第二章:#1 関係は、いくつもの要素で動いている
このシリーズは、夫婦関係を「相性」や「努力不足」ではなく、構造として捉え直す連載です。
この記事は【第2章「夫婦の見方を変える」#1】。一覧はこちら。
「関係がうまくいかない」
そう感じたとき、私たちはすぐに原因を探し始めます。
どちらが悪いのか。何が足りなかったのか。
気持ちの問題なのか。努力の問題なのか。どうすれば改善できるのか。
けれど、この見方のままでは、同じところを回り続けることになります。
原因を探しているはずなのに、答えが定まらない。
努力しているのに、手応えがない。
話し合っても、すぐに元に戻ってしまう。
もしそうなっているとしたら、そもそも見ているものが違う可能性があります。
「なんとなくうまくいかない」は、摩耗している状態
このシリーズでは、「関係がうまくいかない」という状態をこう捉えます。
”違和感が解かれずに、関係の中に残り続けている状態”
たとえば、なんとなく話しかけにくい。頼りにくい。気を遣う。
そうした小さな違和感が、解消されずに残り、繰り返されていく。
その結果、どうなるか。
関係の中にあったはずの安心感や快適さが、少しずつ削られていきます。
この状態を、ここでは「摩耗」と呼びます。
摩耗は静かに進む
摩耗にはいくつかの特徴があります。
大きな出来事がなくても起きるということ。
一度ではなく、繰り返しによって進むということ。
はっきりとした問題として認識されにくいということ。
だからこそ、「壊れているわけではない」と感じながらも、居心地だけが悪くなっていく。
関係は続いている。会話もしている。それでもどこか引っかかる。
そういう状態が続くとき、起きているのは破綻ではなく、摩耗です。
人や感情の問題として扱わない
もちろん、この中には感情も含まれています。コミュニケーションの行き違いもあります。お互いの努力や頑張りも関係しています。
ただ、この回ではあえてそれらを土台にしません。
誰がどう感じたのか。どちらがどれだけ頑張ったのか。
そうした視点からは一度離れます。そしてここでは、関係の摩耗を必ず「状態」として捉えます。
人や感情を起点にすると、どうしても原因を一つに絞ろうとする力が働いてしまいます。
けれど、実際に起きていることは、もう少し複雑です。
関係は、単一の要因では動いていない
関係の中で起きた出来事を一つとっても、その要因となるのは必ず複数です。
そのときの余裕の有無。
お互いの前提の違い。
安心して任せられる感覚があったかどうか。
いくつもの要素が重なった結果として、その出来事は起きています。
ここで挙げたものも、あくまで一つの見方にすぎません。
分け方はいくつも考えられますし、状況によって見え方も変わります。
ただ少なくとも言えるのは、関係は一つの原因だけで動いているわけではない、ということです。
だからこそ、「これを変えれば解決する」という形にはなりません。
放置すれば、摩耗は進む
ここで一つだけ、はっきりさせておきます。
関係は、放置すれば摩耗します。
何か特別な問題が起きたから削れるのではなく、違和感がそのまま残り続けることで、少しずつ削れていく。
関係は、何もしなければ現状維持できるものではありません。
むしろ、何もしなければ勝手に摩耗が進行していくものなのです。
「何が起きているか」を捉える
関係は、人の性格や気持ちだけで決まっているわけではありません。
いくつもの要素が絡み合いながら、状態として変化していきます。
そして、その結果として現れるのが「摩耗」です。
もし今、「うまくいかない」と感じているなら、それは摩耗という状態かもしれません。
私は、この摩耗を生み出す要素は、いくつかの軸で捉えられると考えています。
そして、私はそれを「違い」「余裕」「安心」という3つの観点で捉えること関係の状態が整理しやすくなると感じています。
次は、その要素のひとつ「違い」について見ていきます。
ここまで読んで、「もしかして前提が違うかもしれない」と感じたなら、このシリーズはその違和感を扱うためのものです。
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