AIをしのぐ智慧の創造④ SBGに見るAIバブルとその崩壊の構図
〇 まえおき
・前回、「現在のAIバブルの株高の構図は、アメリカのゴールドラッシュのときのツルハシの売り上げ向上と同じ構図である」という話をしました。
・今回は、具体的な数字もまじえて取引きの実体の説明をします。
1 AIバブルの構図 ー 循環金融の構図
・AIバブルは、多くの要素が絡み合ってできていますが、誰にでもわかる構図が「循環金融の構図」です。
・循環金融にかんするAIの説明は以下の通りです。
〇 ChatGPTの説明
エヌビディア、OpenAI、クラウド事業者(ハイパースケーラー)の関係を「循環金融」という視点で見ると、単なる技術開発ではなく、資金が相互に循環して企業価値を押し上げる構造が見えてきます。
① 主要なプレイヤー
主要プレイヤーは、
・NVIDIA
・OpenAI
・Microsoft
・Amazon Web Services (AWS)
・Google Cloud
・Meta Platforms
です。
② 構図
循環を単純化すると、
A 投資家がAIブームに期待して資金を供給する
↓
ハイパースケーラーやAI企業の株価が上昇
↓
時価総額が膨張
↓
資金調達能力が向上
B ハイパースケーラーがデータセンター投資を拡大する
Microsoft、Google、Amazon、Metaが
・データセンター建設
・AIサーバー導入
・電力設備整備
に数兆円単位で投資
↓
その大半がNVIDIA製GPU購入に向かう
↓
NVIDIAの売上急増
C NVIDIAの利益が急増する
GPUは高利益率なので、
売上増加
↓
利益増加
↓
株価上昇
↓
時価総額上昇
↓
AI投資期待がさらに高まる
D OpenAIが需要を作る
OpenAIが
・ChatGPT
・APIサービス
を提供
↓
利用者増加
↓
Microsoft Azureの利用増加
↓
AzureはさらにGPUを購入
↓
NVIDIAの売上増加
という流れになります。
つまり、
OpenAI
↓
Azure
↓
NVIDIA
↓
AI投資期待
↓
OpenAI
というループです。
(筆者注:要するに仲間内でお金がまわっていて、それが売り上げに計上されているだけで実際の付加価値は創造されていません。⇒現状はたこが自分の足を食べて生きながらえている状態です。)
2 お金の流れ
・もう少し金融的に見ると、
投資家
↓
Microsoft株購入
↓
データセンター投資
↓
NVIDIA売上
↓
NVIDIA利益
↓
NVIDIA株価上昇
↓
NASDAQ上昇
↓
投資家資金流入
↓
Microsoft資金調達容易
↓
さらに投資という自己強化サイクルになっています。
これは、以前あなたが質問されていたジョージ・ソロスの再帰性理論にもかなり近い現象です。
筆者注
:以前、ChatGPTに再帰性理論について質問をしましたが、何も答えは得られませんでした。再帰性理論がChatGPTのデータに入っていないのか、有料版でないと答えてもらえないのかと思ったのですが、質問の履歴だけは残っていたようです。さらに付け加えるとすると、このChatGPTの再帰性理論の解釈は本質を把握していない解釈です、これについては余力があれば記事を書きます
〇 ChatGPTの答え
ソロス流に言うと、
・AIが将来大きな価値を生むという期待
・株価上昇
・株価上昇による資金調達力向上
・実際の設備投資増加
・AI能力向上
・期待がさらに強化
という「期待が現実を作る」正のフィードバックが起きています。
3 何が問題か
〇 ChatGPTの答え
ただし、この循環金融には弱点があります。
もし、
・AI需要の伸びが鈍化
・データセンター稼働率低下
・AIサービスの収益化失敗
・クラウド利用増加が止まる
となると、
GPU購入減少
↓
NVIDIA売上鈍化
↓
株価下落
↓
設備投資削減
↓
AI開発減速
↓
期待低下という逆回転が起きます。
このため市場関係者が今見ているのは、NVIDIAの四半期決算そのものよりも、
・実際にAIで利益を出せているか
・データセンター利用率はどうか
・OpenAIや企業向けAIの利用料収入が増えているか
です。
あなたが最近関心を持たれている「信用収縮」という視点で見ると、最も重要なのはAI関連の設備投資が実需によって支えられているのか、それとも株価上昇と期待によって支えられているのかです。
前者なら持続的成長ですが、後者の比率が高い場合は、過去の鉄道バブルや通信バブル、ドットコムバブルのように、ある時点で循環が逆回転し、信用収縮の震源地になる可能性があります。現在の市場で最大の論点はまさにそこです。
4 実際に起きていること
〇 OpenAIへの投資と実際の価値
・2026年2月27日に、SoftBank Group は OpenAI に対して追加300億ドル出資を行う契約を発表しました。
4月頃から市場で出始めたのが、
「OpenAI株を担保に100億ドル規模のマージンローンを模索している」
という報道です。
筆者注:OpenAIの株価の評価額の異常さ
ソフトバンクはOpenAI株を担保に追加で300億ドル(=約50兆円)の投資をするということです。
投資の担保がOpenAIの株価です。
OpenAIは非上場会社でしかも赤字企業です。
担保価値が25%ぐらいだとすると、ソフトバンクは自分たちが持つOpenAIの株価に200兆円の価値があると思っているということです。
・これはトヨタの時価総額の4~5倍です。
(つまり、ソフトバンクは、「OpenAIはトヨタの100倍以上の価値があると思っている」ということです。正確な数字は知りませんが、ソフトバンクの持ち株比率が何十パーセントということはないと思います。)
・2026年6月10日、ブルームバーグは、SBGの60億ドルのマージンローンの交渉が停滞していると報じました。
(OpenAIの株を担保に融資を受けようとしたが、難航しているという話です、前述のトヨタとの比較から私には当たり前のような気がします。)
・この報道は二つのことを意味しています。
A SBGは、金融機関から100億ドルの資金調達をしたかったが、それができなかった
B 金融機関はOpenAIの株価に60億ドルの担保価値させ認めていない
〇 何が問題か
・これは、次の六つの点で問題があります。
A ソフトバンクの発表しているオープンAIの株価(=ソフトバンクの利益、時価総額)はソフトバンクが言っている架空の数字で、(金融機関が考えている)実体の価値を反映していない
B ソフトバンクは資金調達のめどが立っていない。
⇒ もし、資金調達のために自分の持ち株を売る必要性がでてくれば循環金融の構図は破綻する
C 資金調達に失敗すればオープンAIのビジネスモデルに疑問符がつき、循環金融は破綻する
D 金融機関が融資に難色を示したということは、すでに、金融機関が循環金融をリスクとみなしているということ
E この情報は投資家に届いており、多くの投資家はリスクを感じ始めているということ
(ブルームバーグの報道があった翌日のSBGの株価は10%下落しています)
F オープンAIはアンソロピックと競合関係にあり、アンソロピック優位な展開になってもSBGとOpenAIの循環金融は破綻する
(この点に関しては、今後記事にします。)
〇 要するに
・要するに、SBG-OpenAIの循環金融の破綻はテールリスクではなく、50%以上という程度でもなく、8割以上の確率のある破綻リスクです。
・循環金融はどこかで破綻することは理論的に100%確かであり、それが、資金調達期限である今年の秋までである確率はかなり高く、次回の資金調達期限と決算報告のある7~8月である可能性も80%ぐらいあるように思えます。
(この場合のというのは、投資家から見放されて株価が暴落するという意味です。)
・現在、キャッシュフローの縮小は、なくさまざまなところで起きています。
・その説明の一つが今回の例です。

