好き嫌いが、はっきり分かれる石。デンドリティッククォーツの選び方
「これ、好きですか?」
この質問を、この石を見せるたびにしたくなる。
これほど答えがきれいに二つに分かれる石も、珍しい。
「とっても大好き」か、
「私はちょっと苦手かな」か。
デンドリティッククォーツとは、そういう石です。
植物ではない。でも、植物のように美しい
透明なクォーツの内側に、細い枝が広がっている。
まるで水墨画の一筆。
あるいは、霜の朝の窓ガラス。
冬の木立を、そのまま石の中に閉じ込めたような。
でも、これ、植物じゃないんです。
マンガンや鉄などの酸化物が、
クォーツが形成される過程で生じた微細な亀裂や空隙に入り込み、
樹枝状(フラクタル状)に広がったもの。
ギリシャ語で「木」を意味する dendron が名前の由来です。
長い時間をかけて、地球が描いた模様。
同じ柄は、まずありません。
私が石を選ぶとき、見ているもの
正直に言うと、デンドリティッククォーツなら何でも良い、というわけではありません。
大切にしているのは二つ。
クォーツ自体の透明度が高いこと。
そして、デンドライトのパターンがくっきりと際立っていること。
デンドライトは、マンガンや鉄の影響によって現れることが多く、
黒やブラウンなどの色味として見られます。
私が惹かれるのは、クォーツが澄んでいて、模様が主役に見えるもの。
クォーツ自体が濁っていたり、
ブラウンやイエローの色みが全体に混ざり込んでいるものは、
私のコレクションからは外しています。
そして各ピース、好みがはっきり分かれる。
「これは好き。でもこれは少し違う」
この感覚こそが、この石の面白さです。
今回は、私が気に入ったピースだけをセレクトして、穴あけをしてもらいました。
サイズも揃っていないし、模様もすべて違う。
少し標本のような、コレクション的な魅力があります。
この石が似合う人
いわゆる“かわいい石”とは、少し違う場所にいる石です。
素朴で、凛としていて、どこか静寂をまとっている。
モノトーンのワードローブが似合う人や、
余白を大切にする人に、自然と馴染む石だと思います。
あなたが着けるなら、どこが正解か
実はこの石、少し着け方にコツがいる。
ネックレスにすると、服の色が暗いと模様が背景に沈んでしまう。
耳元でも、黒や茶色の髪を下ろしていると模様が見えにくくなる。
だからおすすめは、手元です。
ブレスレット、もしくはリング。
手元は、鏡を使わずに自分の目で直接楽しめる唯一の場所。
光にかざして模様を見る。
「あ、今日もきれいだな」と、ふとした瞬間に思える。
この石は、人に見せるためというより、
自分のために楽しむ石なのかもしれません。
仕立て方について
シルバーで仕立てると、静けさが整う。
でも、整えすぎなくてもいい。
ワイヤーで少しラフに組んでも、
他の石と重ねても、
この石はちゃんと美しいままでいてくれる。
次回は
アリゾナターコイズについて。
完璧に揃った色ではなく、
一粒ごとに違うブルーとグリーンの揺らぎを選んだ理由。
「味わい深さ」という価値について、もう少しだけ掘り下げて書こうと思います。
Instagramでは石の写真を公開しています。
