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ハロウィン🎃〜喧騒の夜〜👻


【前書き いつもVの前書きは長い】
 ハロウィンから数日経つというのに、ある女Vはまだ動けない。頭痛、発熱、喉の痛み‥‥酷い風邪引きだ。
 気候の変化が激しいドイツ、また室内と外との温度差(20度以上)が大きいことに注意して、風邪をひかないように毎日気をつけていたというのに。
 たった2時間の騒ぎで、ここまで重い風邪をひいてしまったのは、誰のせいでもない、自己責任である‥
 

 奇跡のような優れグッズ、ありがたい日本製品『熱さまシート』を額に貼り、アイスノン2個で痛む頭頂部と後頭部を冷やしながら、風邪と闘うV。
 アイスノンは人間用2個、犬用2個(熱の時は毎回借りる。薄くて便利)全てをフル稼働させて一日を過ごす。

 夫Oは、一昨日からスペインに出張している。帰ってくるまでは、38度を超える熱に耐え、自分で自分の世話と犬の世話をしなくてはならない。
 Oが食材を買い込んで来てはあるものの、作るのも片付けるのも風邪引きV、しかしOのご飯を心配しないで済むだけ楽だ。

『パパがお出かけだからママと寝るんだね』とやって来る犬を寝かしつけるのもV‥‥
『はい、どうじょ』と目の前にお腹が差し出される。ねんねするまで撫で続ける。
 犬の寝かしつけは人間の赤ちゃんに比べたら楽勝だ。他の家事と違って、寝ながらできるのだし、可愛いし。やがていつものようにお尻をVにくっつけ(飼い主への信頼の証らしい)、北西の方角を向いて寝息をたて始める。
 やっと一日が終わる。頭や身体の節々が痛くて、寝返りも辛い。


 Vは軽微な怪我ばかりしているので、日本でもドイツでも、整形外科医と顔見知りになりがちである。
日本の老医師「またあんたか! 今度は何やった?」
ドイツの美人医師「今日は肩? 足? あ、手?」

 身体の中で2箇所以上が痛む場合、強い痛みの方が際立って辛く感じられることが多い。Vの経験上の定説だ。医師にその話を持ち出すと、感心されるどころか、
「バタバタ動きすぎ ! 一度に複数箇所の怪我をしないように!」
と、怒られる。
「へぇ」くらい言ってくれてもいいのに。変な奴だという顔をされた上に、説教までされる。

 Vがいかに危険と隣り合わせの日常を過ごしているか、労ってくれてもよいくらいだ。

 さて同時期に複数の痛みがある場合、ギックリ腰と足の捻挫ではギックリ腰の勝ち(痛みが上回る)、アキレス腱断裂と捻挫では、重症度はアキレス腱が上だが、痛みは捻挫の勝ち、骨折と打撲では骨折の勝ち‥‥とまぁいろいろあるが、ちゃんと脳は、人間に強い痛みの方を感じさせ、軽い方の痛みを忘れさせてくれるのだ。

 その理屈からすると、この2ヶ月Vを悩ませてきためまいも、この高熱と頭痛には敵うまい、ということになる筈だった。
 ところが、めまいは風邪の辛い諸症状に、まるで彩りでも添えるかのように、更にふらつき度を高めて存在感をアピールしていた。

 うっかり床に寝転ぶ犬に誘惑されて、下を向き、しゃがんで撫でようものなら、ふわ〜っとめまいが起こり、『あ〜れ〜』と思う間にコロンと右側に倒れてしまう(犬は顔が近くなるので大層喜ぶ)。
 頭を下げないように気をつけて過ごす日々。



【ハロウィン二日前】
 さて、ハロウィンの前のVの心配事は、このめまいのせいで買い物に行かれずにいたので、お菓子の準備が間に合うかどうか、だった。
 Oに頼めば買い物には行ってもらえるが、これまではOの帰宅時間前にほぼ終了していた為、Oはこちらのハロウィンの様子を知らない。また頼んだところで、必要な量を十分に買って来るとは思えない。
『この程度で良くない?』とケチられるのが予想される。

 ハロウィンの二日前に、建物の管理者によって、玄関ドアにお知らせが貼られる。

《10月31日 17:00〜19:00  子どもたちが各家庭を回ります。もし子どもたちが伺っても良いようでしたら、インターフォンのボタンにシールをお貼りください》

