Maryanne Amacher

マリアンヌ・アマシェの音楽的・音響的遺産:知覚地理学、音響生態学、そして第三の耳の探求

1. 序論:音響芸術のパラダイムシフトとマリアンヌ・アマシェの歴史的位相

マリアンヌ・アマシェ(Maryanne Amacher, 1938–2009)は、20世紀後半から21世紀初頭において最も独創的かつ急進的な探求を行ったアメリカの実験音楽家、作曲家、そしてサウンド・インストレーション・アーティストである。彼女は、単に音を空間に物理的に配置するのではなく、人間の聴覚メカニズムそのものを楽器として機能させる「耳音響放射(Otoacoustic Emissions: OAEs)」を活用した先駆的な業績で広く知られている。従来のコンサートホールという制度的枠組みや、固定された楽譜に依存する西洋音楽の伝統から逸脱し、建築物全体を音響デバイスとして扱う「構造伝播音(Structure-Borne Transmissions)」の研究や、通信技術を用いて遠隔地の音環境をリアルタイムで接続する「テレマティック・アート」の概念を1960年代という早い段階で確立した。

アマシェの実践は、ジョン・ケージ(John Cage)以降のポスト・ケージアンの系譜に位置づけられることが多い一方で、ネットワーク文化、メディア・アート、音響生態学(アコースティック・エコロジー)、そしてサウンド・スタディーズにおける極めて重要な発展を歴史的に先取りしていた。彼女の作品は、サイバネティクス、精神物理学、フェミニスト認識論、そしてメディア理論の交差点に位置しており、単なる音響現象の提示にとどまらず、人間の知覚の限界と可能性を根本から再定義するものであった。

本稿は、アマシェの形成期の教育的背景から、彼女が構築した「知覚地理学(Perceptual Geography)」という独自の理論体系、主要なインストレーション・シリーズの全貌、未完のメディア・オペラ『Intelligent Life』の詳細な構造、そして彼女が残した膨大なアーカイブと現代における学術的再評価について、残された史料と最新の音楽学研究に基づき、網羅的かつ詳細な分析を提供する。

2. 形成期と学際的知性の獲得:1938年から1960年代初頭まで

2.1 幼少期の音楽教育とペンシルベニア大学における学際的探求

マリアンヌ・アマシェは、1938年2月25日にアメリカ合衆国ペンシルベニア州北西部の小さな町ケーンで生まれた。父はスイス出身の貨物列車作業員、母はアメリカ人の看護師という家庭のひとり娘として育ち、幼少期から列車の規則的な機械音や、ラジオが遠隔地の音声を部屋に持ち込む不思議さに強い関心を抱いた。この原体験が後の「音響的テレプレゼンス」という概念の源流になったとも言われる。幼少期からピアノを学び、フィラデルフィア音楽院(Philadelphia Conservatory of Music)で研鑽を積んだ後、1955年に奨学金を得てペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)に入学した。

ペンシルベニア大学において、彼女は音楽専攻として作曲家・理論家のコンスタント・ヴォークラン(Constant Vauclain)やジョージ・ロックバーグ(George Rochberg)に師事した。さらに特筆すべき歴史的交差点として、1964年から1965年にかけて同大学に客員として滞在していたドイツの前衛作曲家カールハインツ・シュトックハウゼン(Karlheinz Stockhausen)から直接作曲の指導を受けたことが挙げられる。1964年に美術学士号(BFA)を取得する過程で、彼女はHugh Clark Fine Arts PrizeやLaisse Fine Arts Awardを受賞し、その卓越した音楽的才能を証明した。

アマシェの教育的背景において極めて重要なのは、彼女が音楽理論という単一の専門領域に閉じこもることを拒絶し、文学、フランス語、哲学、そしてジャーナリズムといった厳格な人文学的教育を並行して受けていた点である。当時、同大学のジャーナリズム学部はテレビジョン制作と批評に関する初のコースを開講しており、これは1959年のアネンバーグ・コミュニケーション大学院の設立とも時期を同じくしていた。このマス・メディアに対する初期の学術的接触が、後のラジオやテレビの同時放送を企図した未完の大作『Intelligent Life』の構想や、「知覚的実験を日常的な家庭生活の中に織り込む」という彼女の生涯にわたる実践的関心に決定的な影響を与えた。また、オーストリアのザルツブルクやイギリスのダーティントンの国際教育研究所フェローとしてヨーロッパの知的風土にも触れており、このヨーロッパ遊学での体験は、後の実験音楽との本格的な接続点となった。

2.2 音響学・計算機科学への傾倒と制度的フェローシップの遍歴

ヨーロッパでの修学から帰国後、アマシェはイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois at Urbana-Champaign)の大学院に進学し、音響学と計算機科学(コンピュータ・サイエンス)を専攻した。ここで彼女は最初期の電子音響作品の制作を開始し、同大学の実験音楽スタジオでのフェローシップを獲得した。

