組織に安定感をつくるリーダーの存在 #51
人は、一人で成せることには限りがあります。
そのため、同じ目的を持った人たちと共に組織を形成します。
しかし、目的が同じとは言え、個々の人格や能力、成し遂げるための手段も異なります。
人格も能力も価値観も、目標達成のアプローチも異なります。
だからこそ必要になるのがマネジメントであり、それを担うのがマネジャーやリーダーです。
■ リーダーはマネジャーと何が違うのか
この2つは混同されがちですが、本質的には異なる役割を持っています。
● リーダー
理念や目的を掲げ、希望を与え、人々の自発的な行動を引き出す存在(資質・影響力)
● マネジャー
組織の目的・目標を達成するために、戦略や戦術を立て、管理・推進する存在(職務・役職)
特に重要なのは、「影響力の源」です。
マネジャーは、権限に基づいて指示を出します(トップダウン)。
一方でリーダーは、信頼や人望によって人がついてくる存在です(ボトムアップ)。
つまりリーダーとは、フォロワーの存在によって成立する関係性とも言えます。

■ リーダーの執るべき対応
リーダーの振る舞いはチームに強い影響を与えます。
特に、VUCAだからこそ、次の対応は、良くも悪くも職場の空気を決定づけます。
① 緊急性を示す
スピードを求めること自体は悪くありません。
しかし、優先順位やゴールが曖昧なまま急がせると、不安だけが増幅します。
→ 緊急性だけではなく、明確性が揃って初めて機能する
② 統制を強める
不安な状況では、統制を強化したくなるものです。
しかし、過剰な承認プロセスや監視は、意思決定を遅らせ、現場の混乱を招きます。
→ どこに関与し、どこを任せるかの線引きが重要
③ 特定の人に依存する
信頼できるメンバーに頼るのは自然なことです。
しかし、それが固定化すると、意見の多様性が失われ、他のメンバーは発言しなくなります。
→ 意図的に参加の幅を広げることが、組織の力を引き出す

■ リーダーシップは「希望」をつくる力
心理学者チャールズ・R・スナイダーは、「希望」を次の3つで定義しました。
1. 目標(何を目指すか)
2. 経路思考(どうやって到達するか)
3. エージェンシー思考(やり抜けるという信念)
リーダーの役割とは、まさにこの「希望」を組織の中に生み出すことです。
不確実な時代においては、正解を示すこと以上に、
進む意味と、進める感覚を与えることが重要になります。
■ 理想のリーダー像──PM理論から考える
リーダーシップを考えるうえで、「PM理論」は非常に示唆的です。
• P(Performance):目標達成の力
• M(Maintenance):組織を維持・活性化する力
この2軸でリーダーは分類されますが、理想は両方が高いPM型です。
• Pだけ高い(Pm型)→成果は出るが人がついてこない
• Mだけ高い(pM型)→雰囲気は良いが成果が出ない
重要なのは、どちらかではなく両立、もしくは補完です。
自分に足りない要素を育てるか、あるいはチームで補う。
これもまた、組織である意味と言えるでしょう。

■ リーダーシップは「才能」ではなく「仕事」である
リーダーシップと言えば、2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の大谷翔平選手は印象的でした。
特に、決勝戦を前にして、「今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて勝つことだけ考えて行きましょう」と意気込み、「さあいこう!!!」と叫びんでチームを鼓舞した姿が印象的でした。
それもあって、リーダーというと、カリスマや特別な資質をイメージするかもしれません。
しかしドラッカーはこう述べています。
リーダーシップは資質ではなく仕事である
つまり、生まれ持ったものではなく、意識と行動によって磨かれるものです。

■ 安定感をつくることができる存在
リーダーの役割は、不確実な外部環境を消し去ることではありません。
それは誰にもできないことです。
しかし少なくとも、
「この職場にいる間だけは大丈夫だ」と思える場をつくることはできます。
その安定感が、人の関わり方を変え、成果を変え、
やがて組織そのものの力になります。
立場に関係なく、誰もがリーダーシップを発揮できる時代です。
だからこそ今、自分なりのリーダーシップを問い直す価値があるのではないでしょうか。
