【岐阜・飛騨高山】400年の琥珀色が、お茶の時間を変える
湯呑みを置いた瞬間、テーブルの空気が変わった。木の茶托が一枚あるだけで、なぜこんなにも日常の所作が整って見えるのだろう。飛騨高山に400年受け継がれてきた「春慶塗」には、そんな不思議な力が宿っている。
この工芸が生まれた背景
飛騨春慶塗の起源は、17世紀初頭にさかのぼる。当時、飛騨高山では日光東照宮の造営にも携わった腕利きの大工や宮大工が多く活躍していた。ある職人が、材木を乾かしているとき、木の自然な木目の美しさに目を奪われた。これを活かしたまま漆で仕上げることはできないか——その着想から生まれたのが、素地の木目を透かして見せる春慶塗の技法だ。透明感のある琥珀色が特徴で、他の漆塗りとは一線を画す独特の風合いを持つ。飛騨という山深い土地に良質な天然木が豊富に育ち、大工仕事に長けた職人たちが集まっていたからこそ、この工芸は生まれ得た。1975年には国の伝統的工芸品に指定され、今も高山の工房で職人の手によって丁寧に作られ続けている。
職人の技術・こだわり
春慶塗の最大の特徴は「木目を殺さない」塗りにある。多くの漆器は何度も塗り重ねて木の表情を覆い隠すが、春慶塗は逆だ。薄く透明感のある漆(あるいはカシュー塗料)を丁寧に重ねることで、素材の木目をそのまま「見せる」ことを目的とする。これは素地の選別から始まる。均一で美しい木目が出る箇所を職人が見極め、一枚一枚手でくり抜いていく。機械でカットすれば速くなるが、木目の走り方が微妙にずれて美しさが損なわれる。手作業にこだわるのは、仕上がりの「顔」が変わってしまうからだ。漆や塗料を乗せた後も、乾燥の温度・湿度を管理しながら何度も磨きを繰り返す。そうして初めて、光を受けると内側から輝くような琥珀の艶が生まれる。

この商品を選んだ理由
中山漆器が手がける「飛騨春慶塗 茶托 5客揃え」は、天然木の無垢板から職人が一つひとつくり抜いて仕上げたものだ。縁の厚みは約4ミリ。薄すぎず、かといって野暮ったくもない、絶妙なバランスが茶器を自然に引き立てる。5枚が同じ高さでぴたりと重なる仕上がりの精度は、職人の手仕事ならではのものだ。来客用に、あるいは自分の日課にするお茶の時間に——どんな湯呑みにも寄り添う汎用性の高さも魅力だ。価格は¥5,806(税込)。天然木を一枚ずつ手でくり抜き、丁寧に塗り重ねることを考えれば、5客分この価格は職人仕事への対価として納得がいく。
こんな場面で使いたい
休日の朝、急須で丁寧に淹れたほうじ茶を一杯。プラスチックのコースターではなく、琥珀色の木の茶托に置いたとき、それだけで「ちゃんとした時間」が始まる気がする。あるいは、大切な来客があった日。「どうぞ」と差し出した茶托が春慶塗であれば、言葉を添えなくても気持ちが伝わるかもしれない。日本のものづくりを大切にしている人への贈り物にも、格式のある選び物になるはずだ。5枚揃いで化粧箱なしでも品があるため、結婚祝いや引っ越し祝いの実用品としても選びやすい。
日常の中にひとつ本物があると、暮らしの質感がすこし変わる。飛騨春慶塗の茶托は、そういう静かな変化をもたらしてくれるものだと思う。
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飛騨高山の職人たちが400年守り続けてきた春慶塗。その琥珀色は、お茶の時間の静かな主役になってくれるはずだ。
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