その後のキャリアは、アメリカ内外の権威ある研究機関や芸術機関を渡り歩く「フェローシップの連続」として特徴づけられる。ペンシルベニア大学では1955年から1964年にかけて音楽、文学、ジャーナリズムの学際的研究を行い、シュトックハウゼンへの師事を経験した。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校では1960年代中期に音響学および計算機科学の大学院研究を行い、実験音楽スタジオで初期電子音響作品を制作した。ニューヨーク州立大学(SUNY)バッファロー校では1966年から1967年にかけてクリエイティブ・アソシエイトとして滞在し、『City-Links』の原型を制作した。MIT高等視覚研究所(CAVS)では1972年から1976年にかけてテレマティック技術、人工知能(Triadex Muse)、VRの初期実験、ボストン港の遠隔伝送などを手がけた。またハーバード大学バンティング研究所でも独立したフェローシップ研究を行い、ジョン・ケージやマース・カニングハムらとの協働と並行して独自の理論を深化させた。

アマシェが1960年代から1970年代にかけて、コロンビア・プリンストン電子音楽センターのような完全に制度化されたアカデミズムの枠組みに安住せず、インディペンデントな「自宅ベースの研究実践(home research-based practice)」を重視したことは、彼女の「直感の科学者」としての側面を浮き彫りにしている。彼女はアカデミズムにおける作曲家の地位が「他人の音符をいじくり回すだけ」に矮小化されていると痛烈に批判し、「音楽には科学的すぎるが、科学には音楽的すぎる」という独自の学際的境界領域を切り拓いていった。晩年の約10年間は、ニューヨーク州アナンデール=オン=ハドソンのバード・カレッジMFAプログラムで電子音楽の教授職も務めた。

3. 理論的枠組み:知覚地理学と「第三の耳」の探求

アマシェの芸術的探求の中心には、音を外部環境の物理的現象としてのみ捉えるのではなく、人間の身体、特に聴覚器官と脳神経系が音を能動的に「生産」するプロセスに着目した画期的な音響哲学が存在する。

3.1 知覚地理学(Perceptual Geography)の三層構造

アマシェは自身の作曲実践を「知覚地理学(Perceptual Geography)」と定義した。これは、音が空間内でどのように伝播し、聴取者の解剖学的構造とどのように相互作用するかを精密にマッピングする概念的枠組みである。彼女の知覚的環境は、3つの明確な音響空間(strata)としてモデル化されている。

第一の層は「音響空間(Acoustic Space)」であり、これは部屋や建築空間に物理的かつ音響学的に存在する外部からの音のシグナルを指す。第二の層は「耳(The Ear)」であり、聴取者の解剖学的構造の内部で発生する感覚を意味する。これは部屋には音響的に存在しないが、外部刺激に対する耳自身の生理的応答として生み出される「耳音(Ear Tones)」の空間である。第三の層は「脳(The Brain)」であり、物理的な音響シグナルとは区別される、脳内で処理され合成されるさらなる内的トーンの感覚領域である。

知覚地理学とは、これら3つの領域間におけるトーンの「出会い、相互作用、そして与えられた情報の処理」を調整する行為である。彼女にとって、音の合成技術(シンセサイザーなど)は直接的な音楽表現の目的としてではなく、耳の合成能力(内的トーンの生成)を触発するための「触媒(catalyst)」として利用された。

3.2 耳音響放射(Otoacoustic Emissions)と結合音の音楽的応用

アマシェの最も画期的かつ物議を醸した技術的貢献は、「耳音(Ear Tones)」、すなわち精神物理学において「耳音響放射(Otoacoustic Emissions: OAEs)」や「聴覚歪成分(Auditory Distortion Products)」と呼ばれる生理的現象を、音楽の主要な構成素材として体系的に活用したことである。

特定の周波数と強い音圧を持つ2つの純音が同時に耳に入力されると、蝸牛(内耳)の非線形な力学によって、外部のスピーカーからは一切発せられていない新しいトーン(結合音や差音)が耳の中で自発的に生成される。このとき生まれる差音は、2つの入力周波数の差として計算され、たとえば600Hzと800Hzの音が同時に鳴ると、200Hzという第三の音が聴取者の内部で発生する。歴史的に、これらのトーンは「タルティーニ音(Tartini tones)」として知られており、音楽理論でも古くから議論されてきた。しかしアマシェは、最新の電子音響技術を用いてこれを前例のないスケールで制御し、作曲の主軸に据えた最初の人物である。彼女は1992年にデヴィッド・T・ケンプ(David T. Kemp)やトーマス・ゴールド(Thomas Gold)の精神物理学的研究に出会うまで、これらを直感的に「耳音」と呼んでいた。

アマシェの作品を体験する聴取者は、巨大なスピーカーからの物理的な振動だけでなく、自分自身の頭の中に「小さなスピーカー」が存在するかのような、音が体内から直接湧き出る生々しい感覚を経験する。この特異な身体的体験を、彼女はフリードリヒ・ニーチェの概念を換骨奪胎し「第三の耳(Third Ear)のための音楽」と称した。自ら述べているように、「適切な音量(かなり大音量)で再生したとき、この音楽のトーンは聴取者の耳を神経音響的な楽器として機能させ、まるで頭部の内側から直接放射されているような音を発生させる。聴取者は、トーンが身体のすぐ近くで踊り、耳の内部に連なり、目の前の空間へと広がっていくのを体験する」。彼女の目的は、サブリミナルな知覚によって抑圧されてきたエネルギーを解放し、聴取者に自らの身体を意識的に「感じさせる」ことであった。

