AIプロダクトの差は「AIの性能」ではない
UXデザイナーが設計すべき「インテリジェンスフロー」とは
世界で人気のUXメディア The UX Collective の記事を一緒に読む、UX DAYS TOKYO の勉強会。
6/24の勉強会では、次の2本の記事を取り上げました。
「AIコンテキストの3層を設計する」
「PerplexityとNotebookLMは、より優れたAIを使用しているのではなく、より優れたインテリジェンスフローアーキテクチャを使用している」
一見すると異なるテーマの記事ですが、共通していたのは、
AIプロダクトの価値は、AIそのものではなく「設計」にある
というメッセージでした。
AIを使うことが目的になっていないか?
最近では、「AIを活用しています」というサービスが急速に増えています。
しかし実際には、
AIを導入しただけ
チャット機能を追加しただけ
プロンプトを書けることが価値になっている
というケースも少なくありません。
もちろんAIを使いこなすことは重要です。
でも、この記事を読んで改めて感じたのは、
AIを使いこなす前に、AIが活躍できる仕組みを設計しなければならない
ということでした。
AIプロダクトは「3層」で考える
記事で紹介されていた考え方の一つが、
AIコンテキストの3層構造です。
シンプルに言えば、
人が目的や意図を伝える
AIが情報を整理・生成・提案する
人が結果を判断し、意思決定する
という流れです。
つまり、
人 → AI → 人
という循環が成立して初めて、AIプロダクトとして価値を発揮します。
AIだけで完結するのではなく、人間の判断や責任まで含めて設計することが重要なのです。
ソムリエで考えると、とてもわかりやすい
勉強会で記事を読みながら、私はこの構造をソムリエに置き換えて考えてみました。
AIは、
ワインの特徴
生産地
品種
評価
合う料理
といった膨大な知識を学習できます。
しかし、
実際に料理を食べて、ワインを飲み、「美味しい」と感じることはできません。
味覚や感動は、人間だけが持つ体験です。
だからこそ、
AIは知識を整理・提案し、
最後に人が
「この料理にはこのワインが本当に合う」
と判断する必要があります。
さらに、その結果に対するユーザーの評価を学習し続けることで、
より良い提案ができるようになる。
これも立派なAIプロダクトの設計だと感じました。
AIの性能ではなく「流れ」が価値になる
もう一つの記事で印象的だったのが、
Perplexityや**NotebookLM**は、
より優秀なAIを持っているから成功したのではない、
という指摘です。
重要なのは、
インテリジェンスフローアーキテクチャ
という考え方でした。
これは、
情報を集める
必要な情報を整理する
AIが分析・推論する
人に最適な形で届ける
人が判断する
その結果を次に活かす
という一連の流れ全体を設計することです。
つまり、
AI単体ではなく、
AIが価値を生み出すプロセス全体をデザインする
という発想です。
UXデザイナーの仕事はさらに広がる
これまでUXデザイナーは、
画面設計やユーザーフローを考える仕事が中心でした。
しかしAI時代では、
画面だけではありません。
これからは、
AIはどの情報を使うのか
AIはいつ判断するのか
人はどこで確認するのか
間違えたときにどう修正するのか
学習結果をどう改善につなげるのか
こうした知能の流れそのものを設計することが求められます。
つまり、
UXデザインとプロダクト設計、そしてAI設計が一体化していく時代なのだと感じました。
AI時代のUXデザイナーが学ぶべきこと
今回の記事を通して改めて感じたのは、
AI時代に必要なのは、
「プロンプトを書く技術」
だけではないということです。
重要なのは、
AIが活躍できる仕組みを考える力
人とAIの役割を整理する力
情報の流れを設計する力
ユーザーが安心して使える体験を設計する力
です。
AIが賢くなるほど、
その知能をどのようにプロダクトへ組み込み、
人にとって価値ある体験へ変えるかが、UXデザイナーやプロダクトマネージャーの腕の見せどころになります。
最後に
今回読んだ2本の記事は、
「AIをどう使うか」ではなく、
「AIをどう設計するか」
という視点を与えてくれました。
AIの性能差は、これからますます小さくなっていくでしょう。
だからこそ差が生まれるのは、
人・AI・データをどうつなぎ、どのような体験として届けるかです。
これからのUXデザイナーやプロダクトマネージャーは、画面を設計するだけではなく、AIが価値を生み出す"知能の流れ(インテリジェンスフロー)"そのものをデザインする存在へと進化していく必要がある——そんな未来を強く感じさせてくれる勉強会でした。
