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【富山・高岡】壁に咲く銅の花器 — 糠味噌と漆で染まる、400年の着色技法

一輪の花を飾るのに、こんなにも手間をかけてつくられた器があるとは知らなかった。銅の表面に現れる深い青銅色は、塗料で塗ったものではない。糠味噌に浸け、酢をかけ、漆を煮含め、何度も焼いたり冷やしたりを繰り返す。まるで料理のように、金属の色を変化させていく。富山県高岡市に、400年以上受け継がれてきた着色の技がある。

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今回紹介するのは花瓶・一輪挿し on the wall mini 斑紋青銅色 高岡銅器(¥12,100)です。

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高岡に鋳物師が集まった日

1611年、加賀藩主・前田利長は北陸に新しい城下町を築いた。その名が高岡だ。城を守る兵だけでなく、町を栄えさせる職人が必要だと考えた利長は、越中各地から7人の鋳物師(いもじ)を呼び寄せ、高岡の地に定住させた。これが高岡銅器の始まりとされている。

当初は農具や日用品のための鋳物づくりだった。しかし江戸時代を経て明治の開国とともに変わっていく。西洋の技術と交わり、彫金・象嵌・着色といった装飾技術が磨かれた。やがて高岡は仏具や茶道具だけでなく、美術工芸品の産地として国内外に名が知れわたった。今日、日本で流通する銅器の実に95%以上が高岡で生産されているという。それほどまでにこの地は、金属を扱う技術を集積させた。

高岡銅器は1975年に国の伝統的工芸品に指定されている。指定を受けた工芸品の中でも、着色技術の豊かさは際立っている。青銅色、黒染色、朱銅色、錦色と、同じ銅でありながらまったく異なる表情を持つ色が生み出される。その色づくりは今も、職人の手と、昔からの調合によって行われている。

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糠味噌と漆がつくる、塗料ゼロの青

着色の工程は「古美色付け(こびしょくつけ)」と呼ばれる。そこで使われる素材を聞くと、思わず二度見してしまう。糠味噌、酢、漆、そして煮沸した湯——これが青銅色をつくる材料だ。

まず銅を糠味噌や酢の入った液体に浸す。すると銅の表面が化学変化を起こし、錆のような層が生まれる。これを焼いて固定し、また浸し、また焼く。さらに漆を薄く塗り込んで加熱する工程も加わる。何度も繰り返されるこの作業の中で、銅は「変色」ではなく「変性」する。表面そのものが別の色へと変わっていく。

だから磨けば磨くほど、経年とともに深みが増す。塗料が剥がれるのとはまったく違う変化だ。使い続けるうちにじんわりと育っていくような味わいが、古美色付けの特徴といえる。「何が難しいか」と問われれば、答えは「色を決めること」だという。調合のわずかな差で、仕上がりの色が変わる。その判断は職人の目と感覚にしかできない。

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この商品を選んだ理由

今回紹介する「花瓶・一輪挿し on the wall mini 斑紋青銅色」は、モメンタムファクトリーOliiが高岡で手がける壁掛け式の一輪挿しだ。サイズは約10.0×36.5×1.7cm。板状の銅にポケットが設けられており、付属のガラス製の試験管型の器を差し込んで花を生ける。壁に掛ける金物なので、棚や床のスペースを取らないのも魅力だ。

価格は¥12,100(税込)。手仕事の着色が施された高岡銅器として考えると、むしろ手の届きやすい価格帯だと感じた。在庫の数に限りがあるため、気になった方は早めに確認することをすすめる。

一輪だけ、で十分だと気づく場面

玄関の小壁に掛けておいて、庭で摘んできた草花を一本だけ挿す。茎の短い野花でも、あのガラスの器に収まりさえすれば絵になる。土間の白壁に青銅色の板が浮かぶ様子は、余白のある構図として、訪れた人の目を引く。

和室の床の間に飾るにも向いている。大振りな花入れを置くほどの空間がなくても、壁掛けであれば主張しすぎない。茶道のある家では、季節ごとに花を変える楽しみを壁の一角に持てる。

書斎や仕事部屋の壁に掛けて、一輪の枝物を添えるのもいい。机に向かう視線の先、少し高い位置に花があると、作業の合間にふっと気が抜ける瞬間ができる。枝物は長もちするし、ドライになっても味わいが続く。

新築祝いや引越し祝いの贈り物にも喜ばれる。壁に設置できるインテリアは、受け取る側が自分の家に合わせて置き場を選べるのがいい。青銅・黒・孔雀色・純銀色とカラーがあるので、相手の部屋に合わせて色を選ぶ楽しみもある。

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銅器のお手入れと経年変化の楽しみ方

銅製品は水気に注意することが基本だ。ガラスの器に水を張るのは構わないが、銅の板本体に直接水が当たり続けると、緑青(ろくしょう)が生じる。緑青は無害だが、気になる場合は乾いた布でやさしく拭き取る。

日常的なお手入れは、乾拭きで十分だ。洗剤は使わない方がいい。着色の層に影響する可能性がある。汚れが目立つ場合は、固く絞った布で拭き、すぐに乾かす。

高岡銅器の着色は使うほどに変化する。手が触れる部分が少しずつ明るくなったり、日当たりによってわずかに色が変わったりする。これを傷みと見るか、育ちと見るかで、付き合い方が変わる。100年単位で使われてきた銅の道具は、人と時間をともに過ごすものだと思えば、小さな変化も愛おしくなる。

合わせて検討したい、同シリーズの色違い

「on the wall mini」シリーズには、同じ高岡銅器の着色技法を用いた複数のカラーバリエーションがある。斑紋黒染色(¥12,100・残り4点)▶ Amazonで見るは、シャープな黒に細かな斑紋が入り、モダンなインテリアにもなじむ。斑紋孔雀色(¥12,100・残り3点)は深い青緑が特徴で、洋室にも馴染む独特の色合いだ。どちらも同じ着色工程で仕上げられており、贈り物に相手の好みの色を選ぶのもいい方法だ。

贈りもの・記念日に選ぶときのポイント

高岡銅器は「長く使えるもの」として、節目の贈り物に選ばれてきた歴史がある。新居への引越し祝い、結婚祝い、開業・開店祝いなど、空間に関わるお祝い事に特に向いている。壁に掛ける花器は「ここに生活を根ざす」という意味合いを感じさせるものでもある。

退職のお祝いや、還暦・古希といった長寿の祝いにも喜ばれる。毎日の暮らしの中に一輪の花を飾る時間を持ってほしい、という気持ちをかたちにできる。化粧箱に入った状態で届くので、そのまま手渡しやギフトとして使える。

まとめ

糠味噌と酢と漆で染まる金属——そんな言葉が今まで頭の片隅にさえなかったことを、この器に出会って初めて気づいた。高岡銅器は、400年の時間をかけて磨かれた着色の技を持つ。化学反応で素材そのものを変えていく工程は、どこか発酵と似ている。時間が味方になる工芸だ。一輪の花を挿す、ただそれだけのことを、こんなにも豊かな背景が支えている。

世界に一つの職人の技を、ぜひ手元に。
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