3.3 接続法的なリスニング(Subjunctive Listening)とスペクトル的注意

音楽学者でありアマシェ研究の第一人者であるエイミー・チミニ(Amy Cimini)は、著書『Wild Sound: Maryanne Amacher and the Tenses of Audible Life』(Oxford University Press, 2022)の中で、ビル・ディーツ(Bill Dietz)の言葉を引用しつつ、アマシェを「接続法の作曲家(composer in the subjunctive)」と位置づけている。これは、「そこに存在するかもしれないし、存在しないかもしれない」音、あるいは「内側にきらめきを含む」音に対して、聴取者が受動的な受信者ではなく、能動的な感覚の生産者として参加することを要求する高度な概念である。アマシェは、聴取を「単なる外部の音の受動的な反響ではなく、能動的な音の生産(Active Sound Production)」であると厳密に定義した。

この哲学は、彼女の1965年の作品『Adjacencies』(2人の打楽器奏者と電子音楽のための作品)においてすでに実践されていた。この作品では、伝統的な五線譜による音高の指定ではなく、非整数次倍音のスペクトルを持つ金属打楽器を用いて「特定の周波数帯域で音を探し出す」よう指示し、演奏者自身に耳を澄ませて音を探り当てさせる「スペクトル的注意(Spectral Attention)」を要求した。これにより、作曲家と演奏家、そして聴取者の境界が融解し、伝統的な音楽理論のパラダイムが根本から覆された。ダイアナ・ドイチュ(Diana Deutsch)によって発見された「オクターブ錯覚(Octave Illusion)」のような、脳がピッチと位置を錯覚によって再構築する精神物理学の研究とも共鳴するように、アマシェは人間の知覚メカニズムの脆弱性と創造性を同時に浮き彫りにした。

3.4 サウンド・キャラクター(Sound Characters)と状況的知識

現代のアンビエント音楽が音を単なる環境的な背景(ambient phenomenon)として扱う傾向にあるのに対し、アマシェは音を自律的な「キャラクター」として扱った。彼女の提示するドローンは単なるホワイトノイズではなく、「すべての周波数帯域に同時にエネルギーを内包する」層状の調性を持っていた。彼女はこれらの「サウンド・キャラクター」をオペラの登場人物のように見立て、それらが空間内でどのように振る舞い、物理的に対立し合うかを観察した。

チミニが指摘するように、アマシェのアプローチはダナ・ハラウェイ(Donna Haraway)の「状況的知識(Situated Knowledges)」に深く共鳴する初期のテクノ・フェミニスト的認識論を体現している。アマシェは、デカルト的な心身二元論(精神に偏重したモダニズム音楽の傾向)を拒絶し、テクノロジーを介して構築される身体的かつ具現化された聴取の関係性を探求した。

4. テレマティック・アートの黎明:『City-Links』シリーズ(1967–1981)の全貌

アマシェのキャリアにおける最初の記念碑的な達成は、1967年から1981年にかけて制作された計22回に及ぶ『City-Links』シリーズである。このプロジェクト群は、アマシェが「音響的テレプレゼンス(Sonic Telepresence)」という独自の概念を具現化したものであり、電気通信技術を音響インスタレーションに導入した極めて初期の実践である。

4.1 遠隔地とのリアルタイム接続と同調

1967年にニューヨーク州立大学バッファロー校のCCPA(クリエイティブ・アソシエイツ・プログラム)在籍中に開始された最初の作品(CITY-LINKS, WBFO Buffalo)では、バッファロー市内の8か所にマイクを設置し、その音を地元のラジオ局WBFOで28時間にわたって生放送し、同時にスタジオでリアルタイムにミックスするという壮大な実験が行われた。マイクが設置されたのは、ベスレヘム・スチール、ニアガラ・モーホーク電力会社の石塔、空港、ピルズベリーの製粉機械、メインストリート、旧エリー運河周辺、中央ガスプラントの排気ポンプ、旧穀物倉庫エリアといった多種多様な音響特性を持つ場所であった。なお当初のタイトルは「In City」あるいは「Long Distance Music」と呼ばれることもあり、マックス・ノイハウスも1967年10月にバッファローでの関連イベント「In City」の開催に協力した。

この作品は、ロバート・スミッソン(Robert Smithson)の「サイト/ノン・サイト(Site/Non-site)」の概念的パラダイムや、後の音響生態学(アコースティック・エコロジー)の議論を歴史的に先取りするものであった。アマシェは、当時の最先端技術であった専用の15キロヘルツ(FM品質)アナログ電話回線——通称「15kcテレフォンリンク」——を使用し、都市の遠隔地から展示空間やスタジオへ音響をリアルタイムで伝送した。マイクが設置された環境は、港湾、河川(ミシシッピ川やニューヨーク港)、製鉄所、製粉所、工場、空港、石塔、そして野外など、多種多様であった。

