「南風・六月号 2026」を読む。
前回の南風誌鑑賞(「南風・二月号 2026」を読む。)以後、三ヶ月ほど空いたが、ようやくじっくりと鑑賞。
「南風・六月号」より、好きな句、気になる句。
(句順は掲載順、*=特に好きな句)
主宰作品「影のびて」村上鞆彦 十句より
髪かるくして三月の疾風空*
芽柳を仰げばかすかにも雪か*
蘆の角とろりとくらき藻の掛かり
鷗あたたかクレーンも昼休み*
春の蠅竹の肌に影のびて
顧問作品「窓」津川絵理子 十句より
木々の芽や悪役も世に馴染みたる
朧夜のとある高さに耳ふたつ*
指さして木の名草の名卒業す
万愚節卵の中のゆでたまご*
小荷物が窓から届く日永かな*
「雪月集」より(敬称略)
屋台の灯つながり春の宵となる
井手千二
春愁の息入れ紙の鶴立たす
団藤みよ子
首抜いて着せるマネキン三鬼の忌
池之小町
春塵や屏風畳みの地図広ぐ
田村紀子
ワラビーの尾で立つ形春の土
前田照子
電柱に肉感のある春の月
帯谷麗加
料峭やガラスの山にガラス捨て
日野久子
「風花集」より(敬称略)
春昼やマニキュアの根を爪が伸び*
市原みお
戻るほかなし椿に蜂の潜る世へ
若林哲哉
水温むわづかに泥の動きたる
片岡智子
時計くづれてあたたかな草の上
板倉ケンタ
Googleに従ひ春の墓地を過ぐ
大熊光汰
雨の日も鳥啼いてゐる草の餅*
上田窓子
春鹿のぬつと顔出すカフェの窓
館 ゑみ子
ふらここに歌ふ我が手を少し離れ
今泉礼奈
性別に無回答欄フリージア
陰山 恵
残雪を登る靴底置くやうに
岡原美智子
「南風集」より(敬称略)
花筵踏めば泉下の湿りをり*
薄羽野馬
囀や梢澄みゆくみづたまり
両角鹿彦
春の川書かずとも描かずとも
五月ふみ
くるくると働く庭師紫蘭の芽
槙枝聖子
ゆきやなぎ詩人のきみのいつ詩人
東野礼豊
白き根のグラスに育つヒヤシンス
佐々木千賀子
紅梅に翡翠の来てゐるといふ
磐田 小
立ち話さくらの幹に手をついて
稲葉守大
囀の上をおほきな鳥の飛ぶ
笠原小百合
噴水の反対側にゐて会えず
村井丈美
「摘星集 兼題・黒南風」より(敬称略)
黒南風や漁港の猫にけものの眼
吉川祥子
黒南風や取り残されし檸檬に斑
土手晶子
唾吐いてより黒南風に満たす肺*
笠原小百合
今月号は、南風新人賞を受賞なさった、大熊光汰氏・上田窓子氏、陰山恵氏の「南風新人賞受賞第一作」十五句の連作に加え、本年3月29日に行われた、板倉ケンタ『一花一虫』批評会、によせての、野村茶鳥氏の「俳句深耕」、八田吏氏の「レポート」が目を引いた。
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トップ画像は、5月30日に行われた、南風北千住句会での吟行地「堀切菖蒲園」での一枚。
