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雨に始まった岩手の山旅


6月21日(日)どんよりとした曇り空・・・
朝5:00自宅を出発し、この日最初の目的地は岩手県遠野市。
3日間で約1,700kmを走る山旅の始まりです。
この日は移動日。登山ではなく、遠野の町をゆっくり巡りました。私はほぼ運転手でしたが、それでも車窓から眺める田園風景は心を落ち着かせてくれます。田んぼの中にひっそりと建つ茅葺き屋根の小さなお堂。雨雲に包まれた遠野らしい風景に、思わず車を止めてシャッターを切りました。
派手な観光地ではありませんが、こうした何気ない景色との出会いも山旅の楽しみの一つです。
「遠野の田んぼにぽつんと建つ茅葺きのお堂。静かな風景を見ていると、急いで目的地へ向かうだけでは出会えない旅の魅力を感じます。」


大槌町蓬莱島「ひょっこりひょうたん島のモデルとなった」

第2日目 雨に翻弄された一日、それでも旅は続く

この日は早朝から、早池峰山へ登る予定でした。
しかし天気予報は雨に加え、強風の予報。安全を第一に考え、登山は見送ることにしました。
次に向かったのは五葉山。少しでも歩ければと思い車を走らせましたが、登山口に着く頃には土砂降りの雨。ここでも無理はせず、登山を断念しました。
「せっかくここまで来たのに…。」
そんな気持ちもありましたが、山は逃げません。また天気の良い日に訪れればいい。それも山旅の楽しみ方の一つです。
そこで予定を変更し、三陸鉄道に乗って旅を楽しもうという案が出ました。しかし今度は大雨の影響で臨時運休。
この日は本当に天気に振り回された一日でした。
気持ちを切り替えて釜石駅へ向かい、駅近くの食堂で海鮮丼を注文。これだけ新鮮なマグロやサーモン、エビ、タコがたっぷり入って、なんと1,000円。
「今日は登れなかったけれど、美味しい海の幸に出会えた。」
そんな旅も悪くありません。
山はまた次の機会に待っていてくれる。そう思いながら、午後の時間を過ごしました。

釜石駅2階で食べた海鮮丼1000円・・料理人のおじさん・・無愛想だったけど美味かった。

午後になっても雨は止む気配がありません。
「今日は山は無理だね。」
そう割り切って、観光に切り替えることにしました。
まず訪れたのは震災伝承館「いのちをつなぐ未来館」。
展示を見ながら、東日本大震災で起こった出来事や、防災の大切さについて改めて考えさせられました。
その後、「ひょっこりひょうたん島」のモデルになった島が見える場所へ。
雨に霞む海の中に、小さな島と赤い灯台が静かに浮かんでいました。
晴れていればまた違った景色だったのでしょうが、この幻想的な風景も忘れられない一枚になりました。
続いて山田町のクジラ館へ。
「正直、どんな施設なんだろう?」
そんな気持ちで入館しましたが、巨大なマッコウクジラの模型や骨格標本は想像以上の迫力。
同行したみんなも興味津々で見学し、気が付けば予定より長い時間を過ごしていました。
登山はできなかった一日。
それでも、海の景色に癒やされ、震災の記憶に触れ、クジラの大きさに驚き、美味しい海鮮丼も味わえた。
雨に翻弄された一日でしたが、それもまた忘れられない山旅の思い出となりました。
旅は予定どおりには進まない。
だからこそ、その日にしか出会えない景色や出来事があるのだと思います。
ガイドの一言
「山では『引き返す勇気』も大切な技術の一つです。今回は二つの山を諦めましたが、安全な判断だったと思っています。その代わり、岩手の海や人、歴史に触れることができました。これも山旅の醍醐味ですね。

クジラ館のマッコウクジラ模型
これは本物、世界最長の骨くみだって

最終日の朝。
目が覚めると、真っ先に天気予報を確認しました。
昨日は雨に翻弄され、二つの山を諦めた一日。それでも予報を見ると、「午前中は天気が持ちそう」とのこと。
「よし、早池峰山へ行こう!」
目的地は早池峰山。しかしホテルから登山口までは約120kmあります。
朝食は後回しにして、午前6時、ホテルを出発しました。
車を走らせること約2時間。登山開始午前8時45分
空は厚い雲に覆われていましたが、雨はまだ降っていません。
「今のうちに登ろう。」
そんな思いで、一歩一歩登り始めました。
樹林帯を抜け、森林限界を越えると、そこには早池峰山ならではの高山植物の世界が広がっていました。