最も極端かつ持続的な実践例として、1973年から1976年にかけてのボストンでのプロジェクトが挙げられる(City-Links #4「Tone and Place, Work I」)。アマシェはマサチューセッツ州ケンブリッジのMIT・CAVSスタジオとボストン港の第6埠頭(Pier 6)の「ニューイングランド魚市場」の窓に設けたマイクを専用回線で繋ぎ、1日14時間に及ぶボストン港の環境音のリアルタイム伝送をおよそ2年半から3年間にわたって受信し続けた。この狂気とも言える持続的な聴取体験は、彼女の耳を環境音の微細な変化に対して極限まで研ぎ澄ませ、以後の作品の基盤となる深い「聴取の方法論」を育んだ。

4.2 展示の歴史とテクノロジーの政治学

このプロジェクトは、アメリカ国内外の数々の権威ある機関で展示され、多大な反響を呼んだ。1967年のSUNY Buffaloでの28時間ラジオ放送に始まり、1974年のシカゴ現代美術館での『City-Links #7(Everything-In-Air)』、同年ウォーカー・アート・センター(ミネアポリス)での『Projected Images』展における『City-Links #10』、1975年のMITハイデン・ギャラリー(ケンブリッジ)での『Interventions In Landscape』展、同年ボストン現代美術館での『City-Links #13(Incoming Night, Blum at Pier 6)』、1978年のコール・ド・ガルド(オランダ・ホローニンゲン)、1979年のザ・キッチン(ニューヨーク)での『City-Links #18』など多数の展示が行われた。

1979年にザ・キッチンで上演された『City-Links #18』では、ジョン・ケージやジョージ・ルイス(George Lewis)といった前衛音楽の巨匠たちが遠隔地のマイクの近くに配置され、彼らのパフォーマンスと環境音が展示空間でテレマティックに統合された。エイミー・チミニが精緻に分析するように、『City-Links』は録音テープの音楽性にとどまらず、長距離電話の拡張を支えた電話交換手の女性的労働力や米国電気通信産業の変容というマクロなテクノロジーの政治学と、ジェンダーや遠隔的身体性の問題を不可分に結びつけた画期的な実践であった。

5. 制度的フェローシップと技術的交感:MIT・CAVSからジョン・ケージとの協働まで

1970年代におけるアマシェの実践は、異分野の先駆者たちとの深い対話と協働によって飛躍的に推進された。

5.1 MIT 高等視覚研究所(CAVS)での実験

1972年から1976年にかけてのMIT高等視覚研究所(Center for Advanced Visual Studies: CAVS、創設者はハンガリー系美術家のジョルジュ・ケペシュ)におけるフェロー時代は、アマシェの技術的および概念的飛躍において極めて重要な時期であった。彼女はここで、人工知能の世界的権威であるマーヴィン・ミンスキー(Marvin Minsky)が開発したアルゴリズム音楽合成機「Triadex Muse」を活用し、「耳音(Ear Tone)」プロジェクトの精度を劇的に高めた。Triadex Muse自体は単純な矩形波を出力するのみであり、商業的には数百台しか売れなかった失敗作であったが、アマシェはこのデバイスの限界を逆手に取り、複雑な音色(ティンバー)よりもトーンの単純さを優先することで、耳音響放射を誘発するための純粋な信号生成器として用いるという高度な作曲意識を開拓した。

さらに、NASAで後に仮想現実(VR)ワークステーションのパイオニアとなるスコット・フィッシャー(Scott Fisher)や、スペイン人建築家のフアン・ナヴァロ・バルデウェグ(Juan Navarro Baldeweg)と共同で、「Live Space」というコースをMITで開講した。ここでは、ステレオ視覚と聴覚的次元の交差、空間への没入という複合的なメンタル・イメージ、そして「音響空間の直接的な生理学的体験」に関する最先端の実験が行われた。これらのアイデアは、今日の仮想現実(VR)やテレプレゼンス技術の理論的基盤を完全に先取りするものであった。

5.2 巨匠たちとの協働:ケージとカニングハム

同じ1970年代、アマシェは実験音楽とモダン・ダンスの巨匠たちとの重要なコラボレーションを展開した。ジョン・ケージからは、マルチメディア作品『Lecture on the Weather』(1975年)のための嵐の音響環境の作曲と、10時間に及ぶソロ音声作品『Empty Words』のための音響環境『Close Up』(1978/79年)の制作を委嘱された。

マース・カニングハム・ダンス・カンパニーに対しては、ダンス作品『Torse』のための音楽として『Remainder』を作曲した(1974–1980年)。この音源はライブ・パフォーマンスだけでなく、チャールズ・アトラスが監督した1979年の『Torse』のフィルム版でも使用され、視覚と身体の動きに対する音響の自律的な対位法を提示した。また、アマシェは1970年にMusica Elettronica Vivaのメンバーとして活動したことも記録されており、ライス・チャットハム(Rhys Chatham)やサーストン・ムーア(Thurston Moore)が彼女を自らの重要な影響源として挙げていることも広く知られている。

