「もう無理やから外出るわ!」——その言葉を、私は引き止めなかった
「先生、もう無理やから外出るわ!!」
静かな授業中、突然大きな声が聞こえてきました。
その生徒の様子を見ると、明らかに限界に達していることが伝わってきました。
こういう場面では「我慢しなさい」と言うのが一般的だと思います。私は、一瞬迷いました。
それでも、今この生徒に必要なのは、安心して落ち着ける場所でクールダウンすることだと判断し、うんと頷きました。
その瞬間、生徒は勢いよく廊下へ飛び出していきました。
私は何事もなかったかのように授業を続けました。
でも、何かが引っかかっていました。
教室のほかの生徒たちも、どこかふわふわした空気を漂わせていました。
私は授業を止め、こう切り出しました。
「今の生徒は、自分の感情が爆発しそうになったから、クールダウンのために教室を出るという選択をしたと先生は理解しています。
だから引き止めませんでした。自分の今の状態を、言葉にして人に伝えられること。それも大切な力だと思っています。」
続けて、こんな話もしました。
「みんなもすごくイライラしたり、メンタルがボロボロで授業が受けられないことがあると思います。
それと同じです。先生は困っている人に自分は何ができるかを考えたい。自分も困ることがあるから。
困っている人を素通りせず、支えられる人になれたら素敵だよね。」
大阪市立大空小学校の元校長・木村泰子先生の言葉に出会う前の自分だったら、きっとそのまま授業を続けていたと思います。
でも今は、困った子は困っている子であり、その子の存在がみんなの学びになることを知っています。
私の対応が正しかったのかどうかはわかりません。
大切な授業の飛び出しを許すことは、教師として、間違っていることなのかもしれません。
ただ、それよりも私の中で優先事項が高いことを優先しました。
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