登山道最大の難所ともいえる長い急梯子を慎重に登り切ると、山頂まではあとわずか。
振り返ると、歩いてきた道が眼下に伸び、疲れも忘れるような達成感がありました。
しかし、稜線へ出た頃からガスが一気に湧き上がり、さっきまで見えていた景色が少しずつ白いベールに包まれていきます。
「あと少しだけ、天気がもってくれ。」
そんな願いを胸に、最後の一歩を踏みしめました。
そして、ついに早池峰山の山頂へ。
残念ながら期待していた大展望はガスの中でしたが、無事に登頂できた喜びは何ものにも代えられません。
山の天気は思いどおりにはなりません。それでも、雨予報の中で登頂できたこと、そして可憐な高山植物たちに出会えたことだけで、この山旅は十分に価値のある一日になりました。

樹林帯を抜け大岩を乗り越える
ミヤマオダマキ
シオガマ
ハヤチネウスユキソウ
ナンブイヌナズナ

山頂に着くと大粒の雨が降り始めました。
絶妙なタイミングでした。
避難小屋へ入り、温かい昼食をいただきながら一息つきます。
窓の外では雨脚がさらに強くなり、「登頂してから降り出してくれて本当に良かった」と、皆で顔を見合わせました。
いよいよ下山です。
早池峰山は蛇紋岩の岩場が続く山として知られています。
雨に濡れた岩は想像以上によく滑ります。
「焦らず、一歩ずつ。」
足元を確かめながら、全員が慎重に歩を進めます。
雨の中でも可憐に咲くミヤマオダマキ、ハクサンチドリ、ハヤチネウスユキソウなど、早池峰山ならではの高山植物が疲れた心を癒やしてくれました。

そして長い梯子や岩場を越え、誰一人転ぶことなく、全員無事に登山口へ戻ることができました。
山頂からの大展望こそ叶いませんでしたが、安全に下山できたことが何よりのお土産です。
山は、晴れていても雨でも、その日だけの表情を見せてくれます。
今回の山旅は天候に翻弄された三日間でした。
それでも、遠野の静かな田園風景、三陸の海、釜石で味わった海鮮丼、そして雨に咲く早池峰山の高山植物。
予定どおりにいかなかったからこそ出会えた景色が、心に深く残る山旅になりました。
またいつの日か、青空の早池峰山を歩くことを楽しみに、この山旅を締めくくりたいと思います。



直登に近いハシゴ2段を登る

午後3時、全員無事に下山。
雨でずぶ濡れになった体を、東和温泉の湯がゆっくりと温めてくれました。
「ああ、無事に終わった。」
温泉に浸かりながら、ようやく緊張がほどけていくのを感じました。
帰りは北関東の自宅まで、長い帰路です。
車窓に流れる景色を眺めながら、この三日間の出来事を思い返していました。
遠野の静かな田園風景。
雨に翻弄された二日目。
釜石の海鮮丼、三陸の海、そしてクジラ館。
ようやく登ることができた早池峰山と、雨に濡れて美しく咲く高山植物たち。
予定どおりには進まなかった山旅でした。
それでも、その時その場所でしか出会えない景色や出来事が、旅をより深く、忘れられないものにしてくれました。

日付が変わった午前0時30分、ようやく自宅へ到着。
走行距離は約1,700km。
長く、そして思い出がたくさん詰まった三日間の山旅が終わりました。
荷物を降ろし、静かな夜空を見上げながら思ったことがあります。

「山は、いつも思いどおりにはならない。だからこそ、また会いに行きたくなる。」

次はどんな景色が待っているだろう。
そんな期待を胸に、今回の山旅日記を閉じます。

早池峰山山頂にて・山頂の花はイメージです

岩手県東部・2泊3日の山旅・・・お終い・・・

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