大人になってからの英語の勉強の方法
最初にいちばん大事なことを言っておきます。
「英語は、まともに話せるようになるまで10年かかります」
話す英語は、10年がかりのプロジェクトです。中学の3年間をカウントするとあと7年。高校・大学は? ここでやらされていた勉強は、年数に入りません。英語が必要だと意識して、英語を勉強する習慣をつけてからが、カウントできる年数です。
でも、別に話せなくてもいいのです。
目次
1 ベースラインは1日15分だけ
2 暗記の効用
3 技術の活用
4 リスニングについて
5 第2、第3外国語のこと
6 気楽にいきましょう
世の中には「話すのが楽しい」タイプと、「分かるのが嬉しい」タイプがあります。英語が分かるようになるのは、話すのに比べてもっと早くできるようになりますし、英語で楽しむだけなら、今日からでも楽しめます。
ワタシ自身は「分かるのが嬉しい」タイプで、英語でお給料をもらっていた時代もありますが、英語を話すのは不得意ですし、キライです。でも、相手がこちらを向いて話していることは、聞けばだいたい分かりますし、読み書きも不自由がないので、まあ、いいかな、と思うのです。
もう少しで4月が来ます。新しい職場・新しい学校で、英語を学び・使う機会のある方がたくさんいるでしょう。あまり英語が得意とは言えないワタシですが、勉強の仕方についてまとめてみたいと思います。
1 ベースラインは1日15分だけ
これは、大学時代の先輩が教えてくれた方法です。
1日15分、NHKの「ラジオ英会話」をやりましょう。毎日続けます。「毎日」ですよ。この番組の中には、英語をリピートするセクションがありますが、これはきちんと声に出してリピートしましょう。
これを1年続けると、日常会話ができるようになります。4年続ければ、アメリカの大学に留学できる程度の英語力がつきます。本当に? ワタシが自分で人体実験をしてみて、確かにそうでしたから、少々個人差はあっても結果は似たりよったりでしょう。英語世界における「ちゃんと理解している、無口なヒト」ぐらいの位置に立つことができます。
NHKラジオには「中学生の基礎英語」「ビジネス英語」など、他にもいろいろな番組があります。この中で、一番難しいのは、実は中学生向けの「基礎英語」です。中学校で基礎的な文法は習ったのですから、文法の復習は必要ありません。ビジネスで使うのだから「ビジネス英語」がやりたい、と思う人もいるかもしれませんが、「ビジネス英語」も無用に難しすぎます。
もっとも適切なレベルで勉強になるのが「ラジオ英会話」です。これを続けることが大事です。努力も、暗記も、予習復習もいりません。ひたすら、続ける。すると、いつの間にか、英語ができるようになっています。
2 暗記の効用
もう一段、前進したい欲が出てきたら、好きな映画やミュージカル、洋楽などの、一番好きなシーンのセリフ、歌、パフォーマンスを暗記してしまいましょう。
ワタシの場合、映画ならオードリー・ヘップバーンの「マイ・フェア・レディ」(ずいぶん古いですね)と、リチャード・オブライエンの「ロッキー・ホラー・ショー」(これはマニア向けのカルトムービーです)なんかのいろんなシーンを暗記しています。
ミュージカルなら「レ・ミゼラブル」がいいです。ミュージカルの歌がいいのは、舞台の一部なので、歌詞で状況を説明していたり、心情を表していたりして、意味が通じやすいからです。
その他に、古今東西の名演説も暗記のためのテキストとして使えます。キング牧師の「私には夢がある(I have a dream)」の演説(難しい言い回しが多いですが、熱量がすごい)や、チャップリンの「独裁者」の終盤。チャップリンのこの演説は、今の時代にこそ読み直されるべきものでしょう。チャーチルの「血と労苦と汗と涙(Blood, Toil, Tears and Sweat)」などもいい。英語の世界には、ゾクゾクするような演説がたくさんあります。
だいたい暗記というものは、カラダにもアタマにも良くない、というのが相場ですが、語学の暗記だけは無駄になりません。覚えてしまいましょう。好きなものなら、苦になりません。
3 技術の活用
ワタシは、英語書きと簿記は、コンピューターに教えてもらったクチです。
パソコンがまだ珍しかったころ、英語のソフトでRightWriterというものがありました。このソフトは、英語の文章を書くと、文法の間違いを指摘するだけでなく「この言葉は専門用語の可能性がある」とか「こういう風に書いたらもっと伝わりやすい」「力強い文章にするなら、こう書いてみたら」「もっとシンプルに書きなさい」などのオススメを教えてくれるものでした。良いソフトだったらしく、今でも生き残っています。ワタシの英文書きは、このソフトに教えてもらったものです。
