完璧主義の檻を壊す「しゃーない」の魔法|心を救う 二つ目の技(特別編2)
「どうして、あんなミスをしたんだ」
「もっとうまく、カウンセリングの傾聴ができたはずなのに」
深夜、布団の中で自分を責める声が止まらなくなる。あるいは、思い通りに動かない自分の体や心に対して、苛立ちが募る。
かつての私は、この「自分への攻撃」こそが向上心の証だと信じていました。しかし、一度折れた私にとって、完璧を目指して自分を叩き続けることは、再起不能への近道でしかなかったのです。
そんな私を救ったのが、二つ目の技、「しゃーない」という言葉です。
今回は、連載を一時離れ、一見すると諦めのように聞こえるこの言葉が、なぜ最強の「攻撃的防御」になり得るのかをお話しします。
「正解」を求める病との決別
正直に言おう。 私はずっと、人生に「正解」があると思っていた。 例えば今回の連載の流れならば、効率的に復職し、完璧に仕事をこなし、立派なカウンセラーになる。そのレールから外れることは「悪」であり、「失敗」だと思い込んでいたのだ。
しかし、現実は残酷だ。 頑張ろうとしても体が動かない日もあれば、養成講座で学んだことが現場で全く通用せず、無力感に打ちひしがれる日もある。
そのたびに自分を責めていたら、命がいくつあっても足りない。 そこで私は、敬愛するアニメの達人が相手の力を受け流すように、この言葉を唱えることにした。
「ま、起きてしまったもんは、しゃーない」
諦めではない、次へ進むための「戦略的撤退」
「しゃーない(仕方ない)」と口にする時、私は初めて「コントロールできないこと」を手放すことができます。
自分の力ではどうしようもない過去。他人の機嫌。そして、勝手に湧き上がってくる不安や焦燥。 これらを真っ向からねじ伏せようとするのは、暴風雨に向かって拳を振り回すようなものだ。
「今はこうなっているんだから、しゃーない」
これは敗北宣言ではない。無駄な戦いに費やすエネルギーを温存し、自分が本当に力を注ぐべき「次の一歩」に集中するための、極めて知的な戦略的撤退なのだ。
リワークで学んだ「今ここ」で現在に踏みとどまり、この「しゃーない」で余計な荷物を放り出す。この二つの柱が、今の私の脆弱な基礎戦闘力を支えている。
技は、やがて「進化」する
現在、私が使っている「しゃーない」は、まだ単なる現実逃避に見えるかもしれない。 しかし、私は予感している。
自分を許し、完璧でない自分をそのまま受け入れるこの感覚。これが、後の「修行」において、自分の限界を突破するための重要な鍵になることを。
今はまだ、ボロボロになった盾を必死に構えている状態だ。 それでも、この「しゃーない」という受け流しの極意を磨き続ければ、いつかどんな困難が来ても、柳のようにしなやかに受け流せる強さが手に入るはず。
「できない自分」を責めるのをやめる。ただ「しゃーない」と笑って次を見る。 それだけで、私たちは昨日よりもずっと強くなっている。
わいじ流・心の整え方:特別編2
【「しゃーない」を使いこなす3ステップ】
「コントロール可能か」を仕分ける
天気が悪い、他人が怒っている、過去のミス。これらは自分の力では変えられません。変えられないものだと気づいたら、即座に「しゃーない」のカードを切ります。独り言の最後に付け加える
「失敗したなあ」で止めると後悔になります。「失敗したなあ、ま、しゃーない」と付け加えることで、脳は強制的に「次のフェーズ」へ移行します。今の自分に合格点を出す
「今はこれが精一杯だったんだから、しゃーない」。完璧主義のハードルを自らへし折る勇気を持ってください。
編集後記
みなさん、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。 前回の特別編1「今ここ」に続き、私の心を守る重要なパーツである「しゃーない」という概念について書かせていただきました。
真面目な人ほど、この言葉を口にするのに抵抗があるかもしれません。でも、一度折れた私だからこそ言えるのは、「自分を許す技術」こそが、長く走り続けるための必須スキルだということです。
「しゃーない」。この魔法の言葉を、あなたのお守り袋にそっと忍ばせてみてください。
それでは、また次回の連載でお会いしましょう。
いつもありがとうございます。
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