6. 建築の楽器化と没入型空間:『Music for Sound-Joined Rooms』および『Mini-Sound Series』

1980年代に入ると、アマシェの関心は遠隔地の接続から、物理的な「構造伝播音(Structure-Borne Transmissions)」を用いた建築と音響の融合へと移行した。

6.1 『Music for Sound-Joined Rooms』シリーズの展開

『Music for Sound-Joined Rooms』(1980年〜)は、建築物そのものを巨大な楽器として扱い、音が部屋や廊下、柱を通じてどのように伝播するかをサイト・スペシフィック(場所特定的)に設計するプロジェクト群である。アマシェはこのインストレーションを実現するために、通常1か月間のレジデンシーを要求した。その期間中に、建物の音響的特徴を徹底的に調査し、異なる部屋がどのように共鳴し合うかを発見し、空間的なイメージングを構築した。なお「構造伝播音」とは、スピーカーから空気中を伝わる「気中伝播音(airborne sound)」とは対をなす概念であり、床、壁、柱といった建築構造体そのものを振動させることで生まれる音を指す。

このシリーズの代表的な実践例として、以下のものが挙げられる。

**『Living Sound (Patent Pending)』(1980年)**はミネアポリス=セントポールにある無人のヴィクトリア朝様式の邸宅で深夜に録音・制作された。アマシェは21個のペトリ皿を配置し、架空のバクテリア(微生物)が音楽活動を行っているという視覚的テキストの手がかりを与えた。極端な大音量が壁を伝ってリスナーの周囲を渦巻くこの作品のタイトルは、遺伝子組み換え微生物の特許を認めた1980年の米国最高裁判決(Diamond v. Chakrabarty)への直接的な言及であり、生命とテクノサイエンスに関する彼女のバイオポリティクスへの深い関心を示している。

**『Synaptic Island』(1992年、徳島県立21世紀文化情報センター)**は日本の徳島で制作された作品で、明確なA-B-Aの形式を持つ。Aセクションでは、ホワイトノイズと高域通過フィルター、ディレイによる上昇転調が用いられ、荒れ狂う海や波の砕けるようなテクスチャを作り出す。Bセクション(シナプス島)では、純音の層状のアルペジオが大音量で放たれ、聴取者の耳の内部で強烈なOAEs(耳音響放射)を誘発する。この部分は、ニューロンが発火し、樹状突起のネットワーク内でメッセージが生成・受信されているかのような感覚を与え、聴取者の神経処理と音楽が同期するような極めて身体的な体験を生み出した。

**『A Step Into It, Imagining 1001 Years』(1995年、オーストリア・クレムス美術館)**は11世紀の修道院を改装したクレムス美術館のマイノリテン教会という広大な空間において、主室、祭壇、前室、地下室など6つのテーマ別エリアで展開された。音響イベントは「何マイルも離れているように」あるいは「聴取者の内側にあるように」知覚され、拡張された視覚と聴覚の空間を形成した。

**『The Sounding of Casa de Serralves: Supreme Connections』(2001–2002年、ポルトガル・ポルト)**はセラルヴェス財団の象徴的なヴィラ全体を多次元的で没入感のある体験の場に変容させた。音は建築構造全体に広がり、ヴィラ自体が音響システムの一部として機能した。庭園には「奇妙な生き物」の映像が配置されるなど、視覚的・パフォーマティブな要素も高度に統合されていた。

また、特筆すべき後期作品として**『TEO! A Sonic Sculpture』(2005年)**がある。メキシコシティのパラシオ・デ・ベジャス・アルテス前に設置されたこの大規模インスタレーションは、テオティワカンの太陽のピラミッドの科学者たちとのコラボレーションも含む多チャンネル電子作曲によって構成され、2005年のアルス・エレクトロニカで「デジタル・ミュージック」部門のゴールデン・ニカ(最高賞)を受賞した。この受賞は生前に彼女の業績が公的に認められた数少ない事例として特筆される。

6.2 『Mini-Sound Series』:連続的ナラティヴと新しい聴取体験

1985年から開始された『Mini-Sound Series』は、従来の果てしなく続くサウンド・インストレーションが聴取者に漫然とした注意しか要求しないこと、また固定された座席でのコンサートが抑圧的であることへの批判から生まれた。アマシェは、テレビドラマや連続番組(シリアル・フォーマット)のような大衆的な形式の劇的原則を採用し、聴取者が数日あるいは数週間にわたって何度も戻ってきて、音の「キャラクター」たちの相互作用や物語の展開を体験できる空間を構築した。このシリーズは、建築を活用した空間構成とシリアライズされたナラティヴの組み合わせにおいて独自の地位を占め、後の多くのメディア・インスタレーションの参照点となった。

7. 未完のメディア・オペラ『Intelligent Life』:大衆文化とテクノサイエンスの交錯

アマシェのキャリアにおける最大の野心作であり、同時にその壮大さゆえに生涯実現されなかったのが、テレビとラジオの同時放送を想定したメディア・オペラ『Intelligent Life』である。この作品は、彼女の知覚地理学、音響テクノロジー、そして大衆メディアの融合の究極の形であった。