 お知らせに添えられたシールを貼った家は、お菓子をもらいに来る子どもたちを拒否しない、ということは、十分に子どもたちに対応できる準備をしておかなければならない。シールを貼る家は、近所の様子を見ていると、毎年どの建物でも半分くらいのようだ。

 Vは受け入れる方を選んできた。日本では経験できないことであるし、子供たちのハロウィンの扮装は可愛らしいし、やって来た子たちとのお喋りも楽しい。平和な国、平和な地域でなければできない行事であるし。


 そんなこんなでハロウィン二日前となった。その日は天気も良く、近くのスーパーまで行くのも大丈夫そうな気がした。
 歩いて3分なので、途中で具合が悪くなったとしても、這って帰れば辿り着く。まぁ這わずとも、ここでは人が困っていると、その瞬間に手助けしてくれるケースが殆どなので、何とかなるだろう。

 8月下旬から10月下旬まで、ほぼ毎日、一日中雨だった。気温も低く、夏の終わりから秋を飛び越し、一気に冬に突入したかのようだったのだ。

 それがここにきてやっと雨が上がり、晩秋を感じさせるような天候となっていた。雨の中紅葉し、雨の中落葉した。雨を経験しすぎて、晴れが毎日続くなんて考えられないくらいだ。

 これはVにとっても買い物日和だ。今なら行っても大丈夫に違いない。
 チョコなどの菓子類は案外重い。コロコロ付きのカートを引きずって、近くの店に行ってみた。

 スーパーには10月になると、もうクリスマスのパッケージのチョコレートや、冬のお菓子シュトーレンが並び始める。贈答用のチョコレートも数多く並ぶ。

 Vが必要なものは個包装のチョコレートやクッキー、グミなど。そしてアルコールが含まれていないもの。そうなると限られてくるので、選ぶのもさほど悩まない。

 今年はトリュフを含めて、数種類ずつ取り合わせて袋に入れることにした。
 昨年までは三つほどのカゴにザラっと入れて、手を伸ばしてもらっていたけれど、遠慮する子もいるので選ぶ時に少し時間がかかる(遠慮しない子は、付き添いの親から、自分ばかり沢山取り過ぎないようにと注意を受ける)。
 また、お菓子のカゴをドアの外に置きっ放しにするわけにいかないので、その度に外に準備した台の上に出すのも面倒だった。

 袋に詰める手間はあるものの、一人一袋と決めて準備しておけば、今年はスムーズに対応できそうだ。

 十分と思われる量のお菓子を買い込み、家でちまちま作業する。5種類を取り揃え、入れる種類が変わる時はバランスを見て別のものを詰め合わせる、またチョコの包装紙の色がダブらないように。
 
 透明なラッピング袋に入れ、紐を縛って完成。

 これをアンティークのお菓子の缶に入れて出すことに。


宝箱みたいな大きい缶
完成

 
 準備万端、念の為70袋を準備した。更に予備で10袋。昨年までの様子を考えると、子どもたちは全体で50人くらいだったので、十分だろう。
 余ったらそれはVのおやつ。在庫を抱えても何ら問題はない♪



ハロウィンの夜】
 17:00になった。早速やって来たのは怖いマスクの3人組。

 宝箱のように、缶をパカンと開けて差し出したら、「おお✨」と嬉しそうにお菓子を手に取った。
 写真撮っていい?と聞くと、恥ずかしそうに三人並んだ。写真が撮れたのは、この最初の子たちだけ。
お礼を言って上の階に上がって行った。


 その後は、子どもたちが雪崩のように押し寄せた。可愛い扮装の子が沢山やって来たのに、可愛い妖精の扮装や、凝った血糊メイクも撮りたかったのに、それどころではなくなった。

 早い時間帯は、親御さんが付き添いの3〜5歳くらいの子どもたちがやって来て、袋入りのお菓子は大いにウケた。
 蓋を開けると親子揃って、
「わぁ☺️」
「おお💕✨」
「綺麗だ♪」
の声。用意した甲斐があった。

