見出し画像

crush on/たすいち屋プレオープン|岩手県釜石市で母娘が創業したイベントスペース/古着屋が始動

16歳のとき、あなたは何をしたかったか覚えているだろうか。将来の夢の話ではない。16歳というわずか1年しかない時期に、あなたがしたかったことの話である。

岩手県釜石市にある釜石大観音仲見世通りの一角で、「crush on」という名前のイベントスペースが産声を上げようとしていた。来店する人々を迎えるのは、16歳の現役女子校生だ。

といっても、イベントスペース「crush on」はまだ準備中。2025年1月1日に、一足早く母親が店主となる古着屋「たすいち屋」がプレオープンを迎えた。

「crush on」は、16歳の現役女子高生が、今抱いている”やりたい”を形にした古着屋である。そのために彼女は、地元釜石市で経営を学び、協力者を作り、資金を集め、開店へと向かっている。

まずは「たすいち屋」がプレオープンし、歩みを進めることとなった。「たすいち屋」は、「crush on」オーナーとなる彼女の母親が店主を担う古着屋だ。16歳の彼女では、古物商許可を得るのが法的に難しい。

そこで娘を想う母親が古物商許可を取得し、「たすいち屋」を始動させている。プレオープンでは、2025年1月1日~1月3日の3日間だけ、古着販売が行われている。

イベントスペースの方は鋭意準備中のようでまだその全貌を窺うことはできない。話を聞けば、本開店はもう少し先になるようだ。詳細は、Instagramにて情報が発信されているので、ぜひフォローして確認して欲しい。

Instagram: crush on たすいち

釜石大観音仲見世通りの入り口
仲見世通り:crush on は co-ba釜石の隣にある

1月1日から1月3日の三が日は、シャッター街になった釜石大観音仲見世通りに多くの人々が訪れる数少ない期間だ。9月に訪れたときは、停まっている車は片手で足りるほどしかなかった駐車場も、この期間ばかりは交通誘導員が数名立つほど混雑していた。


※ふるさと納税の広告です。ぜひ購入して、地方を応援しましょう


たすいち屋プレオープン! 釜石大観音仲見世通りで母娘が古着を販売する

crush on/たすいち屋の入り口前には、招き猫と門松が並んでいた
軒先には古着を来たマネキンが立つ

crush on/たすいち屋の店舗を訪れると9月に訪れたときとは打って変わり、外から見てもアパレルショップであることが分かる様相になっていた。軒先は新年らしい装いで、招き猫や門松など来福を願うような景色が伺える。隣接するイベントスペース「crush on」が準備中である様子も見える。

たすいち屋のガラス越しに見えるカウンターには16歳の少女の姿が映り、一目で遂に店が始まったのだと感慨が沸き起こってくる。母親の協力を得て、16歳の女子校生の”やりたい”が実現したのだ。それも釜石市のような田舎の中でもとびきり寂れてしまった商店街に、である。

店内に入ると既に先客が何名か訪れていた。どうやら昨日、プレオープン初日となった1月1日に数多くの来客があったことで、在庫が幾分減ったとのことである。明るい接客の声で説明されるその話は、申し訳なさを感じさせるが、一方でどこか嬉しさのような色合いも伺える。

普段人通りのない釜石大観音仲見世通りで始める古着屋は、その開店自体に大きな不安が孕んでいたに違いない。来店客が現れるのか、そもそも古着文化のない釜石市で古着が売れるのか、何もかもが未知数だ。しかし、プレオープン初日に確かに古着は売れたのだ。そして、二日目になっても客足が途絶えていない。商売人として、これほど嬉しいことはないだろう。

古着屋とリノベーションした空き家の組み合わせは芸術的な雰囲気を醸し出す

crush on オリジナルスウェット
空き家ならではのショーケース
温故知新を感じさせる店内。メンズ、レディース、子供服が並ぶ

一見して古着屋と分かる店内に目を移すと、空き家を改装したからこその味のようなものが伺える。先日、気仙沼市で行われたshunshunso POP UPでも感じられたが、古着屋と空き家の相性は良いように感じられる。

長い時を経て熟成された建物と着古された衣服の出す味わいがマッチするのかもしれない。古着が並んでいるだけの景色が、長い時間をかけて絵の具が馴染んだ油絵のような、ほのかな芸術性を醸し出して見えるのだ。

店内には、空き家を再生させたことが伺える時代を感じさせるショーケースやイラストレーションなど、過去と現在をつなぐ存在がところどころに見られる。

好きで彩られた試着室

試着室は、16歳の好きが詰まった内装になっている。目で楽しめる試着室は斬新で、若いエネルギーを強く感じられた。来店客の反応も上々で、人を惹きつけるセンスが感じられる。

若者による古着事業と言えば、古着女子から事業を大きく拡大させ、上場に至った株式会社yutoriの物語を思い起こす。crush onと株式会社yutoriでは異なる点も多いが、crush onも株式会社yutoriのように若者のセンスで続いていけば良いと感じられる。

また、たすいち屋の店主である母親は、筆者の質問の多くに温かく答えてくれている。この記事は、店主である母親の協力がなければ完成できなかった。娘を想う気持ちだけではなく、来店客の一人一人に対する想いが感じられる。なんと居心地の良い古着屋だろうか。

16歳の女子高生が創業した crush on|逆境と困難を乗り越えた実現した釜石市に生まれた新たな希望

crush on/たすいち屋は、多くの困難と同居してきたプロジェクトだ。16歳の女子高生では営業するのに必要な古物商許可を取れない法的な縛りがあった。だからこそ、母親の協力なくして古着の販売は実現できなかった。

また、先述した通り、開店する釜石大観音仲見世通りは、数多くの店がシャッターを下ろし、人がほとんど訪れない廃墟のようになったエリアである。人通りの途絶えたエリアで来店客の創造から始めなければならない困難は、今や日本全国の地方が抱えている大きな困難だ。

そもそも、釜石市は古着屋のメインターゲットとなる若者が年々減り続けており、古着を通じてファッションを楽しむような文化そのものが未発達である。メディアや購入手段の多様化によって、ファッション感度こそ高まっているが、文化と呼べる域には達していない。

法規制の壁、ゼロから顧客を創造しなければならない困難な道、そうした厳しい環境の中で、一人の女子高生が一念発起し、母親とともにクラウドファンディングを行い、いよいよ開店を迎えようとしている。大人でさえ困難な山道を16歳の少女が歩み、母娘で踏破しようというのだ。

改めて問おう。あなたは16歳のとき、何をしたかっただろうか。たった1年しかない短い時間の中で、やりたいことはできたろうか。crush on/たすいち屋を訪れれば、その答えを思い出せるかもしれない。

crush on/たすいち屋は、既に始まった物語であり、これから始まる物語である。困難に次ぐ困難を超えて入り口に立った16歳の若き創業者が釜石大観音仲見世通り、そして釜石市にもたらす未来を温かく見守って欲しい。また、開店の暁にはぜひ訪れて欲しい。

※本noteの写真は、店主より許可を取った上で撮影しております


ぜひフォローをお願いいたします。

以下は広告です。ぜひ購入して日々の生活をより充実させましょう。


いいなと思ったら応援しよう!

気仙沼の掲示板|本の紹介と地方のくらし私記 皆様のサポートのお陰で運営を続けられております。今後もぜひサポートをいただけますようお願い申し上げます。

この記事が参加している募集