プライドを優先するか、実益を優先するか

少しだけ自分を曲げれば、得られるものがあります。

黙って頷けば、話は早く進む。
納得していないことを飲み込めば、立場も守れる。
相手の顔を立てれば、自分にも利益が返ってくる。

それを「大人になること」と呼ぶのかもしれません。

実際、捨てた方がいいプライドはあります。

間違いを認められないこと。
知らないと言えないこと。
助けを求められないこと。

そんなプライドにしがみついて、得られるはずのものまで失うのは、少しもったいない。

けれど、すべてのプライドが、単なる見栄なのかといえば、そうではない気もします。

自分が大切にしてきた仕事を、どうでもいいものとして扱わないこと。
誰も見ていなくても、ここまではやると決めること。
得になるとわかっていても、卑怯な側には立たないこと。

そういうものまで手放してしまえば、たしかに目先の実益は残るでしょう。

ただ、その利益を受け取る自分を、以前と同じように信じられるかはわかりません。

プライドは、ときに高くつきます。

けれど、自分への信頼を守るための代金だとすれば、必ずしも無駄とは言い切れないのだと思います。

選ぶときに考えたいのは、プライドか実益か、ではなく、

いま守ろうとしているものは、他人によく見られたい自分なのか。
それとも、自分だけは見失いたくない自分なのか。

見栄なら、手放した方が身軽になれる。

けれど、尊厳まで実益と交換してしまうと、あとから取り戻すのは、案外むずかしい。

難しいのは、その二つが、選ぶ瞬間にはよく似て見えることなのですが。

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