【歯科の専門家が解説】歯みがきでインフルエンザ発症率が10分の1に。知られざる“口の中の免疫力”
― 発症リスクを下げる科学的な理由 ―
近年は季節に関係なく、インフルエンザやRSウイルス、手足口病、
アデノウイルスなど、さまざまな感染症が流行しています。
手洗い・マスク・換気といった基本的な予防策はよく知られていますが、
実は 「口腔ケア」もインフルエンザ予防に大きく関わる ことが、
複数の研究で示されています。
この記事では、
なぜ口腔ケアがインフルエンザ予防になるのか
科学的根拠
今日からできる予防ケア をわかりやすくまとめます。
インフルエンザはどうやって感染する?
インフルエンザウイルスは、
飛沫(せき・くしゃみ)
接触(手すり・ドアノブなど) を介して鼻やのどの粘膜に付着し、
細胞に侵入します。
ウイルスが増殖する際には、 プロテアーゼ や ノイラミニダーゼ
といった酵素が必要で、これらが粘膜バリアを壊し、感染を広げます。


🪥 口腔ケアがインフルエンザ予防になる理由
① 口の中の細菌がウイルス感染を助けてしまう
口腔内が不潔な状態だと、
歯周病菌
黄色ブドウ球菌
肺炎球菌 などが増えます。
これらの細菌は プロテアーゼやノイラミニダーゼを産生 し、
インフルエンザウイルスが粘膜に侵入しやすい環境をつくってしまう
ことが研究で示されています。
つまり、 口の中が汚れているほど、インフルエンザに感染しやすくなる
ということです。
② 口腔ケアでウイルス不活化能が上がる
2025年の研究では、
歯みがきによって唾液のインフルエンザウイルス不活化能が向上した
ことが報告されています。
口腔内の細菌数が減るほど、ウイルスを不活化する力が高まるという
結果でした。
③ 高齢者施設の臨床研究では「発症率が10分の1」に
高齢者施設での研究では、
歯科衛生士による専門的口腔ケアを受けたグループは、
発症率が10分の1に減少 したというデータがあります。
これは医療現場でも非常に有名な研究で、
「口腔ケアはインフルエンザ予防に有効」
という根拠のひとつです。

今日からできるインフルエンザ予防の口腔ケア
毎日の歯みがきを丁寧に 歯と歯ぐきの境目・歯間部を意識して磨く
舌のケア(舌苔除去) 舌ブラシで優しく
就寝前のケアを特に丁寧に 寝ている間は細菌が増えやすい
乾燥対策(唾液を増やす) よく噛む・水分補給
定期的な歯科医院でのクリーニング ホームケアでは落とせないバイオフィルムを除去
まとめ
口腔内の細菌がインフルエンザ感染を助けてしまう
口腔ケアでウイルス不活化能が上がる
高齢者では発症率が10分の1になった研究もある
歯みがき・舌ケア・定期クリーニングが予防に有効
インフルエンザ予防は「手洗い・マスク」だけでは不十分。
口腔ケアは、全身の感染症予防に直結する“もうひとつの予防策”
です。
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