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《ブレーメンの音楽隊》の街へ 

 グリム童話の一つ、《ブレーメンの音楽隊》を懐かしく覚えている人は多いことだろう。グリム兄弟が地方の伝承をまとめたお伽話の中でも、あれはエッジが効いた物語として記憶に残っている。

 子どもの頃に読んだ物語の奥深さは、年齢を重ねれば重ねるほど、意外なほど人生の真実と重みがそこに隠されていたのだと感じさせられる。[大人が読む〇〇童話]といった作品が数多く出版されているのも頷ける。


 ブレーメンの音楽隊の主人公、ロバ🫏、犬🐕、猫🐈、鶏🐓は、いずれも年老いた動物たちだ。
 ロバは長年背中に麦を背負って働き続けたが、老いで力がなくなって、主人から疎まれ、餌をもらえないようになり、逃げ出す事を決意する。ブレーメンでリュートを奏でる[街の音楽家]になろうと旅に出る。

 旅の途中で出会った老犬は、早く走れなくなり猟犬の働きができなくなってきた。飼い主から殺そうとされていることを悟っている。彼はロバに誘われて旅に出る。ティンパニの担当だ。

 次に出会うのは老猫。ネズミを獲れなくなったことで、飼い主は猫を溺れさせて殺そうとする。ロバは「君はノクターンの風情を知る」と猫を音楽隊に誘う。

 最後に出会うのは、声をかぎりに鳴く雄鶏。お客さんのために日曜に殺されてスープにされる事を覚悟していた。

 ロバは鶏に「一緒にブレーメンに行って音楽隊をやろう」と誘うのだ。
「どこに行ったって、死ぬよりはましなことを見つけられるよ」

 それまで人間たちの為に役立ってきた彼らが、年老いて殺されようとしている。それを思うだけで泣きそうになる(T ^ T)

 人間とは動物に対して、なんと身勝手なことをするのだ!と思う。
 もし今のドイツでこの殺しを実行したとしたら、この飼い主たちは虐待だと判断され、場合によっては逮捕される場合もあるはずだ。取り敢えず鶏以外は。
ドイツ人は鶏肉が大好き‥‥🐓

 さて、この動物が年老いた、という時点で既に辛く、それを自覚している彼らを思うだけで泣きそうになる
(T ^ T)

 子どもの頃、何気なく読んでいたこの設定が、齢を重ねると重い。重すぎる。そして切ない。

 そうして旅立った彼らは、ブレーメンに着く前に、森の中で寝ようとしたところ、高い木の上で寝ようとした鶏が一軒の家の灯りを見つける。泥棒がアジトにしている家だ。
 彼らはその家の窓辺で泥棒を追い払う計画を立てる。
一番背の高いロバの上に犬、その上に猫、一番上は鶏。全員で精一杯いななき、泥棒たちを驚かせて追い払うことに成功する。
 やがて泥棒たちが様子を見に戻ってきたところ、猫に引っかかれ、犬に噛みつかれ、ロバに蹴飛ばされ、屋根の上の鶏の大きな鳴き声に驚かされ、這々の体で逃げ出すこととなる。「あの家には悪魔がいた!」と怯えて二度と戻ることはなかった。
 動物たちは安息の地を得て、そこでみんなで幸せに暮らすのだ。

 このラストで、動物たちが老いてそれまでのように動けなくなったからといっても、彼らが各々の特性を活かして協力し合えば、何かを達成できるのだと読者に伝えてくれる。
 深い。齢を取った人の心に希望を呼び覚ます。

 『おや? 結局ブレーメンまでは行かなかったんだね?!』と突っ込むのはやめておこう。

 この童話の印象が強過ぎて、ブレーメンと聞けばロバの上に犬、猫、鶏が乗っかった姿と、彼らが住むことになった森のそばの家の風景がまず頭に浮かぶ。‥‥それしか浮かばない。
 ドイツの素朴な田舎の風景だ。童話の世界の街ブレーメン(の近く)。


▪️ブレーメン
 到着する前の、電車の窓から望む風景は、次第に都会の風景に変わる。そして到着。
 ブレーメンの中央駅は大きかった。

ブレーメンHauptbahnhof


 「ブレーメンって都会じゃないの!」と私。
 「そうだよ。すごく大きい街だもん」と夫。

 我が家の電車の旅で到着する場所は、大抵中央駅なのだから、牧草地が広がる場所ではないことくらいわかっている。だから他の街では勿論こんな驚きはない。
 しかしブレーメンに関しては本当に何も考えずに行ったので、童話の世界の風景の場所に着くような気分だったのだ。
 馬鹿だね〜💦と言ってもらって結構です。


 スイス🇨🇭マイエンフェルトに行くと、山も村もそのままハイジの世界が広がっている。元々のあの物語を、本当の意味で世に知らしめたのは、日本のアニメ【世界名作劇場《アルプスの少女ハイジ》】だ。
 高畑勲監督作品、宮崎駿氏をはじめとする、のちに日本アニメーション界を牽引するスタッフにより制作され、1974年に放送されてから早50年を過ぎた。
 
 この作品に描かれたアニメのハイジの姿は、年月を経ても、未だ[ハイジのキャラクター代表]として、看板や土産物としてあちらこちらに見られる。
 
 アニメのあの美しい背景は、現実の風景そのままだと、スイス人をも唸らせたという。

 マイエンフェルトに行けば、日本は観光立国スイスに対して、凄い作品を生み出し提供したのだ、と誰もが知ることとなる。ヨーゼフ〜♪

  ブレーメンの駅構内のショップをチラッと眺めながら歩いただけでも、ブレーメンの音楽隊グッズや絵本はほんの僅かしかないのがわかる。プロデュースできる剛腕仕掛け人がいないと、日本人が想像するような、そしてつい買ってしまうようなお土産物は、街をあげて実現できるものではないのだ。

