100m決勝に進出した。合間には競技場内に『栄の活躍』が流れていた。

ド緊張の決勝。
両手に体重をかけて構える。
「ピストル鳴った?」と顔を上げると、他の子たちはすでに5メートル以上先にいた。
「恥ずかしい」と思いながら必死で走り、6位でゴールした。

帰りの車内で父が流していた『FAREWELL』が、僕の心に響いた。



まだ、「舌出し走法」を自覚していない

絶望を脱した天邪鬼


そして、運動会でも活躍し、ネガティブの鎖が緩み、身動きが取れるようになった。
だが、土曜だけ練習する僕が、日曜も練習している子よりも速く走れることに疑問を感じていた。

小6のとき、授業で「20歳の自分への手紙」を書かされた。でも、社会で苦しむ20歳の自分しか想像できず、中身のない文章で手紙を埋めた。



小6で下した決断


卒業文集を埋めていた頃、中学の部活について悩んでいた。

速いのは分かってるけど、楽しめない陸上
 or
そもそもルールすらわからないけど、
なぜか楽しめそうなラグビー

休み時間中、窓の先に小弓がいた。
「いつも楽しそうやな。ん?
楽しめたら、できるようになるってことか?」

その瞬間、今までの考えがひっくり返った。

「できるからやる」じゃなくて
「楽しそうやからやる」でいこー。


カワチAC最後の練習日。
保護者たちの前で中学生の抱負を話す機会があった。陸上を継続する子が大半の中、
僕が「ラグビーを始める」と話すと、場が少しざわついた。
その後、コーチーに陸上部のある中学校を勧められたが、揺るがなかった。



そっと残る温もり


南深花小の卒業式は、実感がないまま終わった。

卒業アルバムにメッセージを書く時間、メッセージ交換する相手がいないときに真中が声をかけてくれた。
アルバムには「中学になってもガンバッテ‼」と書いてあった。素直に嬉しかった。真中は私立に進学した。

式の後、いつも通りひとりで帰宅したが、不在で家に入れない。
校門に戻ると、母と先生がいた。

僕の中で桜が咲いていた。



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