まだ明るい、と驚いた日
仕事を終えて、いつものように裏口から外に出た。
その瞬間、思わず立ち止まってしまった。
まだ、明るい。
こんな時間なのに、空が青い。少し前まで、この時間はもうすっかり夜だったはずなのに。
「あ、そうか。もうそんな季節か」
そう呟きながら、なんだか少しだけ得をしたような、不思議な気持ちになった。
考えてみれば、これは毎年起きていることだ。冬から春、春から夏へと、日はほんの少しずつ長くなっていく。今日と昨日を比べても、その差はきっと数分にも満たない。
なのに、なぜか私はいつも「ある日突然」訪れたかのように驚いてしまう。まるで、今年初めてこの現象に出会ったかのように。
去年も、たしか同じ場所で、同じように驚いた気がする。それなのに、今年もまた新鮮に驚いている自分がいる。
これって、ちょっとおかしなことなのかもしれない。
同じことを繰り返し経験しているのに、慣れない。学習しない。毎回、初めてみたいに驚く。
効率だけを考えたら、「もう知っている」「もう慣れた」という状態のほうが、きっと合理的なのだろう。驚く分のエネルギーを、他のことに使えるかもしれない。
でも、と思う。
この「毎年驚けること」自体が、実はけっこう贅沢なことなんじゃないだろうか。
季節が移り変わっていくのを、当たり前のこととして素通りせずに、ちゃんと立ち止まって「あ」と感じられること。慣れきってしまわずに、まっさらな気持ちで受け止められること。
それは、感受性がまだちゃんと働いているということだと思う。
仕事帰り、まだ明るい空を見上げながら少し歩いた。
いつもより、少しだけ遠回りしたくなった。
最近、何かに「今年も」と驚いたことはありますか。