 ブレーメンをスイスのそれと同じに考えてはいけない(-_-;)‥‥とぶつくさ言っていると、すぐホテルに着いてしまった。駅の目の前なので。

 もう遅目の時間であったので、観光は翌日。ハンブルクを出る前に買ってきた冷凍のお団子🍡は、良い感じに解凍された。
 そのお団子は日本であれば、スーパーやコンビニによく売っている三本入りのアレであるけれども、二年ぶりに食べるみたらし団子は感動の味で、夕食の後の部屋での興奮のデザートとなったのだった🍡💕


▪️旧市街地へ
 この日は雨。夫は傘を持ってくるのを忘れていたのがわかり、私が元々持っていたピンクの傘を貸す。
 「昨日、新しい傘を買っておいてくれて良かった〜!」と夫。

 ハンブルクを案内してくれた人から、日本食材店が充実していると訊いていたので、たまたまその場所に向かったところ、何軒か手前にあった傘専門店。

 あの場所に行かなければ、傘を買うこともなく、ブレーメンでは一つの傘で耐えなければいけなかった。
 なんたってこの日は日曜日。お土産屋さんやレストランやカフェ以外の店は開いていないので、傘が買える場所はなかったのだから。
 開いていたとしても、日本のようにどこでも簡単に傘を買えるわけではない。お土産屋さんだって、まず置いていない。
 なんたって傘をささない人が多い国だから。

 こうした偶然が重なり、結果を生み出す、これも一つのセレンディピティ?と思うのだった。

 
▪️マルクト広場周辺

 ブレーメン市庁舎は、装飾が独特の美しさを誇る。ゴシック様式と、ヴェーザールネッサンス様式という二つの様式の建築で、世界遺産に登録されている。

ブレーメン市庁舎


自由と市民権の象徴 ローランド像

 第二次世界大戦の最中、市民によって守られたというローランド像は市庁舎の前に佇む。こちらも世界遺産である。



市庁舎側面



 市庁舎のすぐ隣、広場に面して建つ[聖ペトリ大聖堂]、こちらも世界遺産に登録されている。ゴシック様式の壮麗さに圧倒される。
 内部はステンドグラスや装飾が美しい。

聖ペトリ大聖堂


 さて、教会を出て、市庁舎の裏側からマルクト広場の方に出たところに現れる《ブレーメンの音楽隊像》
 この街の象徴とも言えると思うのだけれど、この場所に静かに佇んでいる、という印象だ。

像の後ろは市庁舎

 丁度、観光客の流れが途絶えたので、写真を沢山撮っていたところで、雨がまた降ってきた。
 すぐ横のカフェで一休み。そこの壁に飾られていた音楽隊の像は、私が撮影したアングルと違う。美しい!
「真似して撮り直して来る!」と、お茶を飲んでいる夫を残し、私だけ撮影に戻る。

《ブレーメンの音楽隊》像


 市庁舎を背景にした像も可愛くて、つい沢山撮ったものの、反対側からのこのアングルは迫力だ。真似しただけだけれど(^◇^;)

 大抵観光客が群がっているが、たまたま周りの人が写り込まないタイミングが訪れて撮れた一枚。
 雨が降らなければ、カフェにも入らず撮り直さなかったはずなので、これもまた感慨深い。
『やはりこの像の撮影は左向きですよね』と初めからわかっていたようなことを考えてみる。


▪️シュノーア地区

 ブレーメンは、中世後期にはハンザ同盟の中心都市として栄えた。世界史のテストに出た、あのハンザ同盟🧐
その中でも最古であるシュノーア地区に向かう。マルクト広場から歩いても10分ほど。



 細い路地に、15~16世紀に建てられた小さな間口の可愛らしい建物が立ち並ぶ。
 何本かの路地が入り組み、建物を眺めながら歩いていると元の場所に戻ってしまったりして、迷路のようだった。土産物屋やカフェなどを楽しみながら、ゆっくりと時間を過ごした。


歩きながら迷うのもまた楽し


 トラムで駅に戻り、旅の日程終了。

 今回、夫は会社で急な仕事が入った為、長めの休みが取れず、急遽行き先と日程を変えての小旅行だった。それでも行ったことのない場所は面白い。
 日程を詰め込んだ長い旅行(ハードだ💦)が好きな夫にとっては、物足りないだろうな、と思っていたら、駅に着いた後、詰め込まれた。
 
 ブレーメンから出るICEを予約してあったのだけれども、
「まだ時間があるから、少し先のハノーバー中央駅まで普通列車で行って、夕ご飯食べない? そこからICEに乗ろう!」というのだ。

 せっかちな夫の考えそうな事だ。ブレーメン駅周辺でゆっくり、という考えはない。夫はどうせならもう一つ知らない街を、少しだけでも観光する方が楽しいわけだ。

 ブレーメン駅で、ゆっくり買い物をしようと思った私の意向はボツに。それでも、そのプランを受け入れるのと同時に、駅地下のショップで好きなものをササッと幾つか買い込んでから、電車に乗ったのだった。


おまけのハノーバーHauptbahnhof


 中央駅の写真がもう一枚増えてしまったじゃないの。




【次回予定】
前回の小旅行のことをグズグズ分けて書いていたら、四日連休が明日に迫ってしまいました。
明日からウィーンに行きます。ウィーンとしか書けないのは、夫の立てた全体の日程を知らないからです(^◇^;)
[楽友協会ホールのコンサートに行く]というメインの予定以外知りません。
旅行の詳細を言わない夫、訊かない妻(^◇^;)

次回はこの日程を知らないオーストリア旅行記です👋


#私の旅行記


 

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