【読書感想】「天上恋歌 ~金の皇女と火の薬師~ 13巻」
「金の皇女と宋の皇子の婚約から始まる歴史もの」というコンセプトを見て色々な感情に襲われて読み始め、半端に持ってる歴史知識のせいでちいかわ状態になりながらずっと見守っていた物語、遂に完結巻です!
色紙プレゼント企画に応募するため、X(twitter)で感想をポストしようかと思ったのですが、長くなりそうなのでnote記事にすることにしました。書き上げてからシェアすれば応募できはず、ということで……。
歴史ものですし最終巻ですし、否応なくネタバレに触れますがご了承くださいますように。
天上恋歌、感想キャンペーンのミニ色紙をいただきました✨️
— 悠井すみれ (@Veilchenfeld) February 22, 2026
想いが叶わないキャラを好きになりがちな私、康王様を応援し続けますよ……🥹
3月発売の最終巻では過去一の心痛と心労が来るのは分かってますが! 見届けます……!! pic.twitter.com/dXm5PbSVbi
こちらは、前回のキャンペーンでの当選権により、青木先生に描いていただいた康王殿下✨ 後世では高宗と呼ばれる、と言うと分かりやすいでしょうか。歴史の概要を知っているだけに、読者としては物語中のあらゆる言動に「ワッ」「わァ」「わァ……」となっていました。大変な時代なので康王様だけじゃないのですが……みんな、幸せそうに笑ったり、仲良くしたりしていた瞬間もあったのに……(遠い目)
いよいよ靖康の変が勃発し、皇族や妃嬪のほとんどが北方の金に攫われたところから始まった13巻(なお、例の洗衣院の実在は非常に疑わしい、という話は12巻の巻末で触れられているので読みましょう!)。
即位を請願された康王殿下の渾身の「い、いやだ」にちょっと笑ってしまいつつ深くうなずきました。
中華史を勉強していると、王朝末期の皇族には生まれたくないものと、しみじみ思うもので……。「これ知ってる 歴史の本で読んだ」は最悪の「進研ゼミでやったとこだ!」でした。
即位した康王殿下(廟号で呼ぶのはナンカチガウのでややこしい表現に)の逃避行に「おいたわしや……」と思いつつ、国難と大混乱と終わりが見えない憎み合いに心を痛めつつ、柔福帝姫の名前が一コマだけ出てきてにやりとしました。井上 祐美子先生の「公主帰還」が思い出深くて……。
北に拉致されたはずの「柔福帝姫」を自称する女が南宋に現れた。「金から逃げ延びてきた」との主張は容れられ、相応しい待遇と夫が与えられたが、後に「本物の」柔福帝姫の最期が伝えられ――というとても面白い史実に基づいた佳作の短編です。靖康の変の混乱ぶりが分かるとともに、洗衣院の実在が非常に怪しくなる、良い傍証であるとも思います……。(亡くなったかどうかもよく分からないのに、何をされていたかが詳細に伝わるのはおかしい)。
閑話休題。
「天上恋歌」の最終盤では、国同士、民族同士が衝突する中で、個人間の好意や友情は無力なのか――という問いというか問題というかが重く圧し掛かっていました。
冒頭に述べた通り、せっかく仲良くなったのに、一緒に笑っていた瞬間もあったのに……と悲しくなる展開も多かった中で、「それでも個人的な好意があればこそ」と思える関係性の登場人物たちがいたのが救いとなりました。特に四兄ことウジュと、金の皇女の円珠様の関係など(ウサギのお兄様が生きてて本当に良かった……! ウジュから草をもらってるところ可愛すぎ🐇)ですね。
歴史として眺めると、国同士、民族同士の対立はとかく「致し方ないこと」と捉えてしまいがちなものではないかと思います。ともすると「戦争ってそういうものだからね」という醒めた目線にもなってしまいかねないところ、ここまで喜怒哀楽を見守って感情移入してきたキャラクターたちの目線で見るからこそ、「どうすべきか」「何かできないのか」と必死に考えることができるのは、マンガという媒体ならではのことのように思いました。
図らずも(マジで図らずも)、「敵」と見做した属性を悪魔化すること、それ由来の差別意識や争いは非常に現代的なトピックにもなってしまっています。千年前の遠い国々を描いた物語ですが、ちょっと立ち止まって人間同士で視線を合わせて語ることの大事さを改めて痛感しました。
現代に通じる、という点では、火薬の存在感も作中通してかなりトーンを変えてきましたね……! 最初は「うんうん、中国三大発明の一角でしたよね~」と時代考証の一環として興味深く見るところから始まって、夢のある新技術であったり、知的好奇心や研鑽の精華であったりした後に、兵器として実戦に投入された辺りから雲行きが怪しくなって……。
技術自体に善悪はないところ、使う人間次第・使われる状況次第であるということもまた、忘れてはならないことだと思いました。
最後のコマの花火の美しさ、そこに込められた願いはいつの時代にも通じるものだと思いました。
難しい時代の難しい物語を、ロマンスを絡めた少女漫画として描き切ってていただいて、読者としてとても楽しませて・満足させていただきました。青木朋先生の次回作もお待ちしております✨
※バナー画像はぱくたそよりお借りしました。
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