7.1 サイエンス・フィクションと音楽産業の未来

『Intelligent Life』の設定は、ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ(音響生理学の祖)の生誕200周年にあたる「2021年」に設定されている。物語の中心となるのは、音楽研究・エンターテインメント企業である「Supreme Connections LLC」である。

人工知能(AI)が人間の作曲家よりも速く、あらゆる歴史的イディオムで音楽を生成する未来において、アルゴリズムによる音楽推薦サービスの失敗と業界の低迷を予期したSupreme Connections社の社長アプリサ・カンデル(Aplisa Kandel)と、主任研究員のタイ(Ty)は、聴取の未来に革命をもたらす高度なテクノロジーを模索する。彼らが開発する技術には、トナカイの聴覚的視点からJ.S.バッハを聴くことができる「バイオ・ミュージック・スクリプト」や、単なる鼓膜の共鳴を超えて、個人に固有の感情的・心理的連想のすべてを捉えて再現するウェアラブル・デバイス「リスニング・マインド(洗練された知覚者)」などが含まれていた。また、J.G.バラードのディストピア短編小説『The Sound-Sweep』から直接引用されたレイ・アルト(Ray Alto)のような野性的なキャラクターも登場する予定であった。

7.2 「合成的聴取(Synthetic Listening)」と劇作法の革新

このオペラの最大の革新は、劇作法そのものにあった。アマシェは、従来のテレビのように「登場人物が音について語る」のを視聴者が受動的に聞くのではなく、登場人物が音を創造し知覚しているまさにその「鮮やかな音響世界」を、視聴者自身がリアルタイムで(センサーなどの入力機器なしに)自宅で体験できるように設計した。これを彼女は「Theater in the Home(家庭における劇場)」および「合成的聴取(Synthetic Listening)」と呼んだ。

アプリサとタイの「専門家以上の関係(恋愛関係)」といったロマンティックな要素さえも、キャラクターの展開と技術的解説を結びつけるための巧みな手段として機能しており、1980年代の教育科学番組特有の教訓的なボイスオーバーと魅力的な会話を通じて、科学がいかに作られていくかをドラマチックに提示しようとした。

1982年にオランダのde Appel財団の支援を受けてプロジェクトの制作が模索されたが、莫大な予算と組織的な障壁、さらにde Appelの創設者ヴィース・スマルス(Wies Smials)やキュレーターのジョシネ・ファン・ドロッフェラール(Josine van Droffelaar)らのスイス・アルプスでの航空機事故による突然の死が重なり、実現には至らなかった。しかし、全9話のエピソード・スクリプト、レーザーディスク使用のメモ、絵コンテなどの膨大な資料はNYPLのアーカイブに保管され、後年Blank Formsが出版したジャーナル第4号『Intelligent Life』(2019年)で日の目を見ることとなった。

8. アコースティックへの回帰と録音作品のジレンマ

アマシェは生前、「私の音楽はあなたのリビングルームで再生されるようには構想されていない」と語り、空間の物理的特性や極端な音圧(OAEsを誘発するためには非常に大きな音量が必要)を要求するため、レコードやCDといった商業的な録音メディアでのリリースに極めて消極的であった。

8.1 Tzadikからのリリース:『Sound Characters』

そのような彼女が例外的に、CDという親密な設定に合わせて自らの作品をキュレーションしたのが、ジョン・ゾーンのTzadikレーベルからリリースされた『Sound Characters (Making the Third Ear)』(1999年)と『Sound Characters 2 (Making Sonic Spaces)』(2008年)である。1999年のアルバムのオープニング・トラック「Head Rhythm 1 and Plaything 2」のスペクトログラム分析では、左チャンネルに完全音程で動く4つの低音と高音の反復パターンが、右チャンネルに狭い震え(warble)が含まれていることが確認できる。これを突き刺さるような大音量で再生することにより、スピーカーからではなくリスナーの頭部内部からミドルCのオクターブ内の低い音(結合音)が出現するという、「第三の耳」の物理現象を見事にパッケージ化している。

8.2 後期アコースティック作品:『Petra』と『GLIA』

晩年、アマシェは自らが開拓した電子音響の手法を、純粋なアコースティック楽器の領域へと翻訳する試みに着手した。

1991年に作曲された2台のピアノのための作品『Petra』は、スイスのボスヴィルにある教会の印象と、グレッグ・ベア(Greg Bear)の同名のサイエンス・フィクション短篇小説——ポストアポカリプスのノートルダム大聖堂でガーゴイルが命を得て人間と交わる物語——に触発された壮大な持続的プログラムである。この作品は、電子音響の作業論理を音響領域に持ち込み、ジャチント・シェルシやガリーナ・ウストヴォルスカヤの音楽を彷彿とさせる音響の塊としてのピアノの可能性を極限まで追求した。なお、2019年にBlank Forms EditionsからLPおよびCDとしてリリースされており、彼女の初のヴァイナル作品となった。

