【エッセイ】 野球部OB会の夜に…
我が母校の野球部OB会が発足して、かれこれもう10年過ぎただろうか。
毎年この時期に、総会が開催される。
今年も案内通知が届いたが、私は都合が付かず「欠席」の返信をした。
OB会発足がきっかけになり、再び親密な交際が復活しているようだ。
同級生部員の数名は、ゴルフコンペを定期的に行って楽しんでいる。
「お前さー、ゴルフやる?やれよー」
と、誘ってくれたことがあった。
私はゴルフは苦手…というか、小さなボールを操ること自体が苦手なのだ。
野球、ソフトボール、ゴルフ、テニス、卓球など、まるで上達しなかった。
学生時代にフィールドホッケー同好会に所属したが、1年で辞めた。
あんなに小さなボールを操れる人に、尊敬と憧れを感じる。
バスケ、バレーボール、ハンドボール、サッカーは、ボールの大きさが私には合うのだが…。
とはいえ、スポーツは大好きだ。
「ゴルフは苦手だよー、ごめん」
「なーんだーダメだなぁ…、じゃキャディをやれ!」
こんな会話をしたことが懐かしい。
彼らのゴルフコンペの結果ランキングは、いつもどういうわけか耳に入ってくる。
優勝した人の喜ぶ顔。
振るわなかった人の悔しがる顔。
昔みたいに、リアルに思い浮かんで面白い。
さて今年のOB会の夜。
会社で残業をしていた私は、時計を見た。
今頃まさに宴たけなわ…だろうな・・・と思いながら、パソコンを閉じた。
もう21時になろうとしていた時、スマホが震えた。
LINEのメッセージ。
総会終わりました。
執行部から御巣鷹の話、ありましたよ。
我々世代の野球部主将、K君からだった。
早朝から出社し疲労困憊していた私だが、嬉しくなって電話をかけてみた。
OB会の席で、かつて一緒に女子マネージャーをしていた親友のことに、触れてくれたというのだ。
受話器の向こうは総会がお開きとなり、場所を改めて二次会の最中だったようだ。
次々に電話口に出てくる野球部員。
1番セカンド〜 K君〜。
「今夜の総会で、御巣鷹のこと忘れないように!という話があったよ」
2番ライト〜 Y君〜。
「おぉ!お前なんで来ないの?今どこにいる?」
3番センター〜 M君〜。
「実家の土地売れた!税金くる!」
4番ピッチャー〜 H君〜。
「元気か?もう仕事なんて辞めちまえよー」
5番×××〜 ◯君〜。
何故か5番目のバッターは登場しなかった。
棄権か???
いや・・・。5番はたぶんN君〜。
一番照れ屋の彼ではないかと、私は思っている。
ものの10分程だった。
短い会話でも、完全に高校生に戻ってた。
私は、今も彼らと関わりがあることが嬉しい。
ただ、もう1人の女子マネだった親友はいない。
願わくば・・・。
彼らに・・・。
ゴルフもいいが…。
たまには昔のように…、グランドで白球を追いかける姿を見せていただきたい。
プロ野球選手の「名球会」みたいにね。
もしもそんな日が訪れたら…。
私は昔みたいに「レモン水」と「レモンの輪切りのハチミツ漬け」を持参して参上する!
バックネット裏で、元気に野次を飛ばすだろう。
その時きっと、御巣鷹の尾根からもう1人の女子マネも、応援に駆けつけるだろう。
昔みたいに・・・。
了
几戸姶洛
