三月二十七日
あなたほどつらい経験をした王はいません。だからこそあなたは誰よりも偉大な王になれます。
「キングダム」には考えさせられる台詞が沢山あります。 当今の名台詞などより吟味すべき言葉は、決め台詞よりむしろ何気ないシーンにこそ誠の価値があるのです。

出典「キングダム」紫夏
あなたほどつらい経験をした王はいませんと悲しむ嬴政を紫夏は慰める。そして、だからこそあなたは誰よりも偉大な王になれますと最後の餞別をおくる。
《荒筋》
秦国後宮で民間から選抜された向という宮女が大王に伽に呼ばれていた。
地味な自分がどうして呼ばれたのかと悩み、親友の陽に相談したりするがわからない。
むしろ、伽に呼ばれていても一度も手を付けられていないことを疑問視する。
後宮の噂話で自分が大王様の過去の人に似ているからと聞き、益々向は不安になる。
そして、向は大王の伽に呼ばれる。 大王の横に寝る向はそのことを問うてみた。
嬴政の答は誰のことだと言われた。全くでっちあげの噂話だと分かる。
しかし、伽で寝る向に嬴政の過去の話を打ち明けるのだった。
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趙の人質から秦国に脱出しようとする嬴政たちは、闇商人・紫夏達の協力を得られて実行に移す。
嬴政は自分の異常を哀しみと共に紫夏に打ち明ける。紫夏はそれを受け止める。
再び脱出行を進む嬴政は最後の関所を突破するが、遂に趙兵の追っ手に襲われる。
紫夏達は嬴政のために弓矢を取って戦う。それでも趙兵の追及は厳しく、 傷だらけの紫夏が嬴政のために最後の力を振り絞る。
趙の追撃を昌文君の隊と共に倒した紫夏は嬴政を守って命を落す。最後の際に紫夏は嬴政に言葉を贈る。
《解説》
❤️痛みを、傷みを知って成長する
相手の痛みを知らない人に人々がついてくるはずがありません。痛みを知らないで喜ぶ輩は嘗ての王弟そのものです。
曲がった教育を受けると子供はどんなことでもするし、省みない。モノの傷みも心の痛みも感じないでしょう。
痛みを感じないんだと嬴政は悲しみました。自分が病んでいるという自覚があった故の言葉でした。
王都を急襲した王弟にはそのような心はありませんでした。
生物である限り生きています。生きるとは痛みと傷みがついてまわることです。
だから生きる方が辛いと言えます。様々な楽しみと成長の中に傷みと痛みが無いことなど有り得ません。
病んでいる嬴政に人として紫夏は命を懸けて救おうとしました。
自分は命を失いましたが、嬴政は人としての痛みと労り(優しさ)を学ぶことが出来たのです。
❤️優しさも強さも味わった痛み次第
嬴政は人質時代で、人が絶望することがどのようなことから起こるかを身をもって体験しました。
絶望したら人の心は閉じてしまう。生きていても痛みを感じない、前に進めないのだと。
そんな社会の在り方を自分の身で知る嬴政は変えようと志します。人を閉ざす社会を、それを許す人達を・・・。
紫夏が言ったように絶望と心を閉ざすほどの痛みを知ったからこそ、嬴政はそんなことが起こる世の中を変えようとする王を目指したのです。
そして、それは生涯絶え間なき戦いの王の道になりました。