 沢山用意したので、子どもたちだけではなく、パパやママにも「どうぞ」と手渡すと、とても喜ばれ、お喋りをして、ひととき楽しい時間を過ごした。

 この早い時間帯、親御さんと小さい子たちが帰った辺りから、様子が変わった。
 子どもたちだけで回るグループが、何だか昨年より増えている気がした。次々とインターフォンが鳴る、大勢が押し寄せる、その繰り返し。

 気がつけばリビングと玄関を往復している間に、汗ばんでいた。元々の部屋の温かさが、途中から妙に暑く感じられた。やって来る子たちの波が途絶える度に、バルコニーに出て、外の空気の中で一休み、を繰り返していた。
 犬も最初のうちはインターフォンに反応し、Vと一緒に玄関に走っていたが、怖いメイクの子が多いこともあって、玄関先を見に行くこともしなくなった。
 
 気づけば、1時間が過ぎた辺りで、既に50人以上やって来ていた。昨年とペースが全然違う?!

 V は走り回っているうちに、次第に頭がぼんやりしてくるのを感じた。元々体調が万全であったわけではないことを思い出したが、残りあと1時間、休める時にお茶を飲んだり、バルコニーで休憩して、もう一頑張り、と子どもたちには笑顔を向けていた。

 そして驚くことに、残り20分の辺りで、準備したお菓子は消え去った💦慌てて予備の10袋を追加する。
 次の一陣は7〜8人だったので、あっという間にそれも殆ど無くなった。

 うわぁ😰と思っている間に、次のインターフォンが。残ったのをあげればいいか、と顔を出すとまた7〜8人のグループ💦
 仕方なく「準備したお菓子がこれで終わっちゃうの」と伝え、お菓子詰め合わせを渡せなかった数名には、元々家にあった別のお菓子を袋ごと渡して対応する。バラして詰め合わせる時間はなかった( ⌯᷄௰⌯᷅ )

 しかし、対応できたのはここまで。家のお菓子にも限界があるのだ。そしてよく考えれば、子どもたちはあちらこちらの家に行っているのだから、Vのお菓子終了がそこまで影響することはない筈、と割り切る。

 その後予定の19時を過ぎ、遅い時間に来た2組には、『ごめんね🙏』と思いつつ、インターフォンも無視することにした。2、3人ならバナナや柿でもあげて我慢してもらおうかと一瞬思ったけれど、人数が多いとどうにもならない。

 喧騒の2時間が過ぎ、気づけばVは疲れ果て、茫然と座り込んでいた。あれだけ多めに準備したのに足りなかった!
 近所に住む子どもたちがいきなり増える筈もないのに、何故今年はあんなに沢山?!

 昨年は人数を数えていたし、今年は袋詰めしたので、正確に数を把握できた訳だが、子どもたちの数は、
       《前年比170%》

 「来客数増大の為、売り上げが伸びた」という話なら結構な数字だが、これはVが支出したお菓子予算の増大に加え、更に最後に足りなくなり持ち出した、貴重な在庫であった日本のお菓子の減少‥‥

 Vが管理する、お菓子資産の大幅な減少だ‥‥ぼんやりした頭で貸借対照表を思い浮かべる。
 


 ぐったりしているところに、Oが帰宅した。本年度ハロウィンの状況報告と、急激な子どもの人数の増加が謎すぎる、と疑問を話した。

O「ちょっと離れた家の子たちも、大勢来ちゃったんじゃない?」と。
V「えっ?! 子どもたちが回るエリアって決まってないわけ?!」
O「決まってないでしょ。日本みたいに地区の子ども会とかあるわけじゃないし。」
V「一昨年、お向かいの旦那さんが子どもたちに付き添ってたから、地区の世話役なのかと思ってた!」
O「ないない👋 そういう組織にはなってない」
V「つまり無法地帯ということ?!」
O「今年は、大きい子たちが遠くまで足を伸ばしたんじゃないかな?」

 ハロウィン🎃、来るもの拒まず、しかしお菓子の在庫には限界がある‥‥

 更に疲れて茫然としたVは、何だか喉が痛い気がした。
 ん? さっきそういえば、暑くて何度もバルコニーに出ていた。汗ばんだ首筋が冷たい外気で、スーッとしたっけ。
うわっ💦風邪引いた🤧💦💦 
室内と外の気温差にあれだけ注意してきたのに💦
毎年、[汗ばむ=風邪を引く]であったので、外出時の服装などには、かなり気を付けてきたのだが。

