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INTERVIEW|聖和株式会社 代表取締役 林 桂子 氏

検品基準は「わが子に着せたいか」
無理と無駄の解消に日々努める

学生服などの検品を手掛ける聖和㈱(倉敷市玉島勇崎1097-28)。
「わが子に着せたいか」を判断基準に高品質の検品を行い、そのこだわりぶりにはメーカーの担当者でさえ舌を巻くという。
従業員の意思を尊重する方針の下、事業領域の拡大にも積極的な林桂子社長に、経営理念に込めた想いや、その実践に向けた取り組みについて聞いた。

――聖和の歴史から教えてください。

主にカジュアル衣料の加工を手掛けていたのだが、季節変動はないものの、カジュアルは流行の影響を受けやすく、加工に必要な技術に慣れたころにはその技術が必要なくなることもあり、学生服の検品にシフトした。
学生服においては、高い精度と安定した品質が求められるため、加工技術だけでなく検品体制の重要性が高く、当社は検品分野に強みを持つ体制を築き20年以上になる。
また、海外生産の増加により品質のばらつきが課題となる中で、最終工程としての検品の重要性はさらに高まっている。
そうした中で、当社のように検品に特化した体制を持つ企業は多くはなく、その役割はますます重要になっていると考える。
さらに当社では、検品・仕上げにとどまらず、補修から保管・輸送までを一貫して対応できる体制を整えており、製品を安心して任せていただけるワンストップのサービスを提供している。

――学生服の検品とは、具体的にはどのような作業なのですか。

汚れや傷、縫製の不良、サイズや仕様間違いがないか確認するほか、風合いや着心地など、数値化できないところにも気を配る。
検品スタッフ全員が子どもを持つ女性ということもあり、基準は「わが子に着せたいか」。
何着も買うものではない学生服には厳しい検品水準を求められる。
特に入学式を迎える小学1年生にとって、本人はもちろん両親、祖父母みんなが楽しみにしており、化粧箱を開けたときに「わーっ」と喜んでもらえるような、素晴らしい学生服を届けたいというのがわれわれの願い。

「聖和基準」のクオリティ

柔らかい素材は真っすぐ縫うのが難しく、微妙に蛇行して小じわになりやすい。
検品にはある程度の許容範囲が設けられるのだが、「うちの子には着せたくない」と思うような学生服は紛れ込ませないというプライドを持っており、妥協のなさに対しメーカーの担当者から「それは聖和基準」と言われることもある。
中国やベトナムに拠点を設けるよう誘われることもあるのだが、それでは目が行き届かず、品質を重視するために断っている。

――「無理なく 無駄なく 健全な利益で社会貢献」という経営理念を掲げています。

経営理念は私が社長に就任した2019年に作成した。
当社は従業員ファーストで、疲弊してしまうような無理はさせたくない。
一方で、ある程度のスピードと確実性が求められるので、両立させるためには無駄を省いて効率を上げる必要がある。
一人ひとりの従業員には物心両面で豊かになってもらいたいので、取引先との関係は一定基準で線引きして利益を確保し、納税という企業としての社会的義務を果たす想いを込めた。

経営理念を実践するため、すべての作業で無理と無駄がないか常に意識しており、私自身が現場に入るときには問題点がないか注視し、気になることがあれば改善方法を議論するようにしている。
学生服に加えカジュアルの検品、アイロン仕上げを手掛けているが、ジーンズであればアイロン仕上げの後にラベルを付ける作業があり、少ないロットでも500本ほどになる。
付け忘れを防ぐためにラベルの枚数を事前に数えるのだが、1本のジーンズに3、4枚のラベルを付けるので数えるのに結構時間がかかるし、数え間違いも生じやすい。

何かいい方法がないか以前から考えていたのだが、取引先から重量で枚数をカウントする機械のことを聞き、導入したところ大幅に効率化できた。
また、ジーンズの糸摘みで「手が痛くなる」という声があり、ある従業員のアイデアで毛玉取りを参考にした機械の導入を検討している。

――従業員からの提案が効率化につながり、検品作業の質向上にもつながっている。

机の位置や向きを少し変える、商品の置き方のようなちょっとした改善は頻繁に行う。
作業中に移動しやすくするため、ミシンに使う椅子は回転できる丸い椅子で、ほとんどの机も移動しやすいキャスター付き。
品質のぶれをなくすため自社で検品マニュアルを作成し、過去のクレームを教訓に工程を見直し、同じミスを繰り返さない仕組みづくりを心掛けている。
お預かりした製品を扱う立場であるため、その取り扱いには特に気を配っており、その一つとして、社内の清掃は徹底している。
私は時折、あえて白い服で現場に入ることがあるが、自分の服の汚れが気になる場所は、まだ掃除が行き届いていないという一つの目安になるからだ。
製品に付属する資材やパーツも丁寧に扱い、保管環境にも細心の注意を払っている。
当たり前のことだが、そうした日々の積み重ねを大切にしている。

重視するのはあくまでも「質」

また、業務にも従業員の意見を積極的に取り入れており、不良品が廃棄処分されることに対し、「もったいないので補修すればいいのに」という声を受け、メーカーに相談して補修を開始。
入学式前に繁忙期を迎えるメーカーを手助けしようと、スラックスの裾上げや個人名の刺しゅうを始めたところ、3年後にはメーカーと同程度の仕事量をこなせるようになった。
ただ、「量」を増やすのが目的ではなく、重視するのは「質」であることに変わりはない。

――希望する人材像はどのようなイメージですか。

成長意欲があり、周囲への気配りができること。
やれるかやれないかより、「やってみたい」「頑張ってみます」という言葉が自然に出るような前向きな人材を求めている。
やりたいことがあればどんどん挑戦してもらいたいし、得意な面は伸ばし、不得意なことは得意な人に任せてしまえばいいという方針だ。

女性が多い職場のため、学校行事などに参加しやすくするため短時間の有給休暇制度を導入しているほか、出勤時のあいさつのトーンと顔色などから従業員の体調把握に努め、その日の持ち場を変更することもある。
仕事に対するプライドの一方で、女性らしい居心地の良さにも配慮している。

――現状の課題をどのようにとらえていますか。

市場環境が変化する中、当社では従来の学生服の検品に加え、カジュアルやユニフォーム分野の仕上げ・二次加工にも取り組み、事業の幅を広げている。
それぞれ異なる特性を持つカジュアル・学生服・ユニフォームの三つの分野を柱とすることで、安定した事業基盤を築くとともに、時代の変化にも柔軟に対応できる体制を強化している。
また、当社の女性スタッフは、柔らかさの中に芯の強さを持ち、未経験の分野にも臆することなく挑戦し、最後までやり切る力を備えており、その積み重ねが新たな事業展開を支え、会社としての成長につながっている。

――今後の目標を教えてください。

従業員に豊かになってもらうためにも、会社を存続させないといけない。私は聖和という会社を100年続く企業にしたいと考えている。
時代とともに世の中は変化し、それに柔軟に対応できる仕組みが必要。
100年企業を目指す中で、単なる衣料品の検品に留まらず、時代に合わせて柔軟に形を変えながら、アパレルで培った“聖和基準”の検品技術をさまざまな分野へ広げていきたいと考えている。
品質を守る存在として、社会に必要とされ続ける会社でありたいと思っている。

聖和株式会社

2003年設立。厳しい基準が求められる学生服の検品という領域で、「わが子に着せたいか」を基準に、300万点の検品実績を誇る。100年企業を目指し、ユニフォームの検品にも新たに挑戦している。従業員20人。

聖和 HP https://seiwa520.co.jp