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売る気はないのに市場を動かす、「野良インフルエンサー」の日常

私は「野良インフルエンサー」かもしれない。


突然だが、皆さんは「自分が買い始めたお気に入りの商品が、なぜか直後にすぐ売り切れる現象」を経験したことはないだろうか。
実は私、今まさにその現象の渦中にいる。


X(旧Twitter)は、やってないし。インスタでキラキラした写真を投稿しているわけでもなく、見る専。
フォロワー数ゼロ、発信活動も一切していない、完全なる「その他大勢の一般人」だ。
なのに、私が「これ、美味しい!」とハマった製品は、高確率で店頭から姿を消す。


今日も、お目当ての「オイコス ヨーグルトマンゴー味(Geminiに聞いたら、期間限定マンゴー味だったと教えてくれた)」を買いにいつものスーパーへ行ったのだが……。
見事に、マンゴー味のスペースだけがぽっかりと、綺麗に空っぽであった。


「なくなってるじゃん!」と、売り切れた棚の前で心の中で苦笑いするしかない。
私はあまり甘いものは食べないが、マンゴー味の飲食物に目がない。
この時期になると世の中に出てきては、鮮やかな黄オレンジ色が色どりを添える。


南国に行きもしない私に、手軽に南国気分を味わわせてくれて、実にありがたい存在だ。(安上がりな人間)
あのねっとり濃厚なプレーンヨーグルトの底から、ジューシーでトロピカルなマンゴーソースが出てくる、あの至福の瞬間を味わう気満々だった私の胃袋の行き場はどこへいけばいいのだろう。

買えないとなると、ますます食べたくなるのが人間の性(さが)である。


思えば、私のこの「売り切れ誘発体質」は今に始まったことではない。
過去にも、ふと気になって買い始めた地元のスーパーのお惣菜や、パッケージに惹かれて試したマイナーな飲み物などが、私がリピートし始めた途端に急に品薄になり、そのまま定番落ち、あるいは幻の商品へと消えていった記憶がいくつもある。


特にネットサーフィンし、トレンドをくまなくチェックしてからスーパーに行っているわけでは決してない。
本能の赴くままにスーパーに行っているのだ。

発信しない「野良インフルエンサー」という生き方

SNSで影響力を持つ人をインフルエンサーと呼ぶなら、私のように「SNSはやっていないのに、なぜか流行のド真ん中を先取りして売り切れを誘発(?)してしまう人」のことは、こう呼びたい。
野良(のら)インフルエンサー」だと。


もちろん、私が買ったから世界が動いた……なんて大それたことは思っていない。
だが、きっとこういうことなのだ。
私の「これ良さそう!」というアンテナの感度が、世の中のトレンドの波と、ちょうど絶妙なタイミングでシンクロしている。
いわば「野生のトレンド察知能力」が、人よりほんの少しだけ鋭いのかもしれない。


リアルな売り場で、私が1個カゴに入れた瞬間の「買い物カゴの空気感」や「棚にできたわずかな隙間」が、周囲の誰かの購買意欲を無意識に刺激している……なんて妄想をするのも、ちょっと楽しかったりする。
これは売り切れるぜ~、みたいな。

狂いはなかった、私の目

お気に入りの限定味が買えなかったショックは大きい。しかし、見方を変えれば「私の目に狂いはなかった」という証明でもある。


「ほらね、やっぱりみんな欲しくなったでしょ?」


売り切れた棚を前に、心の中で小さくガッツポーズをしながら、私は今日も別の商品を物色している。
次に私が目をつけたものが売り切れたら……その時は本格的に、プロの「野良インフルエンサー」を名乗ろうと思う。

皆さんの周りにも、そんな「隠れ野良インフルエンサー」はいないだろうか。

さも実績があるかのように語ってきたが、この多大なる思い込みこそが、野良インフルエンサーの特徴である。


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