また、2005年にベルリンのTESLAで初演された『GLIA』は、7つの楽器と電子音響のための作品である。シナプス間の神経伝達を助けるグリア細胞から名付けられたこの作品は、ビル・ディーツ(Bill Dietz)やペーター・アブリンガー(Peter Ablinger)の支援を受け、ライブ楽器、電子音響、そして聴取者の耳から誘発される耳音響放射との間で「グリア的」な相互作用を演出するものであった。

9. アマシェの遺産:アーカイブの構築と現代における再評価

アマシェは2009年7月15日にバード・カレッジのキャンパス内で転倒し、頭部外傷による脳内出血を負った。その後、脳卒中を引き起こし、同年10月22日にニューヨーク州キングストン近郊の病院で71歳の生涯を閉じた。遺言なく死去したため、当初は資料の散逸が懸念されたが、生前の友人であるマイカ・シルバー(Micah Silver)やロバート・テ(Robert The)らがアマシェ自身の意向を受けて2009年夏のうちにアーカイブ化を開始しており、2010年のLudlow 38(ニューヨーク)での展覧会などを経てアーカイブ化の道が開かれた。

9.1 ニューヨーク公共図書館(NYPL)のアーカイブと財団の設立

生前の友人、コラボレーター、およびBlank Formsなどの組織の尽力により、「マリアンヌ・アマシェ財団(The Maryanne Amacher Foundation)」が2020年に設立された。同年、彼女がニューヨーク州キングストンの自宅に残した膨大な私的資料が整理され、ニューヨーク公共図書館(NYPL)の舞台芸術図書館・音楽部門に『Maryanne Amacher papers』として公式に収蔵された。

アーカイブは92.51直線フィートに及び、204のボックス、25のチューブ、21の特大フォルダー、1425のオーディオ録音、88の動画記録、22.3ギガバイトのデジタルデータなどから構成されている。この資料の公開は、20世紀の実験音楽研究において歴史的なマイルストーンとなった。アーカイブは、アマシェ自身のキャリア概念を反映し、以下の主要なシリーズに分類されている。

Series I(Multimedia Installations)は『City-Links』、『Music for Sound-Joined Rooms』など主要インスタレーションの写真、ノート、音源を収録する。Series II(Collaborations and Performances)はジョン・ケージ、マース・カニングハムとの協働記録や15GBの録音データを含む。Series III(Music and Sound Compositions)には『Adjacencies』、『Petra』、『GLIA』などの楽曲スコア、ノート、録音が収められている。Series IV(Unrealized and Incomplete Projects)は未完のメディア・オペラ『Intelligent Life』のスクリプトやクロノス・クァルテットとの未完プロジェクトなどを含む。Series V(Research)には音響学、建築、神経科学、AI(ミンスキー)、精神物理学に関する膨大な研究ノートが収められている。

9.2 現代サウンドアートおよび電子音楽への永続的影響

ビル・ディーツ(Bill Dietz)やエイミー・チミニ(Amy Cimini)といった研究者・アーティストたちは、アマシェの遺産を単なる「過去の音響芸術のカタログ」としてではなく、生きた実践として再構築している。ディーツは『GLIA』の再演や『Intelligent Life』の出版を主導し、チミニは著書『Wild Sound』を通じて、アマシェが構築した「テクノ・フェミニスト的身体論」や、後期資本主義における知識や科学の制度的承認メカニズムに対する批判を解き明かした。また、Blank Forms Editionsは2020年に『Maryanne Amacher: Selected Writings and Interviews』(Amy Cimini・Bill Dietz編)を刊行しており、一次資料へのアクセスが大幅に広がった。

今日、マリアンヌ・アマシェの影響は、トーマス・アンカースミット(Thomas Ankersmit)やフロリアン・ヘッカー(Florian Hecker)、ヤナ・ヴィンデレン(Jana Winderen)、マリーナ・ローゼンフェルド(Marina Rosenfeld)といった現代の第一線で活躍するサウンドアーティストたちの作品に色濃く反映されている。オランダのSonic Actsなどのフェスティバルでは、彼女のコンセプトが次世代の電子音楽の文脈で継続的に紹介されており、また「Supreme Connections」と名付けられたアーティストのコレクティヴが、彼女のアーカイブ素材を用いたサイト・スペシフィックなパフォーマンスを展開している。

アマシェのアプローチは、「サウンド・アート」という用語が定着する以前にその基盤を形成しながらも、ジャンルが陥りがちな形骸化(特定の技術の盲目的な追従や、音の「モノ化」)に対して痛烈な批判を投げかけていた。テオドール・アドルノ(Theodor Adorno)がシュトックハウゼン学派に見出した「音楽の硬直化・モノ化」に対する闘争を、アマシェは自身の「直感の科学」と「生きている音(Living Sound)」の探求によって見事に引き継いだと言える。

