七福神日誌64
四時起床。
十一月二十二日。
今日はいい夫婦の日とのことで、先日入籍した妻の従姉妹のマリ姉の結婚記念パーティー。
始発に乗って、五時に七福神バルチカ店に出勤する。
パーティーは昼からなので、十一時の開店までにどっと仕込みを終わらせて、営業はグチさん、ニシさんのおふたりにお任せする予定。
キッチンの掃除を済ませ、大鍋にすじコンを炊く。粉を五キロ練る。それから肉と魚のカット、つゆを沸かしておつまみ類の調理など、手のかかるものから終わらせていく。
八時にユウさん、ムラさんが合流。手分けして片っ端から串を打ってもらう。
九時過ぎに、八百屋の若が現れる。彼はこのところ日焼けサロンにハマっていて黒い。妙なパーマをあてて、髪もちりちり。
カートから野菜を運びながら、嬉しそうにマイケルジャクソンがどうだこうだといっていたが、今日は忙しいのでみんなで無視する。
十一時に開店。
中番のグチさんにバトンタッチして、バックヤードでスーツに着替える。
メトロの御堂筋線で、ニビル店の仕込みに出ていた妻と、本店の仕込みに出ていた社長、キヨ姉さんと合流する。
みんなで電車に乗って心斎橋へ。
心斎橋の、なんとかという中華屋さん。店につくと妻のほうの親戚が五十人ほどいる中に、サワチーフの家族の姿もあって驚く。
サワチーフの奥さんがキヨ姉さんと同郷で、歳の離れた子分みたいなものなので、七福神関係のめでたい席にはだいたいこの家族も来るらしい。
挨拶すると、サワさんはぽかんとした顔で、今日は何の集まりなんですかといっていた。
会は十二時から始まる。
曲が違ったのか、出囃子をどたばたと三回やり直し、照れ笑いしながら、チャイナ式にばちっとキメたマリ姉と新郎のイクラさん、一人娘のノリちゃんが現れる。
社長が乾杯の音頭をとって、新たな夫婦の門出と、ついでに七福神のますますの繁栄を祝して、乾杯。
従姉妹の長女が司会をつとめ、その高校生の長男でうちのアルバイトスタッフでもあるタロウ君が音響、照明、写真撮影など、会場をマルチに走り回る。
でかい春巻きや、炒飯、豚と栗の角煮、海老にマヨネーズのついたものなど、たくさん運ばれてくる。
お腹いっぱいになり、余興にじゃんけん大会や、シール交換、堂山のドラァグクイーンのスーパー舞踊などもあり、おおと思っている間に夕方になる。
そろそろ結びという頃に、ふいうちで一族全員が順番にスピーチをさせられる時間があり、俺と妻も奥の席から引っ張りだされる。
妻が何か感動的なことをいい、俺もまあまあ感動的なことをいったのではないかと思うが、すでにくたくたに酔っていてこの辺からあまり記憶がない。
二次会では堂山にある、とても楽しいバーにお邪魔したようだ。
うとうと心地よくなっているところへ、店長ハイボール?とやさしく聞いてくれたドラァグクイーンのマスターの顔に、なんだか見覚えがあるぞと思ったら、七福神の常連さんだった。