ソフトのおまけにペンギンブックスの "The Golden Book on Writing"という本もついていて、この本も良い本でした。英語の文章は、シンプルに書けば書くほど英語らしくなる、という黄金律を教えてくれた本です。(この本、日本では稀覯本になっていて1万円超えの値段がついていますが、アメリカのアマゾンなら1000円台で買えます)
今は、google翻訳やAIによる翻訳などを試してみることもできますし、スマホで普通の言葉を同時通訳してくれるソフトもあって、それが結構使えるのですから、すごい時代です。古手の英語学習者は、そういうものを勧めないかもしれませんが、使える技術は全部使うのが、賢いやり方です。
4 リスニングについて
リスニングの教材も、よりどりみどりのいい時代になりました。アマゾン・プライムで日本のアニメの英語版を見てもいいし、YouTubeで英語の番組を英語字幕付きで見ることもできます。
私のオススメは、BBCのポッドキャストです。
特に国際ニュースの "Global News Podcast" がすばらしい。視点が比較的中立で、英語の発音も美しい。世界中の「なまりのある英語」も聞けて、ときどきイギリス風のユーモアなんかも出てきます。
主任特派員のリース・ドゥーセットさん(女性)なんか、タリバンが迫ってくるアフガニスタン、爆弾の落ちてくるキエフ、ドンパチやっているイスラエル、アメリカとイスラエルのミサイルが飛んでくるイランなど、世界中のヤバい現場から中継してくるので、無事を祈らずにはいられない。とりあえず平和な日本で、英語で世界情勢を聞きながら通勤できるのは、なんて幸せなことだろうと思います。
英語の本を読むかわりに、アマゾンのオーディブル(Audible)で、読み上げてもらうのもいい方法です。文学作品より、ドキュメンタリー風のものの方が、わかりやすいことが多いです。
5 第2、第3外国語のこと
大学で第2外国語を学んだ方なら、それは宝ですから、錆びつかせるのはもったいないです。今は忘れちゃったなあ、という方には、大学時代のワタシのドイツ語の恩師が教えてくれた、次のやり方をオススメします。
「どんなテキストでもいいから、一行、ノートに書き写してください。これでかなり、チカラが保たれるのですよ」
あとはポッドキャストで、その言葉の番組をときどき聞いていけばいいと思います。ドイツ語なら"Slow German"といううってつけの番組があります。
第3外国語以降は、常人には「趣味の世界」になってくる感じです。たまに、5ヶ国語ペラペラみたいな人もいますが、たぶんこれは脳の構造が違う。
さて、英語以外の新しい言語を、大人になってから学ぶ場合には、必ず先生について、100時間ほどの授業を受けてください。これは、ワタシのタイ語の先生の言っていたことです。
「どんな語学でも、100時間先生について習えば、あとは一人で歩いていけます。独学では、新しい語学は難しいのですよ」
東京には、マイナー語学を専門に扱っているスクールもありますから、そういうところで学ぶのものいいですし、個人的なツテをたどって先生につくのもいいと思います。この分野では、高野 秀行さんの「語学の天才まで1億光年」(集英社インターナショナル 2022年)という本が面白いです。彼が学んだ言語は、実に25以上にのぼるのだそうです。
いまは、大学で第2外国語を必修にしていないことが多く、大変残念なことだと思います。若いアタマには、第2外国語ぐらい入るのに。イモヅル式の学習だってありえます。英語とドイツ語がわかれば、デンマーク語はもう一息のところにありますし、タイ語がわかればラオス語は方言みたいな関係にありますから。
ワタシ自身は、ロシア語や中国語、アラビア語なんかも習いたい。でも、残念、イノチのほうが先に尽きてしまいます。語学は若いほうが有利、というのは若い人たちには寿命があり、責任のある仕事も少ないってことだけだと思います。
6 気楽にいきましょう
ワタシの奥さんは、こういうヒトなのですよね。
これもアリです。
気楽にいきましょう。語学はテスト勉強と違って、1年や2年で本当の成果が出ることはありません。続けていれば、いつかはできるようになります。その「いつか」はいつ来るのか?
わりと早いですよ。あなたが思うより。
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