10. 結論

マリアンヌ・アマシェの軌跡は、音を単なる美的鑑賞の対象とする西洋音楽の歴史的パラダイムに対する、徹底的かつ科学的な反逆であった。「知覚地理学」の提唱から、テレマティック技術を用いた『City-Links』、建築を楽器とする『Music for Sound-Joined Rooms』、そして未完のメディア・オペラ『Intelligent Life』におけるサイバネティクス的ビジョンに至るまで、彼女の実践は一貫して「人間の聴覚をどのように再設計し、テクノロジーを介して解放するか」という深遠な問いに貫かれていた。

アマシェは、音響学、精神物理学、人工知能、フェミニズム認識論を横断することで、アカデミズムの制度的境界を撹乱した。その結果、彼女は長らく正当な評価から疎外されていたが、近年のNYPLアーカイブの公開と学際的な研究の進展により、20世紀後半の最も重要な思想家・作曲家の一人としての地位を確固たるものにしつつある。人間の耳そのものを音源とする「第三の耳」の探求は、音響芸術のみならず、人間とテクノロジー、身体と空間の関わり方を根本から問い直すものであり、その先見性は時代を超えて次世代の表現者たちにインスピレーションを与え続けている。マリアンヌ・アマシェの遺産は、音という不可視のメディアを通じて、私たちの認識の限界を拡張し続ける「生きている研究」そのものである。


引用文献

  1. Maryanne Amacher papers, 1890s-2009 [bulk 1960s-2009], accessed March 12, 2026, https://archives.nypl.org/mus/185461

  2. The Maryanne Amacher Foundation - Blank Forms, accessed March 12, 2026, https://www.blankforms.org/the-maryanne-amacher-foundation

  3. Maryanne Amacher - Wikipedia, accessed March 12, 2026, https://en.wikipedia.org/wiki/Maryanne_Amacher

  4. Maryanne Amacher: Extremities - Sonic Acts | Archive, accessed March 12, 2026, https://sonicacts.com/archive/extremities-maryanne-amacher

  5. Maryanne Amacher: City-Links - Ludlow 38, accessed March 12, 2026, https://ludlow38-archive.org/exhibitions/maryanne-amacher-city-links/

  6. The Maryanne Amacher Archive Accessible at the Library for the Performing Arts | The New York Public Library, accessed March 12, 2026, https://www.nypl.org/blog/2023/09/05/maryanne-amacher-archive-accessible-library-performing-arts

  7. Wild Sound: Maryanne Amacher and the Tenses of Audible Life - Google Books, accessed March 12, 2026, https://books.google.com/books/about/Wild_Sound.html?id=EstfEAAAQBAJ

  8. Wild Sound - Amy Cimini - Oxford University Press, accessed March 12, 2026, https://global.oup.com/academic/product/wild-sound-9780190060893

  9. MARYANNE AMACHER - Ars Electronica Archiv, accessed March 12, 2026, https://archive.aec.at/media/assets/14006af3fe7bec64d189b3f4a8bc2002.pdf

  10. Maryanne Amacher: An Introduction by Bill Dietz | Department of Music, accessed March 12, 2026, https://music.sas.upenn.edu/events/2019/04/09/maryanne-amacher-introduction-bill-dietz

  11. Maryanne Amacher - Women Composing, accessed March 12, 2026, https://womencomposing.com/MaryanneAmacher.html

  12. Maryanne Amacher: Perceptual Geographies - BOWERBIRD, accessed March 12, 2026, https://www.bowerbird.org/special-projects/maryanne-amacher-perceptual-geographies/

  13. CONCEPTUAL MUSIC: NEW MEDIA AND FRONTIERS IN MARYANNE AMACHER'S CITY-LINKS SERIES | Tempo | Cambridge Core, accessed March 12, 2026, https://www.cambridge.org/core/journals/tempo/article/conceptual-music-new-media-and-frontiers-in-maryanne-amachers-citylinks-series/7FCBF111DE395D5B148B0B862FF35588

  14. Review of Wild Sound: Maryanne Amacher and the Tenses of Audible Life, by Amy Cimini - University of San Diego, accessed March 12, 2026, https://digital.sandiego.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1001&context=musc-faculty

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  17. Transcendental psychedelia: hearing hearing in the work of Maryanne Amacher, accessed March 12, 2026, https://eprints.whiterose.ac.uk/id/eprint/205252/1/SCHRIMSHAW_Will_Transcendental_Psychedelia_Amacher.pdf.pdf

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  19. Telematic Tape: Notes on Maryanne Amacher's City-Links (1967–1980) | Twentieth-Century Music | Cambridge Core, accessed March 12, 2026, https://www.cambridge.org/core/journals/twentieth-century-music/article/telematic-tape-notes-on-maryanne-amachers-citylinks-19671980/3CACB2D0075DE5210F48B7BEFECB2B1E

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  24. Music for Sound-joined Rooms, Maryanne Amacher - Paxton's Sound Art Blog, accessed March 12, 2026, https://paxsounds.home.blog/2019/04/06/music-for-sound-joined-rooms-maryanne-amacher/

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  39. Strange Structures: How Maryanne Amacher Made Shapes with Sound - Red Bull Music Academy Daily, accessed March 12, 2026, https://daily.redbullmusicacademy.com/2019/09/maryanne-amacher-feature/

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