 翌日の土曜、そして日曜、Vは熱を出し、ご飯作りと犬の世話をOに任せた。すぐに寝込んだ割に全然治る気配はなく、熱は次第に上がり、ピークの水曜日、Oは出張。
「出かけても大丈夫?」と言いながら、仕事の予定を変えられる筈もなく、Oは出かけて行った。

 
 ハロウィンのあの2時間の為に、結局一週間近く寝込む羽目になった。昨年まではあんなに楽しかったのに。残ったのは、疲れと風邪の諸症状と、あの三人組の怖いマスクの写真1枚のみ。ううむ。
 

 やはり何事も程度というものがあるな‥‥と思うV。
 ハロウィンにお菓子をばら撒くのは、Vの楽しみであるので、費用は家計から出すのではなく、Vのカードから支払っている。Oに気兼ねなく支出するのは楽しみの一つなのだ。

 まあ、よく頑張ったということにしよう。しかし、どうせなら100個くらい作っておけばよかった、と後悔が残る。秘蔵の日本のお菓子を提供してしまったのは明らかな失敗である。
 予想が甘かった‥‥悔しい



 ハロウィンから6日目、やっと熱が平熱まで下がり、頭痛もなくなった。身体の動きもスムーズになると同時に、ハロウィン問題に関し、冷静に振り返りと反省ができるようになった。

 もし来年もインターフォンにシールを貼るつもりなら、チョコやグミを今年買った総数に加えて、あと数種類買い足すしかないな、と再びやる気まで蘇ってきたVであった。

 お菓子資産の貸借対照表は、頭から既に消えていた。


                —了—



【あとがき】
 
長く続くVのふわ〜っとしためまいや頭痛の謎、これはどうやら気象病であったようだ。
 先週の初め、たまたまあさイチで特集されていた気象病の症状が、Vの体調にぴたり当てはまった。

 その時期、日本は一気に気温が下がり、不調を訴える人が急激に増えたとのことだった。一日の中で気温差が7度以上ある場合に、血圧の変動が起こり、自律神経が乱れて起こるとのこと。

 日本はこの時期だったが、ドイツは8月末から急激に気温が下がっていたことを思い出した。その気温低下と雨の連続で、秋を飛び越え、冬の気候となり、9月からずっとダウンが必要だった。
 日本とドイツの季節の変わり目の時期がズレていた、と気づいた瞬間から、番組はVの為のアドバイスへと変化して感じられた。
 気象病かぁ!  長い不調の答えをもらった気がした。

 めまいと言っても、Vにも経験のある、ぐるぐる天井が回るような激しいものではなかったので、その薬は使えなかった。全く症状が違ったので、原因は三半規管の耳石でないことだけは自覚していた。

 このあさイチで、内科や耳鼻科で問題が解決せず、気温差外来に通院した人が、
「今年初めてこんな症状になり、自分でも訳がわからなかった。内科や耳鼻科で原因不明と言われ不安だったが、やっと納得できた」
とのことだった。

 わかる! 初めて経験する体調の変化の場合、問題が自分にある、と考えがちだ。Vもそうだった。血圧とか、加齢とか、別の原因があるのか、とか。
 また、横になっていれば何とかなりそうな程度であると、そのうち治るに違いない、と思いがちである。そして治らないので、毎日苦労することとなる。

 気象病の症状として、他に鼻水、鼻詰まりもあり、これを花粉症と勘違いをするケースが多いと言う。これもまたVも同じ症状を起こしていた。
 気温差のせいで、鼻の中の何とかという管が膨らみ、その症状が起こるそうで、花粉症とは原因が違うので、処方される薬も違うという。
 納得だ。何もかも納得だ。

 かくしてVは番組で紹介された、自律神経の乱れを治す為の、頸動脈の血流を良くする体操、鎖骨の下の血流をよくする体操、この二つを毎日やっている。首の周りの保温にも気をつけている。

 原因と対処方法を知り、何か急に視界が開けたような心持ちになった。いずれこのめまいもすっきり治るに違いない。
 
 季節の変わり目に調子が悪くなるという人は、それを軽く考えずに、気象病を疑って、適切な治療をされることをお勧めしたい。




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