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異世界転生したら「毎年通貨の価値を4%下げる」驚きの国だった件。現金主義の村人たちが貧しくなり、ボロ宿・不動産を買った男が得をした理由

※本記事は、インフレと資産形成をテーマにしたフィクション小説です。(以下から、小説が始まります)


【あらすじ】あるところに、お金の価値が少しずつ減る国がありました

昔々、海に囲まれたシマグニ王国という国がありました。

剣と魔法が当たり前のその国で、人々は「リン」というお金(法定通貨)を大切に木箱へしまって暮らしていました。

ところが王都の広場では、毎年こんな宣言が行われていました。

「4%のインフレを目指す。つまり、我が国の法定通貨の価値を、毎年4%ずつ意図的に下げることを目標とする!!」

民たちは、それでもリンを信じていました。

減らさなければ安心。貯めておけば安心。

けれど、この国に転生してきた男だけは、首をかしげます。

「……この状態なら、リン(お金)の購買力は低下するんじゃないか?」

これは、リンを木箱に守った村人たちと、小さな宿屋「月影亭」に目をつけた男の物語です。

先に結論:この国で起きたこと


忙しい冒険者のために、先に話の結論だけまとめます↓

物価が毎年4%上がる世界では、現金の額面が減らなくても購買力は下がる。

報酬(給料)が物価ほど上がらなければ、真面目に働いても生活は苦しくなる。

不動産は、家賃収入・資産価値・借入・税制・団信の面で、インフレに対抗する装備になり得る。

ただし、不動産投資は万能の聖剣ではない。

空室、修繕、金利上昇、税金、管理の手間という呪いもある。

つまり、言いたいことはひとつ。

現金は必要。でも、現金だけで未来を守れるとは限らない。

ここから先は、そのことを知らずに木箱へリンを詰め込み続けた村人たちと、小さな宿屋を買った俺の話である。


プロローグ:異世界転生したら、驚きの国家方針だった


目を覚ますと、そこは見知らぬ草原だった。

空には二つの月。

遠くには石造りの城壁。

腰には、なぜか錆びた短剣が一本。

「……まさか、異世界転生ってやつか?」

前世の俺は、ごく普通の会社員だった。


朝の満員馬車……いや、満員電車に揺られ、給料日を待ち、老後資金に怯え、銀行口座の残高を眺めてはため息をつく。

そんな人生だった。

特別な魔法の才能もない。

剣の腕もない。

神様から与えられたチート能力もない。

ただひとつだけ、前世から持ち越したものがある。

それは、ほんの少しの金融リテラシーだった。

俺が転生した国の名は、シマグニ王国。

剣士が魔物を狩り、魔法使いが火球を放ち、商人が馬車で街道を行き交う、いかにも異世界らしい国である。

ただし、この国にはひとつ、驚きがあった。

王城の隣に、巨大な白い塔が建っていたのだ。

その塔の名は、中央銀行。

剣と魔法の世界に、中央銀行があった。

しかもこの国は、驚きの国家方針を掲げていた。

第一章 中央銀行の宣言「インフレを目指します」

俺がシマグニ王国で暮らし始めて三日目のことだった。

王都の広場に、国王、財務大臣、そして中央銀行のリーダーが姿を現した。

広場には、多くの民が集まっていた。

鍛冶屋、薬草売り、冒険者、宿屋の女将、農民、魔法学校の生徒。

誰もが、ありがたいお告げでも聞くかのような顔をしている。

中央銀行のリーダーは、金色の杖を掲げ、高らかに宣言した。

「4%のインフレを目指す。つまり、我が国の法定通貨の価値を、毎年4%ずつ意図的に下げることを目標とする!!」

広場に拍手が沸き起こった。

「さすがリーダー!」

「これで景気がよくなるぞ!」

「物価が上がれば商人が儲かり、商人が儲かれば給料も上がるはずだ!」

俺だけが、凍りついていた。

毎年4%。

たった4%に聞こえるかもしれない。

だが、10年続けば物価はおよそ1.5倍になる。

今日100万リンで買えるものが、10年後には同じ100万リンでは買えなくなるかもしれない。

この国の法定通貨は「リン」。

国が自ら、そのリンの価値を毎年下げていくと宣言している。

もちろん、物価が上がること自体が必ず悪いわけではない。

給料も報酬も同じように上がっていくなら、人々の暮らしは保たれる。

商売が活発になり、国が豊かになることもあるだろう。

だが、もし物価だけが上がり、収入が追いつかなかったら?

そのとき最も苦しむのは、リン(お金)を大切に握りしめている者たちだ。

俺はその場で、前世の記憶を思い出していた。

現金は安全に見える。

だが、インフレの世界では、現金の価値は静かに削られていく。

音もなく、血も流れず、まるで呪いのように。

第二章 ポーション値上がり、上がらない討伐報酬(給料)


それから数年。

シマグニ王国では、リーダーの宣言どおり、物価がじわじわと上がっていった。

最初に異変を感じたのは、薬屋だった。

「初級回復ポーション、一本120リンだよ」

「え? この前まで100リンだっただろ」

「薬草が高くなったんだよ。

瓶も、魔力水も、運搬費も全部値上がりしてるんだ」

冒険者たちは文句を言いながらも、買うしかなかった。

ポーションなしでダンジョンに入るのは、危険だ。

次に上がったのは、宿代だった。

一泊800リンだった安宿が、900リンになり、1,000リンになった。

鍛冶屋で剣を研ぐ費用も上がった。

保存食も、馬車代も、革の防具も上がった。

街のあちこちで、同じような会話が聞こえるようになった。

「最近、何を買っても高いな」

「昔はこの金額で一週間は暮らせたのに」

「リンの枚数は減っていないのに、なぜか生活が苦しい」

だが、本当に恐ろしいのはここからだった。

冒険者ギルドが出すゴブリン討伐報酬は、ほとんど上がっていなかったのだ。

十年前も、一匹あたり500リン。

今も、一匹あたり520リン。

物価は上がった。

ポーションも上がった。

宿代も上がった。

剣の修理代も上がった。

それなのに、冒険者の報酬はほとんど増えていない。

さらに、国は高齢エルフの医療費や城壁修繕費を理由に、ギルド税を引き上げていた。

手取りは増えない。

むしろ、減っているように感じる。

酒場の隅で、ベテラン冒険者が空のジョッキを見つめながらつぶやいた。

「俺は昔より弱くなったのか?」

誰も答えられなかった。

俺は心の中で答えた。

違う。

あんたが弱くなったんじゃない。

リンの購買力が弱くなっているんだ。

第三章 現金信仰という名の防御魔法

不思議なことに、シマグニ王国の民は、物価上昇に苦しみながらも、ある行動だけは変えなかった。

現金を貯め込むことだ。

「最近、、、、、
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