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先生!もっと褒めてください!

「もう、ダンスやりたくない!」


娘が少し前から始めた
ヒップホップダンス教室。


先生がめちゃくちゃ厳しい。


いや、怖いという訳ではない。


求めるものがプロ並みなのだ。


どんなに上手い子でも、
手放しで褒められることは無い。


たまに、一人で踊らされることが
あるのだが。

一応、
「来週はテストやるよ」
と知らせてはくれる。


最初のテストの日。


娘は、大して練習もせず、
「まあ大丈夫でしょ?!」
とたかを括っていた。


案の定、
途中で振り付けを忘れた。


テストが終わり、数秒の沈黙のあと。
「ちゃんと練習してきた?一日どれくらい?」


やっぱり、聞かれた。


娘「一日30分くらい練習しましたっ‼️」


嘘つけ🤣🤣🤣


そんな見え透いた嘘、
プロならすぐ見破るだろう。


「おかしいなぁ〜。
じゃあ、練習の仕方が悪いのかもね〜。」


先生は、娘の嘘を正そうとはせず、
どこに重点を置いて練習すれば良いのかを
教えてくれた。



…これは、
本格的に毎日練習しないと、
次は何を言われるかわからない。


その日から、
私と娘の、
ヒップホップダンスの特訓が始まった。


一応言っておくが、
私にダンス経験は無い。


小学校の時に、友達と一緒に
パレードの踊り子隊に立候補したことがあるが、
なかなか振りが覚えられず、
かなり苦労した。


しかし、私の特技は、
才能の無さを努力でカバーすることだ。


そのパレードも、
他の子たちよりもずっとずっと努力して、
本番ではどの子よりも上手く踊れた
自信がある。


それに対し、
娘は、
コツコツ努力するのがちょっと苦手な気がする。



さあ、この子に、
どうやって毎日練習させるか?


もう、下手くそながらも、
私が振りを覚えて一緒にやるしかない。


スマホに収めた先生のお手本ダンスと
毎日睨めっこし、
仕事の合間には、
誰もいない部屋に潜み、
静かにステップを踏む。



もしこれを誰かに見られたら、
ヤバい人として噂になってしまうかも
しれないと思いつつ、
娘のためと思い、必死に覚えた。



そして家に帰ると、
娘と一緒に練習をする。


最初は娘も嫌がっていたが、
少しずつ振りを覚えていくと、
やっぱり楽しくなるらしい。


少し経つと、
自分から練習をするようになった。


次のテスト。


今度は振りは飛ばなかった。


「…振りはちゃんと覚えてきたね。
でも、体重移動ができてないね。
体重移動ができるようになれば、
もっとずっと上手くなるよ。」


先生!もっと褒めて😭😭😭


覚えるの、大変だったんですけど!
私も頑張ったんですけど!


娘も、さぞかし落ち込んでいるだろうと
レッスン終わりに声をかけたら。



「体重移動ができるようになれば、
もっと上手くなるって!」


ポジティブ!!!



…そうだ。
この子の特技は、
ポジティブなことだ。


また、新しい曲になり、
新しい振り付けが始まった。


前回と同じように、
私も振り付けを覚え、
娘と一緒に毎日練習をする。


そして、テスト。


振り付けは完璧に覚えた。
体重移動は…まあ、できてるとは
いえない。


先生は、こう言った。


「まあ…、君は、
もっと元気に踊れれば良いかな!」


先生の諦め気味のアドバイス。


私なら、完全に心が折れている、、


そんな見放したような言い方、
しなくたっていいじゃない。


「ね、あなたもそう思うでしょ?」


そう思って娘を見ると。



「体重移動のことは言われなかったから、
できてるってことなんだ!次も頑張る!」
満面の笑みでそう返した。


ポジティブ!!!


…そうか。


娘はダンスが上達しただけじゃなかった。

注意されたことを、「ダメだった」と
受け取るのではなく、
「次はここを頑張ればいい」と
受け止められるようになっていた。

私は昔から完璧主義だ。

先生に注意されれば、
「認めてもらえなかった」と落ち込み、
できない自分ばかり見てしまう。


だから娘も同じように傷ついていると思っていた。

でも違った。

娘は、できなかったことではなく、
できるようになったことをちゃんと
見つけていた。


そういえば、娘は小さい頃からそうだった。



嫌だと泣くことはあったが、
最後にはちゃんとやり遂げて、
ケロリとしているのだった。




私はずっと、「努力すること」を
教えようとしてきた。



でも、娘から教えられたこともある。



努力した先で、
結果が思うように出なくても、前を向くこと。



それは、私にはなかった強さなのかもしれない。



ダンスが一番成長したのは、
娘の体重移動ではなく、その心だった。



そしてほんの少しだけ、私の心も。


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